昨年12月についに発売開始となった4代目プリウスだが、待望の4WDモデルが登場したことも大きな話題となった。
雪が降る地域に住む人でもプリウスに乗ることができるようになったことはよいことだが、その安全性能と、燃費の悪化については大丈夫なのだろうか。
安全性
今回のプリウスは“E-four”と言う4WDシステムを採用している。
モーターの力で後輪を駆動させる方式だが、路面状況から判断し、必要とあれば自動で後輪へのトルク配分を行うことが特徴だ。
4WD車に求められる最も大きなものは安全性だが、今回のプリウスは雪道でも問題なく走行することができる能力を持ち合わせていると思う。
参考となる動画を載せるが、実に楽に雪道を走っている様子を伺うことができる。
燃費
4WD車のデメリットとして、燃費への悪影響が懸念されることは言うまでもないが、今回の新型プリウスはどうだろう。
プリウスの燃費は、2WD車の場合、“E”グレードのみが“40.8km/L”であり、その他グレードではいずれも“37.2km/L”である。
気になる4WD車の燃費は、“34.0km/L”。
37.2km/Lに対しては91%、40.8km/Lに対しては80%の燃費を確保しているが、これをどう評価するかは、人それぞれだと思う。
しかしながら、実燃費をメーカー公表値の70%と見積もったとしても、34×0.7=23.8km/Lと言う素晴らしい燃費性能を実現しているわけで、大きなデメリットになならないはずだ。
“燃費の良い車に乗りたいが雪が降るので仕方がない”という理由で、燃費がそれほどよくない4WD車に乗り続けてきた人にとっては、十分魅力的な数字ではないだろうか。
4駆による安全性能の向上というメリットと、燃費悪化のデメリットを天秤にかけても、4WD車を選択する価値はあるように思われる。
価格
4WD車にするか2WD車にするのかを判断する上で、価格差も重要なポイントになってくるが、このプリウスの場合はどうだろうか。
以下に、各グレードごとの2WDモデル、4WDモデルの価格をまとめた表を用意したので、参考にしてほしい。
いずれのグレードにおいても、2WDモデルと4WDモデルの価格差は“約20万円”であるが、この価格差と燃費の違いが重要な判断のポイントになるだろう。
モデル名 | 駆動方式 | 価格(税込) |
A プレミアム “ツーリングセレクション” | 2WD | 3,199,745円 |
E-four(4WD) | 3,394,145円 | |
A プレミアム | 2WD | 3,107,455円 |
E-four(4WD) | 3,301,855円 | |
A “ツーリングセレクション” | 2WD | 2,926,800円 |
E-four(4WD) | 3,121,200円 | |
A | 2WD | 2,777,563円 |
E-four(4WD) | 2,971,963円 | |
S “ツーリングセレクション” | 2WD | 2,628,327円 |
E-four(4WD) | 2,822,727円 | |
S | 2WD | 2,479,091円 |
E-four(4WD) | 2,673,491円 | |
E | 2WD | 2,429,018円 |
その他注目点
足元スペース
4WD車といえば、ミニバンでもない限り、後席の足元スペースが犠牲になるというデメリットを抱えてきた歴史がある。
後輪を駆動させるために、エンジンと後輪の間に“プロペラシャフト”を通さなければならなかったのである。
これが後席中央の足元の凸部分の原因なのだが、今回の新型プリウスでは、これによる影響はない。
というのも、採用される“E-four”は、リアモーターにより後輪を行動する仕組みであるから、プロペラシャフトが不要なのだ。
この恩恵を受け、後席中央の足元も限りなくフラットに設計されているので、後席に3人掛けする場合にも、真ん中に座る人が窮屈な思いをする心配はないだろう。
雨の日の安全性
雪道を走る場合のメリとのみが強調されがちな4WD車であるが、実は、それ以外の走行場面での安全性の向上にも貢献している。
例えば、雨で濡れた路面よりスリップをするリスクを軽減することも可能なのだ。
特に、高速道路を走行中にこれが起こるとかなり危険なのだが、この“E-four”は、前輪の滑り具合を感知し適切に後輪を駆動してくれるので、より安心である。
終わりに
ついに登場したプリウスの4WD車だが、雪が多い地域にお住いの方はじめ、安全性を追求するドライバーにとってはありがたい存在だと思う。
とはいえ、路面がアイスバーン化した場合などのように、“4WD車は絶対に安全”ではないことを忘れずに安全運転を心がけてほしい。
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