日頃より“停止距離”や“制動距離”と言う言葉を耳にする機会があるが、どのような概念を言うのだろうか。
同時に、空走距離や制動距離との違いも気になるところだが、今回はこれらについて投稿してみたいと思う。
停止距離
停止距離とは、その名の通り、自動車が停止するために必要な距離と考えてよいが、空走距離と制動距離の合計がこれにあたる。
よって、空走距離と制動距離についての理解が必要となるのだが、それぞれについては後述するので、そちらを読んで欲しい。
以下は、走行速度ごとの停止距離の目安をまとめたものである。
走行速度(km/h) | 空走距離(m) | 制動距離(m) | 停止距離(m) |
20 | 6 | 2 | 8 |
40 | 11 | 9 | 20 |
60 | 17 | 20 | 37 |
80 | 22 | 36 | 58 |
100 | 28 | 56 | 84 |
これを見れば、走行速度が停止距離に与える影響がとても大きいことがわかると思う。
速度が上昇するに連れて空走距離と制動距離のいずれも長くなり、結果として停止距離が延びるのだ。
走行速度が圧倒的に速くなる高速道路での車間距離を多めに確保しなければならない理由もご理解いただけると思う。
その他、タイヤの消耗度合いや路面の状況によっても停止距離が変化することも覚えておきたいところである。
空走距離
“ブレーキペダルを踏んでからブレーキが動作し始めるまでの間車が走行すること”を“空走”と言う。
自動車における空走距離はこれとは少々異なるようで、運転者が危険を察知してからブレーキが効き始めるまでに車が進む距離とされている。
つまり、運転者が危険を認識してからブレーキペダルを踏むまでに車が進む距離と、ペダルを踏んでから実際にブレーキが効き始めるまでに進む距離の合計と考えればよい。
危険を認知してからブレーキを踏むまでの距離 + ペダルを踏んでからブレーキが効き始めるまでの距離
制動距離
制動距離とは、ブレーキが効き始めてから車が停止するまでに車が進む距離のことを言う。
空走距離とこの制動距離を合計した値が停止距離になることは、すでにご理解いただいているはずだ。
走行速度やタイヤの状態、路面状況の影響を最も大きく受けるのがこの制動距離であり、これが長くなる結果、停止距離が伸びることは言うまでもない。
タイヤの消耗と制動距離
タイヤが消耗していると制動距離が伸びてしまう。
新品のタイヤと山が5分まで減ってしまったタイヤ、2分まで減ってしまったタイヤの制動距離を計測した実験結果を見ると実に興味深い。
走行速度が60km/hの場合、路面状況に関わらず、新品タイヤと5分山タイヤの制動距離は意外にもほとんど変わりなし。
ところが、走行速度が100km/h、路面状況がウェットの条件では、5分山タイヤは約3m、2分山タイヤは23mも制動距離が延びたのだ。
これは、タイヤの消耗具合のみならず、走行速度や路面状況が制動距離に与える影響が大きいことを物語っている。
路面状況だけは私たちの努力ではどうすることもできないが、タイヤと速度の管理を行うことは十分に可能。
路面状況が悪い時ほど、控えめな速度で運転することが大切であると言えるだろう。
タイヤの状態 | 制動距離(m) |
新品 | 47.6 |
5分山 | 50.8 |
2分山 | 70.5 |
※ 走行速度は100km/h、路面状況はウエット
終わりに
今回の投稿で、停止距離と空走距離、制動距離について理解していただけたと思う。
走行速度が速くなればなるほど車が停止するための距離が長くなるわけで、適切な速度コントロールを実践するようにしたいところだ。
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