ノーマルタイヤで雪道走行は立派な違反! さらに事故を起こすと…

 

ノーマルタイヤで雪道

無謀にも雪が積もった道路をノーマルタイヤで通行する車両を見かけることがあるが、これが立派な法律違反であることをご存知だろうか。

今回はノーマルタイヤでの雪道及び凍結路走行の違法性を解説する。

スポンサーリンク

条例による規制

ノーマルタイヤで雪道及び凍結路を走行する行為は、各都道府県が制定する条例により禁止されている

道路交通法では運転者が都道府県の公安委員会が定める事項を厳守しなければならないことを規定しており(道路交通法第71条第6号)、これを根拠に沖縄県を除く46都道府県がノーマルタイヤを装着した状態での雪道走行を禁止しているのだ。

下に載せたのは宮城県が定める“宮城県道路交通規則”だが、ノーマルタイヤで雪路及び凍結路を走行する行為を規制している。

積雪または凍結のため、滑るおそれのある道路において、タイヤに鎖又は全車輪に滑り止めの性能を有するタイヤ(接地面の突出部が50パーセント以上磨耗していないものに限る。)を取付けるなど滑り止め方法を講じないで、3輪以上の自動車(側車付きの2輪の自動車及び小型特殊自動車を除く。)を運転しないこと。

宮城県道路交通規則第14条より

もちろん、スタッドレスタイヤやタイヤチェーンを使用して雪路、凍結路を通行する行為には何ら違法性はない(50パーセント以上磨耗した=スリップサインが出たスタッドレスタイヤの使用は違法)。

罰則

チェーンによる滑り止めの防止を講じることなくノーマルタイヤで雪道及び凍結路を通行する行為は、公安委員会遵守事項違反に該当する(道路交通法第71条第6号)。

反則金も適用され比較的軽微な交通違反に分類されるとは言え、大事故を招く恐れのある危険な行為なので、絶対に行わないようにしよう。

反則行為行政処分刑事処分
点数反則金罰則
大型普通2輪原付
公安委員会遵守事項違反なし7,0006,0006,0005,0005万円以下の罰金

事故を起こすと…

交通事故

ノーマルタイヤで雪道や凍結路を走行して交通事故を起こし、その違法行為が明らかになった場合には、自身の過失割合が高くなる可能性がある

人身事故の場合は事故の程度や死傷者の有無、被害者の負傷の程度、交通違反の有無などから加害者が“過失運転致死傷罪”に問われるケースもあるが、雪または凍結により滑る恐れがある道路を何の対策も講じずノーマルタイヤで走行したとなればその悪質性が検察官の心象を損ねても不思議でなく、場合によっては起訴後の量刑にも悪影響を及ぼしかねない。

自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽い時は、情状により、その刑を免除することができる。

自動車運転処罰法第5条より

事の悪質性を考えれば当然とは言え自身にも何ら良いことはないし、何よりも大事故に発展して人を死なせてからでは取り返しがつかないわけだから、冬に雪が降る可能性がある地域にお住いの方は冬季のスタッドレスタイヤの着用を徹底し、ノーマルタイヤでの雪道及び凍結路の走行を絶対に行わないように心掛けよう。

公安委員会遵守事項違反とは

最後に、ノーマルタイヤでの雪道走行を禁止する都道府県条例の根拠となる“公安委員会が定める事項の遵守”に触れておく。

車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。

(1~5号省略)

6 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その通行の安全を図るため必要と認めて定めた事項。

道路交通法第71条より

これを基に、ノーマルタイヤでの雪道走行、サンダルやハイヒールでの運転、大音量で音楽を聴きながら運転する行為などが各都道府県の条例にて規制されているが、規定に違反した場合に“公安委員会遵守事項違反”に問われることは先述の通りである。

交通違反!? サンダルやハイヒールを履いて運転すると後悔することに…
...

終わりに

ノーマルタイヤで雪道を走る行為が交通違反であることをご理解いただけただろうか。

いざ路上で立ち往生し、さらに事故を起こせば多くの人に多大な迷惑をかけることになるわけだから、雪が降る可能性がある地域の方はシーズン前に必ずスタッドレスタイヤに交換しておこう。

コメント