通勤ラッシュ時の電車内はとても混雑しており、明らかに定員オーバーだと思うのだが、それでも法律違反になることはないと言う・・・。
本当かどうか疑わしいが、今回はその真偽を調べてみた。
電車の定員
まずは電車に、乗車定員と言う概念があるのかどうかを調べてみた。
すると、“鉄道営業法第15条第2項”にそれらしい記述があるので下に載せるが、古い条文なのか、少々読み難いことをご了承願いたい。
乗車券ヲ有スル者ハ列車中ノ座席ノ存在スル場合二限リ乗車スルコトヲ得
(鉄道営業法第15条第2項より)
明治時代につくられた条文だけあり、非常に読み難いが、利用者は、座ることが可能な席がある場合に限り乗車することができると書かれている。
つまり、席が空いていない場合には乗車してはならないと規定されているのだ。
同時に、その電車に用意される座席の数が乗車定員数になると考えられるが、つり革や手すりが設けられている場合には、これらも座席として換算されるらしい。
いずれにせよ、定員オーバーの電車に乗車することは法律で禁止されており、これを破れば、法律違反に問われることを理解しなければならない。
よって、普通であれば、違反した乗客が何かしらの処罰を受けることになるのだが・・・。
定員オーバー
鉄道営業法第15条第2項を読んでも、混雑時の電車内は、明らかに定員オーバーであると考えられる。
それどころか、車内の案内掲示板に、“乗車率200%”などと表記されることも珍しくないではないか。
しかしながら、実際には、満員電車に乗り込んだ乗客が処罰を受けることはなく、鉄道会社が罰せられることもない。
と言うのも、空席がなければ乗車してはならないと言う規定(鉄道営業法第15条第2項)は、乗客が空席に座る権利を持つことを定めているに過ぎないと解釈されるらしいのだ。
また、鉄道会社に対して、空席がない車両に乗客を乗り込ませないことを義務付けるものでもないとされている。
条文を読む限りでは、どう考えてもこれらの解釈が可能とは思えないのだが・・・。
よって、定員オーバーの電車に乗客が乗り込んだとしても、誰も罰せられることはないのだが、これは明らかにザル法状態である。
実際の電車の利用状況を考えれば、条文に従っていては通勤時などは電車が何本あっても足りず、非常に効率が悪い。
多くの労働者の通勤に支障が出れば、経済への悪影響も懸念される。
これらの現状を踏まえ、苦し紛れの解釈を用いて、問題を棚上げしていると言うのが実際のところだと思う。
まあ、時の為政者が都合良く法律を解釈することは、今に始まった事ではないが・・・。
罰せられる場合
乗客の意に反して、定員オーバーの電車内へ無理やり押し込んだ場合には、鉄道会社が罰せられる。
これを規定するのは、“鉄道営業法第26条”。
これは、かつて座席定員制が採用されていた頃、1つの座席に無理やり複数の乗客を押し込めようとする事例があり、それを防ぐために設けられた規定だとか。
いずれにせよ、現代は乗客自らが満員電車に駆け込むわけだから、これにより鉄道会社が罰せられることはない。
この条文自体が形骸化し、ほとんど意味を持たないものであると言って間違い無いだろう。
安全上の理由
電車の車両構造上の安全性を理由に、定員オーバーを問題ないと考える意見もある。
近年の鉄道車両には、“応荷重装置”なるものが搭載されるらしく、車両にかかる負荷に応じてブレーキの効きを一定にすることができるらしいのだ。
よって、定員が増加したとしても、ブレーキキングに大きな支障が生じることはないと言われている。
私は電車の専門家ではないのでこれ以上のことはわからないが、大きな事故に繋がることがなければよいと思う。
終わりに
結論を述べれば、電車の定員オーバーは法律違反と考えるのが妥当だと思う。
しかしながら、法律の運用上、実際に取り締まりが行われたり、誰かが処罰を受けることはないと考えてよいのではないだろうか。
コメント
鉄道車両の定員は快適乗車定員、自動車の場合は物理的定員なので同じ定員と言っても概念は違います。通勤型列車の場合、物理的定員は乗車率250%〜300%ぐらいだと思います。もし法的に取り締まるとしたら、このくらいのラインになるかと思われますが、そもそもそこまで混雑すると次の列車を待つという手段を使えるので取り締まる意味がないのだと思います。
きゃのん様、コメントありがとうございます。仰せの通り、電車の物理的定員は250%越えあたりでも問題ないようです。しかしながら、形骸化した法律が残ることには理由があるのでしょうか…?ご存知でしたらご教授いただきたいと思います。