最近、コンビニ等の駐車場で“前向き駐車でお願いします”、“前向き駐車厳守”などと書かれた看板を見かけることがあるが、何か特別な理由があるのだろうか。
今回は、この“前向き駐車”が推奨される理由について投稿する。
前向き駐車とは
今回のテーマである“前向き駐車”は、車の先端つまりボンネットから駐車区画(駐車マス)に進入する駐車方法のことを言う。
“前輪が車輪止めに接触、若しくは接近する駐車方法”と表現してもよいと思うが、“前向き”の意味が非常に曖昧であり、ボンネットから駐車区画に進入する方法を指すのか、反対に駐車が完了した状態で車が前を向く駐車方法を言うのかはっきりさせておく必要があるので、前者がそれに該当することをご理解いただきたい。
推奨される理由
排ガス対策
駐車場で前向き駐車を求められる最大の理由は排気ガス対策と言われている。
と言うのも、駐車場に隣接する土地がある場合にバックで駐車すると(マフラーがそちらに向くため)排気ガスが流出し、当該隣接地が住宅であればその住人、商業施設であれば利用者に迷惑が及ぶ恐れがあるため、これを防止する目的で前向き駐車が奨励されるのだ。
前向きに駐車すればマフラーが隣接地に向くこともなく、排ガスの流出を防ぐことができるだけに非常に合理的な方法と言えるが、駐車場と隣接地との間がフェンスや壁、植物等で仕切られているにも関わらず前向き駐車をお願いされる場合がある。
これらのケースでは隣接地に直接排気ガスが流入することはないものの、フェンスが汚れたり、植物が何かしらのダメージを受けることを回避しようとする意図があるらしい。
コンビニでは
コンビニエンスストアの駐車場は前向き駐車を求められる機会が最も多い場所の1つと言えるが、店舗の正面に駐車場が設けられており、利用者がバック駐車した場合に排ガスの影響をもろに受けてしまうことがその理由である。
建物が影響を受けることはもちろん、店舗正面にはゴミ箱や公衆電話があり、それらを利用する人に排ガスがかかるようなことがあってはクレームも発生しかねないだけに、店舗の対応としては極めて妥当と言えるはずだ。
しかしながら、運転が苦手な運転者が安易に前向き駐車をしてしまうと駐車区画からの脱出時に難儀する可能性も否定できないので、自身の運転技術と相談しながら適切に判断する必要があるのだと思う。
防犯・盗難対策
排気ガス対策の他、前向き駐車が防犯、盗難対策になると言う考え方も存在する。
聞くところによれば、前向きで駐車した車両が駐車場を出るには車を後退させる必要があり、迅速にその場を去ることが困難なため車両の盗難や店舗で事件が起こった場合に犯人が逮捕される確率が上がると言う理由で前向き駐車が奨励されるとのこと。
確かに一理あると思えるが、特にアメリカではこの考えが一般化しており、ほとんどの運転者が前向き駐車を行っているようだ。
デメリット
ご紹介した様なメリットがある一方で前向き駐車にはデメリットも存在するが、最も身近なところでは駐車区画(駐車マス)をバックで脱出することが難しく、事故の原因となる可能性があることである。
個人的な意見を言わせて貰えば、事故が起きてからでは取り返しがつかないわけだから、運転技術に自信がない場合は前向き駐車をお願いされている状況であっても普段通りに後ろ向きで駐車するのが望ましいと思う。
“バックで事故を起こすのは運転が下手な奴だけだ”、“普通はぶつけたりしない”などと前向き駐車を全面的に肯定する人もいるようだが、全くの了見違いであり、全ての運転者には事故を起こさない様に最大の努力をすることが求められるはずだ。
終わりに
今回は、駐車場で“前向き駐車”をお願いされる理由を考察してきた。
隣接する建物や人を排ガスから守ると言う意味では極めて合理的な方法だと思うが、その一方で駐車区画からの脱出が難しくなることも事実であり、実際に前向き駐車を行うか否かは自身の運転技術と相談の上適切に判断する必要があると考えるが、皆さんはどのように思われるだろうか。
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