運転中、道路工事の現場に遭遇することも少なくないと思う。
その場合、誘導員の指示に従うことになるが、彼らを過信しすぎると痛い目に会うこともあるらしいのだ。
交通警備
道路において、車両の円滑な通行を目的として通行する車両や歩行者に協力を求めることを交通警備と言う。
道路工事の現場でしばらくの間の停止をお願いされたり、迂回路を通行するように言われたりする場面がまさにこれに当たる。
自動車を運転する人であれば、必ずと言ってよいほど、それらの光景を目にしたことがあるはずだ。
ちなみに、この交通警備は、“交通誘導”と呼ばれることもあるようだ。
また、これらの業務に従事する人たちを、“交通誘導員”と呼ぶことも覚えておきたいところである。
交通整理との違い
とても紛らわしいいのだが、交通警備(交通誘導)と交通整理の違いはとても重要だ。
交通整理とは、交通の円滑化を図り、交差点やその他の場所において車両や歩行者の交通を整理することを言う。
交差点においては信号機、または警察官や交通巡視員による“手信号”によりこれが行われることは、多くの人の知るところである。
最大のポイントは、信号機、手信号のいずれも“法的拘束力”を持つことだ。
よって、これらの指示に従わない場合は”信号無視”となり、道路交通法違反に問われることになる。
一方、交通警備には法的拘束力がない。
こちらは、あくまでも、交通の円滑化のために通行車に対し“任意の協力”を求めるものに過ぎないのだ。
ちなみに、交通警備を行う交通誘導員は、警察官ではなく民間人である。
注意点
交通警備が行われている場合、誘導員の指示を鵜呑みにしないことが重要である。
と言うのも、交通警備には法的拘束力がないのだから、誘導員の指示は決して絶対的なものではない。
運転者には、あくまでも、法的拘束力を持つ信号機や道路標識に従う義務があるのだ。
極端な例を言えば、“誘導員が進めと指示したので赤信号にも関わらず進行したら交通違反で捕まった”などと言うことが起こりかねないのである。
さらには、“誘導員の指示に従ったために事故にあった”と言う、最悪とも思える事例があることも覚えておきたい。
交通事故と過失割合
交通誘導員の指示が原因で事故が起きてしまった場合、運転者にも一定の過失があると判断されるようだ。
やはり、誘導員の指示すなわち交通警備に法的強制力がないことが最大の理由と考えられる。
もちろん、誤った指示を出した誘導員または彼らが属する会社の責任が大きいことは事実だが、100パーセント彼らが悪いと言うことにはならないのだ。
後味の悪い結果になることは必至であるから、彼らの指示を鵜呑みにせず、自らの判断で安全の確認をして事故を起こさないようにすることが重要であると言えるだろう。
終わりに
交通警備の現場に遭遇した場合は、交通の円滑化のためにも、素直に協力するようにしよう。
とはいえ、彼らの指示には法的拘束力がないことを念頭に置いて、あくまでも自らの判断のもとで正しい運転をしなければならないのだ。
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