高齢者の運転事故が多発! 事故防止には免許制度の改正が必須か!?

高齢運転者 事故

先日、登校中の小学生の列に87歳の男性が運転する軽トラックが突っ込む交通事故が起こって以来、高齢者による交通事故の発生が相次いで報道されている。

これを受け、高齢者の運転の是非を巡る議論が活発化しているが、今回はこのような事故防止のために何が必要なのかを考えてみたい。

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事故の頻発

10月末、神奈川県で87歳の高齢者が運転する軽自動車が登校中の小学生の列に突っ込み、1人の小学生が死亡するという痛ましい交通事故が報じられた。

ところが高齢者による事故はこれにとどまらず、11月に入ってからも、東京都で82歳の男性が運転する乗用車が交差点で自転車を跳ねる事故が発生し、自転車の運転手が死亡。

医科大学の駐車場では、84歳の男性が運転する車が暴走、玄関付近に追突する事故が起き、ここでも1人が死亡している。

さらにこれでもかと言わんばかりに、都内の医療施設の駐車場で、83歳の女性が運転する車が敷地内を歩いていた歩行者を跳ねると言う信じ難い状況だ。

いずれも高齢ドライバーが運転する車により引き起こされた交通事故であるが、これほどまでに立て続けに発生していることには驚かされるばかりである。

マスコミが意図的に取り上げているだけなのかもしれないが、これらの事故が実際に起こっていることは事実であり、何かしらの対策を講じる必要があることに疑いの余地はないと思う。

高齢者事故の統計

高齢ドライバーが占める事故の割合(警視庁発表)

グラフは、警視庁ホームページ(http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kotsu/jikoboshi/koreisha/koreijiko.html)より引用。

マスコミ報道を鵜呑みにせず、然るべき統計に目を通す必要があるが、警視庁が発表している高齢運転者が関与する交通事故の発生状況に注目したい。

これによれば、2014(平成26)年の東京都内の交通事故発生件数は、統計を取り始めた2005(平成17)年の半分以下まで減少。

一方、全体に対して高齢ドライバー(65歳以上)が関与する事故が占める割合は年々高くなっっており、平成26年においては全体の20%にも達していることがわかる。

交通事故の発生件数の総数が減少しているため、高齢ドライバーが関与する事故の発生件数そのものが増加しているわけではないのだが…。

よって正確には、”高齢運転者が引き起こす事故が増えている”のではなく、”他の年齢層と比較して高齢ドライバーが関与する事故が減少していない”と表現するのが正しいのだと思う。

このことは、今後交通事故の発生をさらに少なくしようと思えば、高齢ドライバーが関係する事故を如何にして防ぐかが最大の課題であることの裏付けでもある

もちろん、今回の資料が東京都内に限定された統計であることを無視できないが、日本で最も人口が多い自治体におけるデータであり、一定の信頼性はあるはずだ。

現行免許制度

ここで、高齢運転者に関わる現行の免許制度を確認しておきたい。

既に存知の通り、現在の制度では加齢により運転免許を受けることができなくなったり、その効力が消滅することはなく、やろうと思えば100歳になっても車を運転することが可能だ

高齢ドライバーに対しては免許更新時に高齢者講習等を実施し、運転免許を受けるに適しているかどうかを検査する試みが行われているが、詳細は以下を読んで欲しい。

高齢者講習

こちらは、免許の有効期間の最終日の時点で70歳以上のドライバーが受講する講習である。

一般ドライバーに対する更新時講習同様、この講習を受講しなければ新たに運転免許を更新することはできない。

内容は、①講義やVTRを用いての座学、②運転適性機材を用いての適性検査、③実車を用いての診断と指導、④ディスカッションで、所要時間は3時間。

なお、更新時に75歳に達している運転者については事前に講習予備検査を受験し、その結果に応じて高齢者講習の内容が決定される。

講習予備検査

運転免許の有効期間の最終日の時点で年齢が75歳に達しているドライバーには、高齢者講習の前に講習予備検査の受験が義務付けられている。

この検査結果次第で受講する高齢者講習の内容が決定される仕組みだが、当日の年月日が質問されたり、指定された数字に斜線を引くテストが行われるなど、本格的と思える内容だ。

