“冬場になると車内暖房を使うため燃費が悪化する”と言う声を聞く機会が多いが、本当にそうなのだろうか。
今回は、冬場の燃費と車内暖房の関係について、ハイブリッド車両にも注目しながら考察してみたい。
冬場の燃費悪化
冬場の燃費について個人的な経験を述べれば、私が所有するデミオとSAIの両車ともに秋から冬にかけて明らかに数値が悪くなり、その他季節と比較すると15~20%ほど数字が落ちる。
よって、“冬場の燃費の悪化”は間違いなく起こる事象であると考えられるが、以下でその原因を考察する。
原因
冬場に燃費が悪化する主な原因としては、①エンジンの暖気、②燃焼効率の悪化、③冬タイヤの影響などが挙げられる。
- エンジンの暖気による燃料消費の増加
- 気温低下による燃焼効率の悪化
- スタッドレスタイヤによる摩擦の増加
エンジンの暖気
冬場は言うまでもなくエンジンが冷え切っており、始動直後は自らを暖めるため回転数が増加し、燃料もそれだけ余分に消費してしまう。
さらに、車を発進させる前にエンジンを暖めるいわゆる“暖気運転”が行われることも多く、こちらも多くの燃料を消費する原因になる。
ちなみに、デミオの車内アナウンスによれば10分間のアイドリングで約100ccもの燃料が使われるらしいが、本当だとすればかなりの量であり、ガソリン代を考えると非常に悩ましい…。
燃焼効率の悪化
エンジンの燃焼効率が悪化することも冬場に燃費が悪くなる原因の1つである。
内燃機関では燃焼しやすくするため霧状にして燃料を噴射するのだが、ガソリンは温度が高い方が気化しやすいと言う性質を持ち、冬場の気温が低い環境ではそれが円滑に行われないためより多くの燃料を噴射することになり、結果燃費の悪化を招いてしまうのだ。
スタッドレスタイヤ
意外と知られていないようだが、冬場に装着するスタッドレスタイヤは路面との摩擦力が増大する傾向にあり、その結果やはり燃費が悪化してしまう。
特に最近は路面との抵抗を少なくして燃費の向上を図るいわゆる“エコタイヤ”を標準装備する車種も少なくないだけに、スタッドレスタイヤを装着して走行する冬場との燃費のギャップが大きくなる傾向にある。
とは言え、冬場でもノーマルタイヤのまま走行すると言うわけにはいかないので、こればかりは致し方ないことではあるが…。
暖房の影響
冬場の燃費の悪化の原因として暖房の使用を連想される方も少なくないと思うが、意外にも、これが最大の要因なのかと言われれば必ずしもそうではない。
と言うのも、車の暖房はエンジンから発生する熱を利用しており、エンジンをかければ嫌でもその熱が発生するわけだから、夏場のエアコンのようにコンプレッサーを動かすために余計な燃料を消費することはないのである。
もちろん、ACボタンを押した状態であれば暖房環境でもコンプレッサーが動き燃費は悪化するが、冬場は窓ガラスが曇りでもしない限りその必要はないので、暖房と燃費の悪化との間に直接の関係はないと考えてよいはずだ。
ハイブリッド車の場合
ハイブリッドカーにおいてもやはり冬場の燃費の悪化は避けられず、むしろガソリン車よりも悪化の度合いが大きいと言える。
ご存知の通り可能な限りエンジンを停止させて燃料消費を減らすと言うのがハイブリッド車の仕組みなのだが、それでは暖房に利用するための十分な熱を生産できないため、普段は停止している場面でもエンジンが動き、結果その他の季節よりも大きく燃費が悪化してしまうのだ。
常時エンジンの稼働を極力抑えることで優れた燃費性能を実現しているハイブリッド車両だけに、暖房の使用による冬場の燃費の悪化を顕著に感じるのである。
燃費向上の方法
冬場の燃費の悪化を少しでも抑えるためにも、①必要以上のアイドリングを行わないことと、②エアコンをオンにしないことが重要なポイントになる。
既に述べた通りアイドリングにより結構な量の燃料が使われるが、10分間に100ccもの燃料をロスしてしまうことを考えれば、必要最小限の暖気を除き無駄なエンジンの稼働は可能な限り減らしたいところ。
また、基本的に冬場にエアコンを使用する必要はないので、誤ってスイッチをオンの状態にしないように注意が必要だ。
終わりに
今回は冬場の燃費の悪化と暖房の関係について投稿してきたが、少なくともガソリン車においては両者に直接の関係はないと言える。
一方、ハイブリッド車両は低温環境下で普段のようにエンジンを停止することが困難になり、結果燃費が悪化する傾向が特に強いことを覚えておこう。
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