最近のマツダの動向を見ていると、自動車のマイナーデェンジの概念が変わりつつあると感じることがある。
今回は、マツダのスタッフに聞いた話も踏まえ、この点について投稿したい。
はじめに
車のモデルチェンジには①フルモデルチェンジ(FC)と②マイナーチェンジ(MC)の2種類があるが、前者は、その名の通り全く新しい車に生まれ変わることを言う。
自動車の名称こそ同じであるものの、ボディの形状や内装のデザイン、搭載されるエンジンの型番などが一新され、以前とは全く別の車として販売される。
“◯代目デミオ”となどと言う言い方をするが、フルモデルチェンジを果たすごとに新たな代になるのだ。
ちなみに、日本車の場合、約6年に1度の周期でFCが行われることが多い。
また、FCと次のFCとの間に小規模な改良が行われることがあるが、これをマイナーチェンジと呼ぶ。
MCが行われるタイミングはFCの3年後が一般的だが、FCから次のFCのちょうど真ん中の時期と考えてよいと思う。
マイナーチェンジでは、FCとは異なり、プラットフォームやエンジンはそのままで、ライトの形状などのフロント周りのデザインがわずかに変更されることが多い。
また、FC後に指摘される不具合などがある場合には、MCで修正・改良されるのが一般的だ。
原則として小規模な変更にとどまるMCだが、稀にフロントの印象や搭載される機能が大きく変更されることもあり、その場合は、“ビッグマイナーチェンジ”と呼ばれる。
マツダの傾向
マツダ車については、アクセラが今年の7月にマイナーチェンジを果たしたと話題になっていることはご周知の通り。
また、昨年12月末のデミオ、今年8月末に発表されたのアテンザの改良をマイナーチェンジと呼ぶ声もある。
しかしながら、マツダの正式な発表を見ると、いずれの場合も“マイナーチェンジ”と言う表現が使われていないのだ。
アクセラの場合は、“大幅改良”、8月のアテンザは“商品改良”、デミオについては“一部改良”と言う表現が用いられているが、いずれもMCではない。
さらに、マツダのホームページで”マイナーチェンジ”と検索しても、最近の出来事でヒットするのは、2014年の軽自動車フレアについてのみ。
これらことからも、SKYACTIVE-Technologyが導入されて依頼、その対象車種の改良にMCと言う表現が使われていないことを知ることができる。
最新技術の随時投入
最近のマツダの動向からは、近い周期で改良を行い、最新の技術を随時投入する姿勢を見ることができる。
例えば、マツダの新技術である“GVC”は、今年7月に改良を受けたアクセラに初めて搭載されたが、その後すぐにアテンザにも搭載された。
同時に、アテンザにはその他の改良も加えられ、“新型アテンザ”として登場したのだ。
アテンザは2012年にFCモデル(3代目)が登場し、その後2014年にも大幅改良が行われてるので、従来の考え方であれば、GVCは次のFCモデルに搭載されたはずだ。
また、GVCはデミオにも搭載され、その他改良も加えられた新モデルが近日中に発売開始されることが決定しているが、前回の改良からまだ1年も経過していない。
これらのことから、マツダ車が従来の周期(FCが6年おきで、その中間にMCが1度行われる)にとらわれることなく、より短いサイクルで改良がされていることがわかる。
現にディーラーのスタッフからも、新技術が実用化され次第随時各車に搭載し、改良モデルとして販売する方針であることを聞くことができた。
単に言葉尻の問題ではなく、マツダがマイナーチェンジと言う表現を使わないことには、確固たる理由があるものと思われる。
留意点
短い周期で車が改良され、随時最新の技術が投入されることは嬉しいことである反面、消費者にとっては厄介なことになる可能性もある。
具体的に言えば、新車を購入するタイミングを計り難いのだ。
従来のように、6年ごとにFC、その真ん中でMCが行われるのであれば、そのタイミングに合わせて新車を購入すれば、少なくとも3年間は最新モデルに乗り続けることができた。
ところが、現在のマツダ車にはそれは難しく、新車を購入したと思いきや、1年も経過しないうちに改良モデルが登場してしまう可能性があるのだ。
場合によっては、改良時に画期的な機能が新たに搭載され、その前のモデル購入したユーザーが損をした気分になってしまうことも・・・。
これはパソコンやスマホなどあらゆる商品に共通することではあるが、自動車の場合はそれらと比較にならないほどの高額な買い物であるから、悩ましいところである。
終わりに
惜しむことなく最新技術を投入するマツダの姿勢からは勢いすら感じるが、新モデルの登場のタイミングを計り難いことも事実だ。
購入を検討されている方は、ディーラーの話を聞くなど、こまめに情報を得ることが大切だと思う。
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