先日、デミオで走行したワインディングをSAIでも走ってみたので、早速その様子を投稿しようと思う。
SAIはハイブリッド車両で、そもそも峠を走る車ではないので期待はしていなかったが・・・。
走行コース
今回走行したコースは、宮城県の牡鹿半島にある“コバルトライン”と呼ばれる県道だが、半島中央の山間部を貫いている。
休日ともなれば、遠方からツーリングに来る人もいるほどで、なかなか有名なワインディングコースだ。
コバルトラインに辿り着くまでには沿岸部の道路を通らなければならないのだが、そちらもかなり難易度が高く、180度進行方向が変わるヘアピンカーブやアップダウンの連続。
速度を10~20km/hまで落としてから急な上り勾配に差し掛かる場面も少なくなく、低速トルクの大きさが重要になってくる。
燃費計の対象となる走行距離は約55kmで、全くの平坦路が5kmほど含まれる。
走り
動力性能
SAIのエンジンは2.4リッターだが、正確には2,362cc。
それでいて燃費重視にチューニングされていることもあり、ワインディングともなればそれほどの余裕はないものと、あまり期待していなかったのが正直なところ。
車重が約1,600kgあることも不安材料であったが、結論としては、大きな不満を感じることはなかった。
急な上り坂ではエンジン音が高まり、エンジンがある程度仕事をしているように思われたが、それ以上にモーターの力が効果的に発揮されている印象を受ける。
さすがに3L越えV6エンジンを搭載した車のような絶対的な余裕はないが、今回のようなきつい上り勾配でも対応できることがわかった。
ただし、変速機が一種のCVTと言うこともあり、低速からの加速のダイレクト感に欠ける印象は否定できない。
エンジン音が大きくなるものの、なかなか速度が上がらず、若干のストレスを感じることがあった。
後述するが、このような場面ではモーターの出力をより高める制御が求められるのだが、このあたりは今ひとつと言ったところか。
一気にシフトダウンしてエンジン回転数が瞬時に上昇するデミオのダイレクト感には及ばないが、まさに、CVTとATの違いが顕著に現れる場面と言うことだろう。
ハイブリッドシステム
ハイブリッド車はワインディングの走行に向かないとの声もあるが、今回走ってみた印象では必ずしもそうでもないと思えた。
下り勾配やコーナーでは当然ながら速度が落ちEV走行になるが、その状態でコーナーを曲がると、モーター走行のフィーリングが思いの外よいのだ。
モーター音のみが聞こえる中でコーナーを曲がる時には、新鮮さすら感じる。
また、今回のようなワインディングでは少しでもアクセルを緩めればすぐにEV走行に切り替わるので、エンジンの負担を軽減できることはとても嬉しい。
もちろん、燃費の向上にも繋がるわけで、一石二鳥である。
逆に不満を感じたのがモーター出力の制御だが、上り勾配でも出力がMAXにならないことがあった。
そこまでの動力が必要ないとコンピューターが判断した結果であるとは思うが、もう少し出力が欲しいと感じる場面があっただけに少々残念。
アクセルの踏み方が足りなかった可能性もあるが、もっと積極的にモーターの出力を上げるような制御になれば、なおさら素晴らしい走りができることは間違いないはず。
後述するが、スポーツモードにすればそれが可能なのようなので、ノーマルモードでの制御をもう少し改善して欲しいところだ。
スポーツモード
ワインディングでも静かに走っている印象が強いSAIだが、スポーツモードのスイッチを押すと豹変する。
エンジン音が若干高まることはもちろんだが、アクセルペダルの踏み込みに対する出力の出方が明らかに大きくなるのだ。
もちろん、エンジンのみならず、モーターの出力も大きくなっていることを実感する。
ノーマルモードでは、上り勾配でアクセルの踏み込みを躊躇してしまうと思うように加速してくれないこともあるが、スポーツモードではその心配はない。
よって、減速後に急な上り勾配を登らなければならない場面などには、積極的に使用したいところだ。
静粛性
峠、ワインディングでも基本的に静かだが、下勾配や急カーブで減速する際には間違いなくEV走行になるので、静粛性は抜群。
上り勾配では若干エンジン音が大きくなるが、それでも不快なものではなく、絶対的な音量としては十分に小さい。
また、ノーマルモードではエンジン音の高まりに加速が追い付かないことがあるが、スポーツモードではそれが解消されるので、より自然な印象だ。
ハンドリング・安定感
これは最も期待していなかったのだが、よい意味で私の予想を裏切る結果となった。
SAIは駆動方式がFFであることに加え、エンジンとモーターを搭載しており、明らかにフロントヘビーな車である。
よって、普段からハンドリングがスムーズとは言えないのだが、今回ワインディングを走行して問題を感じることは全くなかったのだ。
ステアリングの手応え自体は重いのだが、カーブに対する鼻先の入り方が非常に素直で、平坦路よりも気持ちよく曲がるように思えたほど。
また、急なコーナーでもしっかりと路面を捉え、足回りが非常によく粘ることが運転席にまでしっかりと伝わってきた。
ブレーキング
峠道では、ブレーキングも非常に重要になってくる。
特に、下り坂でのフットブレーキの多用は大変危険であり、細心の注意を払わなければならないのだが今回は非常に安心して運転することができた。
と言うのも、ハイブリッド車両の場合、フットブレーキを踏めばブレーキ回生システムが優先して動作する仕組みになっている。
通常のディスクブレーキやドラムブレーキは、よほど強くペダルを踏まない限りは作動しないので、フェード現象やペーパーロック現象が起こる確率が低いのだ。
エンジンブレーキの効きはガソリン車に及ばないが、回生ブレーキで十分な制動力を得ることができるのでさほど問題にはならない。
ただし、下り坂が多いとすぐにバッテリーが満タンになってしまうので、緩やかな上り坂やコーナーではEV走行し、蓄えられた電力を消費してしまうとよいと思う。
なぜなら、バッテリーの電力が満タンになった場合にはブレーキ回生システムが動作せずに、通常のディスクブレーキやドラムブレーキが使われるからだ。
こうなるとフェード現象やペーパーロック現象を意識しなければならなくなるが、蓄えられた電力をこまめに消費すればその心配もない。
燃費
ハイブリッド車はワインディングでは燃費が悪化すると言う声も聞いていたが、むしろ普段よりも燃費が良かった。
自宅へ戻った時に燃費計が示していた平均燃費は、24.4km/L。
帰りの平坦路では満タンまで蓄えた電力を使ってEV走行してきたので、その分で燃費を稼いだことは事実だ。
とは言え、最も標高が高いところまで登りきった時点でも燃費計は20km/Lを表示しており、燃費がよいのは間違いないこと。
下り坂で積極的に電力を回収し、上り勾配でのモーターアシストやEV走行に当てることができた結果として、このような高燃費を記録することができたのだと思う。
終わりに
今回の走行で、SAIがワインディングでもなかなか楽しく走ることができる車であることがわかった。
機会があれば、また走ってみたいと思う。
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