2018年8月末の商品改良を受けて新たに登場した1.5Lガソリンエンジン搭載のデミオ15だが、早速試乗する機会を得た。
今回はその内容をレビューする。
デミオ15
デミオ15は、2018年8月末、同じタイミングで廃止されたデミオ13に変わり新たに登場したDJデミオのガソリン車である。
最大の関心は搭載されるエンジンの排気量が従来の1.3Lから1.5Lに変更されたことにあるが、上位グレードに16インチホイールが標準装備される点、燃費測定がJC08モードではなく最新のWLTCモードにより行われる点などその他にも注目すべき事項が多い。
今回試乗したのは“デミオ15S Touring”で、全部で4つ用意されるグレードの中で上から2番目に当たるモデルである(特別仕様モデルを除く)。
1.3Lからの変更点
1.3Lからの主な変更点は、①エンジン排気量の増加、②フロントガラスへの“スーパーUVカットガラス・IRカットガラス”の採用、③16インチホイールの標準装備化(最上位グレード)、④特別仕様車“Mist Maroon”の登場の4点である。
最大のサプライズは言うまでもなくエンジン排気量の増加であり、その恩恵を受けて従来よりも力強く、さらに上質な加速を体感可能になったことはこれ以上ない朗報だ(詳細は後述)。
また、最上級グレードの15S Touring L Packageにはこれまでディーゼル車のみに装着されていた16インチホイールが標準装備されるが、私のように“ガソリン車にもあの16インチを履かせたい”と思い続けてきたユーザーにとっては非常に有難い話と言える。
- エンジン排気量の増加
- スーパーUVカットガラス・IRカットガラスの採用
- 16インチホイールの標準装備化
- 特別仕様車“Mist Maroon”の登場
走りの印象
デミオ15Sに試乗して印象的だったのは、やはりエンジン排気量アップによる加速性能の向上と車内の静粛性の高さだった。
以下で詳しく解説する。
加速性能の向上
200ccの排気量アップによるメリットは大きく、SKY ACTIVE-G1.3を搭載する私のデミオと比べると明らかにトルクが太い。
強めにアクセルペダルを踏み込んだ時の加速力は本当に見事で、車重が軽いことも手伝ってかSKYACTIVE-D 1.5を搭載するディーゼル車に匹敵すると思えるほどだが、エンジンの滑らかさと上質さではこの15Sが明らかに優っている。
エンジン | 総排気量 | 最高出力(kW<PS>/rpm) | 最大トルク(N・m<kgf・m>/rpm) |
SKYACTIVE-G 1.5 | 1.496L | 81<110>/6,000 | 141<14.4>/4,000 |
SKYACTIVE-G 1.3 | 1.298L | 68<92> /6,000 | 121<12.3>/4,000 |
エンジンのスペックを見ると、1,500ccとしては平均的で特に突出した数値ではないものの、それでもSKY ACTIVE-G1.3を最高出力で13kW(18PS)、最大トルクで20N・m(2.1kgf・m)上回り、その差を体感するには十分な動力性能の向上を果たしていると言ってよいはずだ。
また、今回からWLTCモードでの測定値が公表されることもあり燃費への配慮も相当なされていると聞くが、でありながら最高出力・最大トルクともにアクセラ15とほぼ同じ数値が実現されている点も高く評価すべきだと思う。
静粛性も優秀
静粛性の高さも抜群で、アイドリング時にはよほど意識しなければエンジンが停止していると錯覚するくらい室内は静かである。
発進時に1~2速ギアを使う状況でもエンジン音はほとんど聞こえず、まるでエンジンがボンネットの先端よりもさらに遠くに置かれているように感じるほど。
度重なる商品改良を受け、1.3L時代にも十分過ぎるほどの高い静粛性が確保されていたデミオガソリン車だが、エンジンにゆとりができた恩恵を受けさらに静かさを増した印象である。
燃費
デミオ1.5Lのメーカー公表燃費は19.0km/L(2WD/WLTCモードで計測)。
単に数字だけを見れば1.3L(24.6km/L)よりも落ち込む印象を受けるが、JC08モードよりも厳密な測定が可能で、よりシビアな数値が算出されるWLTCモードが採用されることを考えれば、実際には1.3Lとほとんど変わらない燃費性能と考えてよさそうだ。
デミオ1.5Lのメーカー公表燃費WLTCモード(km/L) | 市街地モード(km/L) | 郊外モード(km/L) | 高速道路モード(km/L) | ||
2WD | MT | 19.8 | 15.4 | 20.6 | 22.0 |
AT | 19.0 | 15.0 | 19.4 | 21.2 | |
4WD | 17.2 | 14.2 | 17.4 | 18.8 |
今回の排気量アップが燃費測定方法のWLTCモードへの移行を念頭に(より優れた燃費性能を確保するため)に行われたと言う話も耳にするし、高速道路モード(WLTC-H)での測定結果の21.2km/Lは非常に優秀な数値である。
フルモデルチェンジへの影響
今回の商品改良を受け、デミオのフルモデルチェンジが遅れる可能性が出てきた。
最近までは前回のフルモデルチェンジ(現行DJデミオの販売開始時)から5年を迎える2019年に次期モデルが登場すると噂されていたのだが、このタイミングでエンジンの排気量アップと言う大きな改良が行われたことで、新型の発売がさらに遅れるとの見方が強まっているのだ。
この点をディーラーに聞いたところ、やはりかなりの確率でその可能性があるとのこと。
発売時期からしてデミオよりも先にフルモデルチェンジを迎えることが予想されるアテンザやアクセラも未だ新型が発売されておらず、特に前者については2018年中にフルモデルチェンジすると言われていたにも関わらず未だに新型が登場していない状況を考えると、次期型デミオの登場は早くても2020年になると思われる。
終わりに
今回は新登場のデミオ15Sの試乗レビューを投稿したが、エンジン排気量アップにより走りの上質感がさらに増したことを確認する結果となった。
もちろん時期的には次のモデルが気になることは事実であるものの、商品改良を何度も重ねた末期モデルが最も信頼できると言う考え方もあり、非常に悩ましいところである。
コメント