未熟運転致死傷罪とは!? その罰則や無免許運転との違いを解説!

未熟運転

昨日、今年9月に、運転する技術がないにも関わらず自動車を運転して事故を起こした16歳の少年が未熟運転致死傷罪容疑で書類送検されたと報じられた。

今回は、この未熟運転について投稿しようと思う。

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未熟運転

未熟運転致死傷罪は、自動車の運転により人を死傷させた場合に適用される最も重い罪である、危険運転致死傷罪の中の1つである。

下のボックスに危険運転致死傷罪に該当する行為を列挙したが、いずれも危険極まりない行為であることをご理解いただけると思う。

なお、未熟運転致死傷罪は、単に“未熟運転”と呼ばれることも少なくないようだ。

危険運転致死傷罪の類型
  1. 酩酊運転致死傷・薬物運転致死傷
  2. 準酩酊運転致死傷・準薬物運転致死傷
  3. 病気運転致死傷
  4. 制御困難運転致死傷
  5. 未熟運転致死傷
  6. 妨害運転致死傷
  7. 信号無視運転致死傷
  8. 通行禁止道路運転致死傷

構成要件

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律における未熟運転の定義は、以下の通り。

(危険運転致死傷罪)

3 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為

                     自動車運転処罰法律第2条より

解釈上の最大のポイントは、この未熟運転致死傷罪が適用されるか否かが、運転免許の有無ではなく、あくまでも運転技術を持ち合わせているかどうかにより判断されることである。

よって、運転免許の停止や取り消しにより無免許状態にある者が車を運転して事故を起こした場合は、無免許運転に問われるのみであり、この未熟運転には該当しない。

過去の事例を見ても、当事者は運転免許の取得経験がない少年である。

逆に、長期間運転していないペーパードライバーが交通事故を起こして人を死傷させた場合、この未熟運転致死傷罪が適用される可能性があることも覚えておきたいポイントだ。

罰則

未熟運転致死傷罪も危険運転致死傷罪の1つである以上、そちらに規定される罰則が適用されることになる。

危険運転により人を死亡させた者には1年以上の有期懲役、負傷させた者には15年以下の懲役が課せられるが、前者の方が重い量刑であることは言うまでもないだろう。

危険運転致死傷罪の罰則
  • 人を死亡させた場合:1年以上(20年以下)の懲役
  • 人を負傷させた場合:15年以下の懲役

適用された事例

未熟運転致死傷罪が適用された事例は極めて少ないが、2015年に尼崎市で起きた当時16歳の少年による死亡ひき逃げ事件は有名な話である。

今回の暴走事故でも、警察が未熟運転致傷罪の容疑で少年を書類送検しているが、判決の結果が出るまではまだ時間がかかりそうだ。

いずれの場合も、免許を取得した経験がない少年による死傷事故に対して未熟運転致死傷罪が適用されているが、必ずしもこのパターンに限定されないことは既に述べた通り。

ペーパードライバーが死傷事故を起こした場合にも、未熟運転致死傷罪に問われる可能性があることを覚えておいて欲しいと思う。

終わりに

今回の投稿では未熟運転致傷罪について書いてきたが、その内容を正しく理解していただけただろうか。

今後、これが適用されるような事故が発生しないことを願うばかりである。

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