検査の結果、記憶力や判断力に低下が見られると判断された場合でも免許の更新は可能だが、その後信号無視などの交通違反をした場合は医師の診断を受ける義務があり、そこで認知症と診断された場合には運転免許が取り消される。

合理的な仕組みのようにも思えるが、講習予備検査で判断力や記憶力の低下が見られた運転者にも免許の更新を認めていることを問題視する声も多い。

このような事情もあり、2017年3月12日に行われるの道路交通法改正により、更新時の検査で認知症が疑われた段階での受診が義務付けられる予定である。

認知症の恐れがある運転者の受診が義務化! 改定道路交通法の内容とは!?
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防止対策

免許制度の見直し

高齢運転者による交通事故を防止するため、現行の免許制度を見直す必要があると思う。

もちろん、制度を見直したところで交通事故の発生を完全に防ぐことができるとは思わないが、現状を放置して良いと言える根拠が見当たらないことも事実であるはず。

極端に感情的になり過ぎた意見に賛同することはできないが、講習予備検査で判断力の低下が見られた運転者の免許の更新を認めている現状には問題があると言わざるを得ない。

その判断力の低下が単に加齢によるものであったとしても、一般ドライバーと比較して事故を起こすリスクが高いことは明らかだし、これが認知症によるものであれば話はさらに深刻。

認知症の症状は不定期に現れることも珍しくなく、検査の時点ではそれほどのものでなくとも、運転中に重大な判断ミスを犯すことも十分に考えられるからだ。

先述の通り、2017年3月の道路交通法の改正で免許更新時に認知症が疑われる運転者に対しその時点での受診義務が義務付けられることが決定しているが、賢明な対応と言えるのではないだろうか。

認知症対策

今回の問題に認知症が関係する以上は、認知症対策がそのまま事故防止対策に直結すると言っても過言ではないと思う。

患者にその自覚がないのが認知症の特徴であるから、仮に免許制度を見直して高齢者の免許が取り消される仕組みをつくっても、本人がそれを認識できなければ全く意味がないのだ。

よって、”常に動向をチェック”する、”本人に車の鍵を与えない”などの家族の協力も重要になると考えられる。

さらに、認知症に対する特効薬の開発も含めて、認知症の症状を如何にして防ぐかと言う観点で物事を考えれば、単に交通の問題ではなくなることも事実。

こうして考えると、今後の医療の発達に期待せざるを得ないのだが…。

留意点

これまで述べてきたように、高齢者の運転に対し何かしらの手を打たなければならないことは確かだが、留意すべき点も多い。

例えば、先述した様な、”年寄りから免許を取り上げろ”、”長生きするのが悪い”などの極端な意見がまかり通ることには大いに問題がある。

特に、これにより老人いじめが起こり、年金支給額の減額や社会保障費の削減がさらに加速する様なことは避けなければならない。

高齢者に若者よりも恵まれている部分があることは事実だが、政府による年金基金運用の失敗や格差社会の問題など、本来目を向けるべき問題が有耶無耶にされたのでは本末顛倒。

単に感情的になるのではなく、いずれは自分たちも高齢者になる日が来ると言う視点を持ち、冷静に意見する必要があると思う。

また、農業従事者が減少し、その多くを高齢者が占めると言う現実もある。

70歳を過ぎても軽トラックを運転して田んぼへ向かわなければならないドライバーが存在することを考えても、単に高齢者から免許を取り上げろと言うことはできないはずだ。

この通り、私自身も明確な解決策を提示することができないのだが、本当に難しい問題に直面しているのだと思う。

終わりに

残念ではあるが、今回の投稿では私自身が明確な解決策を示すことができず、不完全な意見を述べただけになってしまった・・・。

皆さんの中に何か良いお考えをお持ちの方がいれば、是非とも意見し、問題の解決に貢献して欲しいと思う。

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