すっかりお馴染みになったハイブリッド車両だが、近年では電車にもハイブリッドシステムを搭載する車両があるらしい。
今回はその仕組みを調べてみたので、早速投稿しようと思う。
電気式気動車
鉄道車両におけるハイブリッド車両は、“電気式気動車”の1つに該当する。
はじめに用語を整理しておきたいが、気動車とはエンジンや蒸気機関等の内燃機関により出力を発生させ、車輪を駆動する車両を言う。
これに対し、電機子気動車は内燃機関により電力を発生させ、その電力を使い車輪を駆動させるが、内燃機関が直接車輪を駆動させないことがポイントだ。
エンジンが発電に専念し、その電力で車輪を駆動させると言う点では、自動車で言うとホンダのアコードハイブリッドに近いと言えるかもしれない。
もちろん、アコードハイブリッドはエンジンが直接車輪を駆動させることもあり、バッテリーからの出力も駆動に充てられるので完全に同じではないが。
実は、この電気式気動車は戦前から運用されていた歴史を持つ。
しかしながら、車重が増加する割に十分な出力が得られず、上り勾配への対応が難しいなどの理由もあり、鉄道車両の最前線に立つことはなかった。
ところが、2000年代に入り電気式気動車に蓄電池を搭載するハイブリッド気動車が登場してからは、電気式気動車が再び注目されているのだ。
ハイブリッド気動車
電気式気動車に“蓄電池”を搭載したのがハイブリッド気動車である
自動車のハイブリッドカーと同じく、ブレーキ回生システムを使用して減速時にエネルギーを回収し、蓄電池に蓄える仕組みだ。
通常の電気式気動車同様にエンジンは発電に専念し、発生した電力でモーターを動かし車輪を駆動させるが、蓄電池に蓄えた電力を車輪の駆動に充てることが可能。
エンジンにより発電された電力と、蓄電池に蓄えられた電力の両方で車輪を駆動させることが可能な点が特徴と言える。
また、“ハイブリッド気動車”と呼ぶのが最も適切だと思うが、蓄電池に蓄えた“電力”で車輪を駆動させると言う観点からは、”電車”と呼ぶことも可能だと思う。
利点としては、エンジンの負担が軽減され、燃費の向上や排気ガスの減少を期待できることが大きい。
2007年に世界で初めて運用が開始された“JR東日本キハE200系気動車”では、従来の気動車に比べ、窒素化合物(NOx)や粒子状物質(PM)を60%低減することに成功している。
なお、各シュチエーションごとの電車の状態は以下の通り。
停車 | エンジンは停止。補機やサービス用電源には蓄電池蓄えた電力を使用。 |
発進 | 発進時はエンジンが停止したまま。走行速度が一定(15~25km/h)に達するとエンジンが始動、電力を発電する。 |
加速 | エンジンにより発電された電力と蓄電池に蓄えれれた電力の両方で車輪を駆動。原則としてエンジンは最も効率の良い状態が保たれるが、必要に応じて蓄電池の放電と蓄電を行う。 |
減速 | エンジンは停止。ブレーキ回生システムにより減速時のエネルギーを電力として回収し蓄電池に蓄電。 |
今後の展望
蓄電池の搭載により画期的なものへと変貌を遂げた電気式気動車だが、今後もさらなる発展が期待される。
具体的に言えば、エンジンの動力で車輪を駆動し、モーターがこれをアシストするパラレル式のハイブリッドシステムを採用する車両も既に試用済みだ。
もちろんクリアすべき課題も多く、実用化はされていないが、より効率が良い鉄道車両が登場する日もそう遠くはないと思う。
終わりに
自動車のみならず鉄道車両もハイブリッド化が進んでいることには驚かされたが、地球環境に優しい電車が登場することはとても良いことだ。
気動車や電車など、これからの鉄道車両の進化に期待したいと思う。
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