スクーターと原付は通勤や通学など、比較的短い距離の移動にとても便利な乗り物だが両者の違いをご存知だろうか。
私も同じものを指すと思っていたのだが、実は違いがあるらしいので早速投稿したい。
原付
原付(原動機付自転車)の法的根拠は道路交通法と道路運送車両法にあるが、その定義がそれぞれ異なることがポイントだ。
道路交通法では”総排気量が50cc以下の原動機を有する2輪または3輪の車”が原付の定義とされているが、道路運送車両法ではエンジン排気量が125cc以下とされている。
なぜ、このような複雑な仕組みにしたものか・・・。
なお、道路運送車両法では、エンジン排気量が50cc以下の原付を第1種原動機付自転車、50cc超~125cc以下のものを第2種原動機付自転車と定めている。
道路交通法 :定格出力0.6kW以下、エンジン排気量50cc以下
道路運送車両法:定格出力1kW以下、エンジン排気量125cc以下
・道路運送車両法による原動機付自転車の分類
総排気量 | 分類 |
50c以下 | 第1種原動機付自転車 |
50cc超~125cc以下 | 第2種原動機付自転車 |
スクーター
続いてはスクーターだ。
現在では、“原動機を座席の下に設け、前方に足踏台のある、車輪の直径が22センチ以下であるような2輪自動車”がスクーターの定義とされている。
原付と違い、スクーターの定義には原動機の総排気量が一切関係しない。
あくまでもエンジンが座席の下に、足踏台が前方にある2輪車がスクーターなのであり、必ずしも小型の2輪車である必要はないのだ。
現に、排気量が250cc以上もあるビックスクーターも存在している。
もちろん、エンジン排気量がさらに少ない小型スクーターも多くあるし、中には排気量125cc以下の原付の条件を満たすものも少なくない。
そのため、原付=スクーターと勘違いしてしまう人が多いものと思われるが、両者が別の観点から定義付けられていることを理解する必要がある。
それができれば、原付とスクーターの違いを正しく理解することができるはずだ。
・原付 :エンジン総排気量が125cc以下、定格出力0.6kW以下の2輪車、3輪車
・スクーター:エンジンが座席の下にあり、足踏台が前方にある2輪車
運転免許
原動機付自転車を運転するには原付免許が必要だが、小型特殊自動車以外の運転免許には原付免許が付属する。
よって、ほとんどの人はわざわざ原付免許を取得する必要がないが、運転できるのは50cc以下の原付(第1種原動機付自転車)に限られるので注意が必要。
排気量50cc超~125c以下の第2種原動機付自転車を運転するには、普通自動2輪車免許もしくは大型自動2輪車免許のいずれかを取得していなければならない。
道路交通法における原動機付自転車の定義は”排気量50cc以下の2輪車又は3輪車”であるから、原付免許の適用範囲もこれに準ずると考えてよいと思う。
スクーターを運転するには、そのスクーターのエンジン排気量が50cc以下であれば原付免許で十分だが、それ以上の場合は普通自動2輪車免許や大型自動2輪車免許が必要である。
原付の種類 | 運転に必要な免許 |
第1種原動機付自転車(排気量50cc以下) | 原付免許 |
第2種原動機付自転車(排気量50cc超~125cc以下) | 普通2輪車免許、大型2輪車免許 |
走行速度
免許条件同様、最高速度についても道路交通法のルールが適用される。
よって、道路交通法における原付(排気量50cc以下)に該当する場合は、最高速度30km/hを厳守しなければならない。
一方、道路運送車両法における第2種原動機付自転車(排気量50cc超~125cc以下)は、その他車両と同じく一般道での法定最高速度は60km/h。
運転するのがスクーターである場合は、免許条件同様、排気量が第1種原動機付自転車に該当するか、第2種原動機付自転車以上であるかによって、最高速度が決定される。
原付の種類 | 法定最高速度(一般道) |
第1種原動機付自転車(排気量50cc以下) | 30km/h |
第2種原動機付自転車(排気量50cc超~125cc以下) | 60km/h |
終わりに
原付とスクーターの違いをご理解いただけただろうか。
いずれを運転する場合にも、その車両の排気量を正確に把握しておかないと無免許運転に問われる可能性があるので、十分に注意して欲しい。
コメント
とてもわかりやすい解説ありがとうございますm(_ _)m
50cc未満、125cc未満と表記した方がいいんじゃないでしょうか?
以下だと50ccも入ってしまいひとつ上の原付二種になってしまうと思います。