マツダ車の衝突被害軽減ブレーキに、“スマート・ブレーキ・サポート”と“スマート・シティ・ブレーキ・サポート)”の2種類があることをご存知だろうか。
今回は、非常に紛らわしい両者の違いについて投稿しようと思う。
はじめに
はじめに、SCBS(スマート・シティ・ブレーキ・サポート)、SBS(スマート・ブレーキ・サポート)のいずれも衝突被害軽減ブレーキに該当することを確認しておきたい。
衝突被害軽減ブレーキとは、前方にある歩行者や車両の存在をレーダー等で検知し、それらに衝突する可能性がある場合に車が自動でブレーキをかけてくれる仕組みを言う。
状況次第では衝突を回避することも可能だが、それが難しい場合にも衝突による被害の軽減を期待することができる。
なお、この衝突被害軽減ブレーキは、一般には“自動ブレーキ”と呼ばれることも多いようだ。
SCBS(スマート・シティ・ブレーキ・サポート)
SBCS(スマート・シティ・ブレーキ・サポート)は、時速4~30km/hで走行中、前方の障害物に衝突する恐れがあると判断された場合、自動でブレーキが制御されるシステムを言う。
システム動作中にドライバーがブレーキを踏んだ場合には、ブレーキペダルの踏み込みを強力アシストし、強力な制動力を発生させる。
また、ドライバーがブレーキペダルを踏まない場合には、車が自動でブレーキをかけてくれる仕組みだ。
本投稿トップに載せてあるのがその紹介動画だが、是非とも参考にして欲しい。
障害物の検知には赤外線レーダーを使用するが、30km/hを超える速度で走行中にはシステムが動作しないことと、認知の対象が車両のみであることに注意が必要。
名称に“シティ”とあるように、主に街中を低速走行中の追突事故を防ぐことを目的としていると考えるのがよいと思う。
ただし、2016年10月現在、新たに“ASCBS(アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・システム)”が登場しており、アテンザやアクセラにはこちらを搭載することができる。
アドバンストSCBSは、システムが動作する走行速度が4~80km/hと大幅に改良されており、歩行者も認知できるようになった。
従来のSCBSと比較して飛躍的に性能が向上しており、ユーザーにとっては非常に嬉しいことである。
認知の対象 | システムが動作する走行速度 | ||
人 | 車両 | ||
SCBS(スマート・シティ・ブレーキ・サポート) | 車両 | 4~30km/h | |
ASCBS(アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート) | 車両、歩行者 | 10~80km/h | 4~80km/h |
SBS(スマート・ブレーキ・サポート)
続いてはSBS(スマート・ブレーキ・サポート)だが、こちらは、主に高速走行中に動作する衝突被害軽減ブレーキと考えてよいと思う。
15km/h以上で走行中、赤外線よりも正確で、遠くの障害物まで認知可能なミリ波レーダーで先行車を捕捉し、自車との車間距離を知らせてくれる。
メーター内の車間距離インジケーターに先行車両との車間距離が5段階で表示されるが、その距離が基準値に達した場合、警報が鳴りドライバーに注意を喚起。
さらに車間距離が縮まると車が自動で軽くブレーキをかけてくれるが、衝突する確率が高いと判断された場合には強力な制動力を発生させ、衝突の回避や被害の軽減を目指す仕組みだ。
ちなみに、ミリ波レーダーでは、約200m先の先行車を捉えることができるらしい。
よって、SCBS(スマート・シティ・ブレーキ・サポート)が街中を低速走行中に動作するのに対し、こちらは高速道路やバイパスで効果を発揮するものと思われる。
なお、スマート・シティ・ブレーキ・サポートがアドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポートに進化し、80km/h走行時まで動作可能になったことは既に述べた通り。
しかしながら、遠く離れた車両を捕捉する能力においては、このSBS(スマート・ブレーキ・サポート)には及ばない。
高速道路を走行中に先行車両との車間距離を正確に把握しようとするならば、こちらを選択する必要があるはずだ。
搭載状況
デミオ
デミオには、SCBS(スマート・シティ・ブレーキ・サポート)は標準されるが、SBSはメーカーオプションを購入しなければならない。
また、メーカーオプションを他の安全装備とセットで購入する形になるので注意が必要だ。
13C | 13S | 13S touring | 13S Touring L Package | XD | XD Touring | XD Touring L Package | ||
SBS | △ | △ | △ | △ | △ | △ | ||
SCBS | SCBS | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |
ASCBC |
◯=標準装備 △=メーカーオプション
SBS=スマート・ブレーキ・サポート、SCBS=スマート・シティ・ブレーキ・サポート、ASCBS=アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート
CX-3
CX-3には、XDを除いて、SCBSとSBSの両方が標準装備される。
SCBSについては、アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポートが搭載されることもあり、嬉しい限りだ。
こうして考えれば、本体価格が高めに設定されていることにも納得出来る。
XD | XD PROACTIVE | XD L Package | XD Nobel Brown | ||
SBS | ◯ | ◯ | ◯ | ||
SBCS | SCBS | ||||
ASCBS | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
◯=標準装備 △=メーカーオプション
SBS=スマート・ブレーキ・サポート、SCBS=スマート・シティ・ブレーキ・サポート、ASCBS=アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート
CX-5
20S | 20S PROACTIVE | 25S | 25S PROACTIVE | 25S L Package | XD | XD PROACTIVE | XD L Package | ||
SBS | △ | △ | ◯ | △ | ◯ | ||||
SCBS | SCBS | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
ASCBS |
◯=標準装備 △=メーカーオプション
SBS=スマート・ブレーキ・サポート、SCBS=スマート・シティ・ブレーキ・サポート、ASCBS=アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート
アクセラ
マイナーチェンジを受け、SCBSがアドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポートになった。
SBS(スマート・ブレーキ・サポート)については、グレードごとに標準装備される場合とメーカーオプションを購入する場合に分かれる。
15C | 15S | 15S PROACTIVE | 15XD | 15XD PROACTIVE | 15XD L Package | ||
SBS | △ | △ | ◯ | ||||
SCBS | SCBS | ||||||
ASCBS | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ||
22XD PROACTIVE | 22XDLPackage | HYBRID-C | HYBRID-S PROACTIVE | HYBRID-S L Package | |||
SBS | △ | ◯ | |||||
SCBS | SCBS | ||||||
ASCBS | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
◯=標準装備 △=メーカーオプション
SBS=スマート・ブレーキ・サポート、SCBS=スマート・シティ・ブレーキ・サポート、ASCBS=アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート
アテンザ
20S | 20S PROACTIVE | 25S L Package | 22XD | 22XD PROACTIVE | 22XD L Package | ||
SBS | △ | ◯ | △ | ◯ | |||
SCBS | SCBS | ||||||
ASCBS | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
◯=標準装備 △=メーカーオプション
SBS=スマート・ブレーキ・サポート、SCBS=スマート・シティ・ブレーキ・サポート、ASCBS=アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート
終わりに
SBS (スマート・ブレーキ・サポート)とSCBS(スマート・シティ・ブレーキ・サポート)の違いをご理解いただけただろうか。
個人的には、もう少しユーザーが理解しやすい名前と仕組みにして欲しいと思うが・・・。
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