運転中に救急車等の緊急車両が接近した場合、一般車両が彼らに進路を譲る義務を負うことは言うまでもないが、高速道路上で同じ状況に遭遇したら一体どのように対応すべきなのだろうか。
今回は、高速道路における緊急車両への対応について投稿する。
はじめに
はじめに一般道における緊急自動車の優先を確認しておくと、車両は①交差点とその付近においては交差点を避けて道路の左に寄って一時停止、②交差点以外の場所では道路の左側に寄って緊急車両に道を譲る義務を負う(道路交通法第40条)。
特に難しいことはないが、緊急自動車の通行を妨げる行為は多くの人々に迷惑をかけるので、適切に対応する必要がある。
- 交差点とその付近では交差点を避けて左に寄って停止
- 交差点以外の場所では左に寄って進路を譲る
高速道路での対応
高速道路本線上において、一般車両は緊急車両が本線へ合流しようとするのを、また本線から出ようとするのを妨害してはならない(道路交通法第75条の6第2項)が、それ以外の場面での徐行や一時停止は不要である。
高速道路本線上における緊急車両の最高速度が一般車両と同じ100km/hであり、一般車両が徐行して進路を譲る必要がないことがその理由だが、この状況での一時停止や徐行は交通の危険を生じさせる恐れがあるので、不要どころかむしろ厳禁だ。
走行車線にいる限り何もせずとも必要に応じて緊急車両は追い越し車線を通行して行くし、自車が追い越し車線を通行中でも速度が100km/hに達していればそのまま通行して何ら問題ない(救急車の場合は病人を乗せていることもあり、実際は最高速度未満の速度で走行するので後ろから突かれることはまずない)。
ただし、自車が追い越し車線を100km/h未満で走行する場合は理論上は緊急自動車の通行を妨害する恐れを否定できず、それ自体が交通違反になる場合もあるので、追い越し車線を通行中に緊急車両が接近したらとりあえず走行車線に戻るのがよいだろう。
片側一車線(対面通行)の場合
例外として、高速道路の対面通行区間(片側1車線)では、救急車等の緊急車両に進路を譲る必要性が生じる可能性がある。
と言うのも、対面通行区間においては緊急自動車の最高速度が80km/hであり、一般車両の最高速度が70km/hに指定されることが多いため、理論的には緊急車両の通行速度が一般車両を上回り、一般車両が緊急車両に進路を譲らなければならない状況を否定できないのだ。
必要であれば路肩を利用して車両を道路の左に寄せ速度を落とし、自車の右側を緊急自動車に通過させるのが基本だが、状況次第では緊急車両が路肩を通行することを無線で告げられるケースもあると聞くので、確実に状況を判断する必要がある。
緊急自動車の最高速度と一般車両の最高速度の差が10km/hしかない状況ではそのまま通行し、対面通行区間が終わるのを待つことも可能と思われるが、速度指定が50km/hの場合など両者の最高速度に大きな差が生じる状況では彼らが先に行くべきと判断するかもしれないので、いずれにせよ緊急車両の指示をしっかり確認して適切に対応しよう。
渋滞時
最高速度に遠く及ばない速度での通行を余儀無くされる渋滞時にも、救急車等の緊急車両を優先させるべき状況が生じる可能性がある。
実際に右に寄るのか左に寄るのかは車線の数や混雑の状況を考慮し適切に判断する必要があるが、この場合も緊急車両の指示に従うのがベストと思われるので、彼らの無線に耳を傾け適切に対応したいところだ。
緊急車両を追い越すのはあり?
ここまでの話とは逆に一般車両が緊急車両を追い越すことができるのかどうか気になる方も多いと思うが、結論を言えば、追い越しも追い抜きも可能である。
言うまでもなく不用意に彼らの通行を妨害することは許されないし、最高速度をオーバーする速度での追い越しも当然ながら厳禁だが、道路交通法を厳守して緊急車両を追い越す分には何ら問題ないと覚えておこう。
まあ、さすがに警察車両を追い越すには相当の勇気がいるだろうから、実際にその機会があっても救急車くらいだと思うが…。
終わりに
今回は高速道路での緊急自動車への対応について投稿したが、話をまとめると、緊急車両が接近してきても原則そのまま走行してよいが、対面通行区間を走行中の場合と渋滞時には彼らを優先させる必要が生じる可能性があると言える。
100km/hにも達する速度で車両が通行する高速道路において、不用意な徐行や停止は大変危険であり、時に重大な事故を招く恐れがあるので、確実に対応したいところである。
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