ネットオークションに絶えず付きまとうのが”オークション詐欺問題”である。
被害に遭ってしまっても警察が被害届を受理してくれないケースも多く、被害者が泣き寝入りせざるを得ないことも少なくない。
そこで今回は、オークション詐欺被害経験者の私が、オークション詐欺にあった場合に警察を動かす方法を解説しようと思う。
実際に被害に遭ったが警察が動いてくれず困っている人の役に立てれば嬉しいと思う。
警察が動かない理由
まずはじめに、オークション詐欺被害に合ったにも関わらず、警察が動いてくれない理由から確認しておく。
簡単に言えば、“詐欺事件の条件を満たしていない”と判断されるからである。
長くなるので簡潔に述べるが、詐欺事件が成立するためには、様々な条件を満たさなければならない。
“相手がはじめから被害者を騙すつもりであった”と言える根拠がなければ詐欺事件として扱ってくれないのである。
例えば、”お金を振り込んだにも関わらず相手が商品を送ってこないケース”について考えてみよう。
もちろんこの場合も、”相手がはじめから被害者を騙すつもりであった”と言うことが立証できるのであれば警察は”詐欺事件”として扱ってくれる。
例えば、他にも同様の被害が多数報告されている場合などは、その根拠としては十分である。
ところが、相手が、「〜日後に必ず発送するのでもう少し待って欲しい」などと連絡してきているのであればかなり厳しい。
“あくまでも相手に商品を送付する意思があるわけだから、被害者を騙すつもりがあったとは言えない”となってしまうのである。
詐欺事件の構成要件について詳しく述べたページがあるので、詳細はそちらで確認して欲しいと思う。
警察を動かす方法
警察を動かすと言うことは、具体的には、警察が被害届を正式に受理し、刑事事件として正式に捜査を開始する状況をつくることである。
警察が捜査を開始すれば、かなりの確率で犯人は逮捕される。
被害金や被害物が帰ってくるかどうかはわからないが、大きな前進であることに違いはない。
以下に、どうやってここまでの状況をつくることができるのかを述べる。
内容証明郵便を送る
これは、極めて基本的なことである。
警察に被害届を出しに行くと、「現時点では刑事事件として扱うことができないので、とりあえず内容証明郵便を出してみてください」と言われることも多い。
被害にあったことを疑い始めた段階では、本当に詐欺事件に巻き込まれたのかどうかがはっきりしないいわば“グレーゾーン”の中にいる状況なのだ。
相手が発送や支払いを忘れている可能性も否定できないし、病気などの不慮の事態が発生し、相手が本来すべきである商品の発送や商品第の支払いをすることができないこともあり得る。
また、単に、こちらからの連絡が届いていない可能性すら否定できないのである。
そこで、相手に対し、商品の発送や金銭の支払い等の要求を間違いなく伝えてあると言うことを証明するためにも内容証明郵便の送付が必要なのだ。
警察を動かしたければ内容証明郵便を送ることは必須であると考えた方がよい。
証拠を集める
初めて警察に相談した段階では被害届を受け取ってもらえないかもしれない。
しかし、そこで落ち込んで諦めてしまうのでは全てが終わりである。
警察任せではなく、自らの力であらゆる情報を入手するつもりで行動すべきだ。
例えば、ネットの検索欄に詐欺師と思われる相手の名前を入力するだけでヒントが得られるかもしれない。
私のケースでは、過去に同じ相手から被害にあった人が多くいたため、ネット上の掲示板にそれを訴える書き込みがなされていたのである。
他にも被害者がいる可能性が高いと言うだけでも大きな前進である。
グーグルマップを使えば、相手の連絡先住所が本当に存在しているのかどうかもある程度見当がつく。
これで、架空の住所であることが確認できればしめたものだ。
このように、実は自分でやれることは多いのだ。
意外かもしれないが、被害届を受理してもらえない段階でも、警察が全く何もしていないわけではない。
当然、優先して捜査すべき事件もあるわけで、どれほど力を注ぐことができるかはわからないが、最低限やるべきことはやっている。
例えば、相手の前科や前歴の照会や、金銭の支払いがなされていればその通帳講座に不審な点がないかどうかの確認と言った、警察にとっては簡単にできることはやってくれているのだ。
ここで、“相手が初めから騙すつもりで行動していた”と言うことを根拠付ける証拠が1つでも2つでもあれば、警察が捜査に踏み出す状況へ近付くことができるのだ。
とにかく、不審な点、疑わしい点を1つでも多く見つける努力をすることが大切である。
それらが多ければ多いほど、警察に対してこれが詐欺事件であることを強く訴えることができるのだ。
- 相手の住所等連絡先(実在するかどうかも含め)
- 相手とのやり取りの記録(メール内容等は必ず保管しておく)
- 同一人物による他の被害者の有無
- 内容証明郵便の受け取りの有無(相手が配達記録と異なることを言う場合あり)
- 奪われた商品の流通の有無(出品者の場合、ネットショップ等への出品の有無)
粘り強く訴える
単純なことでがっかりした人もいるかもしれないが、実はこれが最も大切かもしれない。
