交差点内での右左折待ちの間に信号が赤に変わってしまうことがあるが、そのまま取り残されると非常に厄介なことになる。
迅速に右左折を完了させる必要があるが、今回はその法的根拠とこの“交差点残り”への対処法について投稿しようと思う。
法律上は
はじめに結論を言えば、交差点内で右左折待ちをする車両が当該信号が赤に変わった後に進行を続けることに違法性はない。
既に皆さんご周知のことと思うが、その根拠となる“道路交通法施行令第2条”を載せた。
(信号の意味等)
法第4条第4項に規定する信号機の表示する信号の種類及び意味は、次の表に掲げるとおりとし、同表の下欄に掲げる信号の意味は、それぞれ同表の上欄に掲げる信号を表示する信号機に対面する交通について表示されるものとする。
赤色の灯火 1 歩行者は、道路を横断してはならないこと
2 車両等は停止位置を越えて進行してはならないこと
3 交差点において既に左折している車両等は、そのまま進行することができること
4 交差点において既に右折している車両等(多通行帯道路等通行原動機付自転車及び軽車両を除く。)はそのまま進行できること。この場合において、当該車両等は、青色の灯火により進行することができることとされている車両等の進行妨害をしてはならない。
5 交差点において既に右折している多通行帯道路等通行原動機付自転車及び軽車両は、その右折している地点において停止しなければならないこと。
道路交通法施行令第2条より
条文にある通り、赤信号の意味は“停止線を超えて進行してはならない”であり、信号が変わる前に交差点内に入り右左折をしている車両がそのまま進行することに問題はないのだ。
皆さんも普段よりこのように対処されていると思うが、交差道路の信号が青になる前に右左折を完了すればよいのである。
違反になる可能性
交差点内に進入したものの通過前に信号が赤に変わり、そのまま内部に取り残されてしまうことを“交差点残り”と呼ぶ。
その原因は状況判断の誤りに他ならないが、交差点の内部で右左折待ちをしていた車両がそのまま取り残されるケースも多く、(信号が青に変わった)交差道路を進行する車両を妨害してしまうことも…。
こうなった場合には交通違反に問われる可能性を否定できず、“道路交通法施行令第2条”、並びに“道路交通法第50条”において交差点内で停止し交差道路を進行する車両を妨害する恐れがある状況での交差点への進入が禁止されていることを根拠に検挙されるケースもある。
(交差点等への進入禁止)
1 交通整理の行われている交差点へ入ろうとする車両等は、その進行しようとする進路の前方の車両等の状況により、交差点内(交差点内に道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線を超えた部分。以下この項において同じ。)に入つた場合においては当該交差点内で停止することとなり、よつて交差道路における車両等の通行の妨害となる恐れがあるときは、当該交差点に入つてはならない。
2 車両等は、その進行しようとする進路の前方の車両等の状況により、横断歩道、自転車横断帯、踏切又は道路標示によつて区画された部分に入つた場合においては、その部分で停止することとなる恐れがあるときは、これらの部分に入つてはならない。
道路交通法第50条より
反則行為名は“交差点等進入禁止違反”であるが、反則金や点数などの処分については下の表にある通り。
進行先の道路に渋滞が発生している場合には交差点内に取り残されてしまうリスクが特に大きいので、交差点に進入せず停止線の手前で待機するなどの適切な判断が求められるのだ。
反則行為 | 行政処分 | 刑事処分 | ||||
点数 | 反則金 | 罰則 | ||||
大型 | 普通 | 2輪 | 原付 | |||
交差点等進入禁止違反 | 1 | 7,00 | 6,000 | 6,000 | 5,000 | 5万円以下の罰金 |
対処法
右折の場合
右折車両が交差点内に取り残されたとなれば交差道路を進行する車両の障害になることは必死であるから、迅速に右折を完了させて交差点外へ脱出しなければならない。
交差道路の渋滞により進行できない場合など交差点内深くに取り残されてしまうことも考えられるが、とにかく交差道路を通行する車両を妨害しないように最大限努力しよう。
一方、横断歩道付近など交差点の浅い位置であれば例え取り残されたとしても交差道路を通行する車両を妨害せずに済む可能性があるので、状況次第では信号が再び青に変わるまでそこにとどまった方がよい場合もある。
もちろん、横断歩道を通行する歩行者の進行を妨害したとなればやはり交差点等進入禁止違反に問われるので、十分な注意が必要だ。
左折の場合
左折の場合も可能な限り迅速に交差点を脱出する必要があるが、道路の左側に自車が存在することもあり、仮に交差点内に取り残されても交差道路を進行する車両の邪魔にならずに済むことも。
交差点内に十分なスペースが確保される場合に限られるものの、比較的浅い位置であればそこにとどまり、再び信号が青になるのを待つのが賢明なケースもある。
その場合も横断歩道を横断する歩行者の通行を妨げないことが前提であるが、脱出するにせよ待機するにせよ、状況を的確に判断しベストな行動をとるように努力しよう。
終わりに
交差点での右左折時における“交差点残り”の法的根拠とそれに対する対処法をご理解いただけただろうか。
兎にも角にもこの状態に陥らないことが最重要であるが、万が一の場合にも交差道路を進行する車両を妨害しないように最善を尽くしたいところである。
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