“免許の点数が回復する”、“点数がリセットされる”と言う表現を耳にすることがありますが、これらはどのようなことを意味するのでしょうか。
今回は、この運転免許の点数の回復とリセットについて詳細を解説します。
はじめに
交通違反や交通事故を犯した者は①刑事、②行政、③民事の3つの責任を負い、処分を受けますが、今回のテーマと直接関係する点数制度は②の行政処分に該当します。
具体的には、交通事故や交通違反を起こした運転者に反則点数を加算し、その累積が一定に達した場合に当該運転者の運転免許の効力を停止または取り消す仕組みです。
違反や事故を頻繁に起こすようなドライバーに自動車を運転させることは交通の安全上好ましくないため、その免許の効力を停止する、あるいは取り消すことで当該運転者が運転できないようにする制度と考えれば理解しやすいでしょうか。
前歴がない場合、反則点数の累積が6点になると運転免許が停止(最も軽い処分)され、15点で免許が取り消されますが、例えば短期間のうちに反則点数が2点の一時停止違反(正式には“指定場所一時不停止等”)で3回検挙されたとすると、累積点数が6点に達し免許の停止処分を受けることになります。
Memo
点数制度は行政処分に該当する。
“回復”はあり得ない
いきなりですが、そもそも“点数の回復”と言う概念は存在しません。
と言うのも、前述の通り運転免許の点数制度は減点方式ではなく交通違反で検挙される度に点数が積み重なる“加算方式”であり、失ったものを取り戻すことを意味する“回復”とは決して相容れないものなのです。
恐らく、実際には“点数のリセット”の意味で回復と言う表現が使われているものと思われますが、これが正しい表現ではないことをご理解いただきたいと思います。
点数のリセット
一定の条件を満たした場合には、反則点数の累積がリセットされます。
具体的には、①無事故・無違反の期間が1年継続すること、②免許の停止処分を受けその停止期間が終了することがその条件ですが、以下で詳細を解説します。
累積点数がリセットされる条件
- 検挙されてから1年間無事故・無違反を継続する
- 免許の停止処分を受けその停止期間が終了する
1年間無事故・無違反を継続する
交通違反をしたドライバーがその後1年間無事故・無違反を継続すると累積点数がゼロに戻りますが、これがいわゆる“点数のリセット”です。
その後再び違反をすれば新たに点数が加算されるものの、リセット前の点数は既に消えているため、当該違反による加点と合算されることはありません。
なお、交通違反で検挙された時点から遡り2年間違反や事故を起こしていない運転者は、当該違反が点数3点以下の軽微な違反である場合に限り、その後3ヶ月無事故・無違反を継続することで点数の累積がリセットされます。
少々複雑な話に思えますが、それ以前の安全運転が考慮され、通常であれば1年間無事故・無違反を継続しなければならないところ、その期間が3ヶ月に短縮されると考えてよいでしょう。
免許の停止期間を終了する
免許の停止処分を受け、その期間が終了した場合も累積点数がリセットされます。
しかし、こちらは免許の停止処分を受けることが前提であり、当該運転者がそれほどの違反を犯したことに他ならないわけですから、自慢できることでもなければ喜ぶべきことでもありません。
1度免許の停止処分を受けると当該運転者には免許停止の“前歴”が付き、以後はさらに少ない点数の累積でより重い処分を受けることになります。
前歴と免許の停止処分を受ける点数前歴 | 点数 | 免許停止の期間 |
なし | 6 | 30日 |
1回 | 4 | 60日 |
2回 | 2 | 90日 |
3回 | 2 | 120日 |
4回以上 | 2 | 150日 |
ゴールド免許も復活する!?
点数のリセットとともにゴールド免許も復活するのではないかと期待を寄せられる方も少なくないようですが、残念ながらそれはありません。
免許証の色が変わるのは運転免許の更新により新たな免許証を受け取るタイミングであり、点数のリセットとは全くの無関係なのです。
ゴールド免許の人が違反をすると次の免許更新時にブルー免許を交付されますが、ゴールド免許が交付される条件は免許の更新年の誕生日の40日前から遡り5年間に人身事故や違反を起こしていないことなので、そこから再びゴールド免許を手にするまでに最短でも5年かかる計算です。
違反をしたタイミングや内容によっては次の更新でも再びブルー免許が交付される可能性があることを覚えておきましょう。
終わりに
今回は、“免許の点数の回復とリセット”について投稿しました。
交通違反で検挙されても一定の条件を満たすことで反則点数の累積がリセットされることは嬉しいことではありますが、まずは違反をしないよう安全運転の実践に努めましょう。
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