1度2度断られたくらいで諦めずに、何度も警察へ足を運んで訴えることが大切だ。
警察の人たちも人間である。
こちらの必死さを訴えただけでも十分に効果はあるのだ。
実際に被害に遭った場合、まずは最寄りの警察署へ足を運ぶと思うが、そこで被害届を受理してもらえなかったり、刑事事件としては認められないと言われたりすることもある。
その場合は、他の警察署で相談するのも効果的だ。
できれば、大きな都市の警察署がよい。
また、県警の本部へ直接足を運ぶことも極めて効果的である。
事情を説明すれば話くらいは聞いてくれる。
そこで、先ほど述べたような証拠と言える内容を余すことなく伝えることが大切である。
私の場合も、最寄りの警察署に2度足を運んだが、2回とも刑事事件としては扱えないと言われてしまった。
しかし、被害額が大きかったために犯人への怒りが収まらず、どうしても諦めることができなかった。
そこで、県庁所在地の警察署と県警本部へ乗り込み、そこで話を聞いてもらった。
自分で収集したすべての情報と、詐欺事件である根拠を伝え、それでも被害届を受理してくれなかった最寄りの警察署の対応への不信感もはっきりと伝えた。
その結果、その県警本部の方より、“詐欺事件として扱うべき事例だ”との回答をいただくことができたのだ。
当然、県警本部から最寄りの警察署へ指示が出され、初めは被害届の受理を拒否した最寄りの警察署が正式に被害届を受理し、刑事事件として捜査を開始するに至ったのである。
私の場合は、最寄りの警察署の人よりも、他の署そして県警本部の方の親切で誠実な対応に助けられたと言えるだろう。
もちろん、他の署へ足を運んでも詐欺事件であることを訴える根拠となる情報がなければ厳しいことは言うまでもない。
先ほども述べたが、警察が動かざるを得ないような決定的な根拠を可能な限り収集することが大切なのである。
被害届が受理された後は
被害届すら受理されないケースも多いが、被害届が受理されたからといって警察が捜査を行うとは限らない。
被害届を受理したら必ずその事件を捜査しなければならないという決まりはないのだ。
優先すべき事件が数多くあればそちらに力を割かねばならないし、犯人を逮捕したところで証拠不十分のため起訴できる見込みがないと言う理由で捜査が打ち切られることもある。
被害届を受理されたからといって安心ではないのだ。
重要なことは、被害届が受理された後も警察とのコンタクトを取り続けることだ。
捜査の進展を確認しつつ、警察に対し、しっかり捜査してくれと言う要求を示すことを忘れてはならない。
私の場合は、2週間に1度のペースで警察へ連絡をすることを怠らなかった。
被害者が事件のことを重要なものと考えていることを警察にアピールするだけでも、警察の捜査への熱の入り方に影響するものと考えられる。
疑問に思うことはどんどん質問し、こちらの必死さも伝えよう。
終わりに
オークション詐欺にあったというだけで、受ける精神的ショックは大きい。
その上警察に相談しても取り合ってもらえないとなればその精神的ダメージは計り知れない。
しかし、絶対に泣き寝入りしてはならない。
自らが警察になったつもりで証拠集めをし、警察に対し、詐欺事件であることを熱心に伝えることが大切である。
諦めずに粘り強く行動すれば、必ずよい結果になるはずだ。
コメント
文章を読んで勇気が湧きました。
私もオークションでローレックス時計を落札して120万円振込ました。
連絡も途絶え、商品も送って来ません。これから行動に出ます。
ありがとうございます。
コメントありがとうございます。当方の投稿が少しでもお役に立てたのでしたら何よりも嬉しく存じます。お話をお伺いする限りでは少なくとも刑事事件としての立件につきましてはそれほど厄介なケースではないようにも思えますが、詐欺被害者は地獄のような日々を経験することになります。私の経験をお話しすることで何かお役に立てることがあるかもしれません。お気軽にご相談ください。
大変参考になりました。私の場合は最寄りの警察署で安全相談番号は発行してもらいましたが、なかなか先に進まない状況です。このまま粘る方が良いか、別の警察署での相談も視野に入れたほうが良いか、ご意見お聞かせ願えれば幸いです。最初に申しましたとおり安全相談番号は発行してもらっています。
返信が遅れ誠に申し訳ありません。オークション詐欺に遭われたのですね…。拝見する文面ではどのようなパターンなのか詳細を理解できませんが、まずは正式な刑事事件として警察が動く状況を確立することが最重要と存じます。被害届の受理が行われているのであれば確立は高いと思われますが、安全相談番号の発行と言うことは被害届の受理はなされていないものと推察いたします。とにかく自身がお持ちの証拠を警察に提示し詐欺事件であることを訴えることが最優先課題ではないでしょうか。最寄りの警察署の対応が渋い場合は県内の別の警察署(可能な限り大きな署)や県警本部に連絡を入れることも有効な手段です。また、正式な被害届の受理がなされていない常用でも警察が操作を行う場合もあります。このケースでは刑事事件として立件が可能か否か、つまり現実問題として犯人の逮捕が可能かどうかを探ることが目的です。よって、あなたが何かしらの手がかりをお持ちでしたら全て警察に提示してください。