必要以上に先行車両との車間距離を詰め、圧力をかける悪質な運転を行うドライバーを見かけることがあるが、それが立派な交通違反であることをご存知だろうか。
今回は、この車間距離の不保持と煽り運転について投稿する。
車間距離不保持
車間距離の詰め過ぎは立派な交通違反であるが、以下にその根拠となる“道路交通法第26条”を載せた。
(車間距離の保持)
車両等は同一の進路を走行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。
道路交通法第26条より
最後の“これから”の意味がよく解らないものの、車両等が先行車両が急ブレーキをかけた場合にも追突しない程度の車間距離を保たなければならないことが規定されており、これに違反した場合は交通違反(“車間距離不保持”)に問われることになる。
反則金や点数等の処分については下の表にまとめた通りだが、同じ車間距離不保持でも、その現場が一般道の場合と高速道路の場合で内容に差があることもポイントだ。
反則行為 | 行政処分 | 刑事処分 | ||||
点数 | 反則金(円) | 罰則 | ||||
大型 | 普通 | 2輪 | 原付 | |||
車間距離不保持 | 1点 | 7,000 | 6,000 | 6,000 | 5,000 | 5万円以下の罰金 |
高速自動車国道等車間距離不保持 | 2点 | 12,000 | 9,000 | 7,000 | 3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金 |
取り締まり状況
この車間距離不保持に特化した取り締まりが行われることはないものの、極端に先行車両との距離を詰めたところを警察官に目撃された場合には検挙される可能性がある。
もちろん、常識的な範囲であれば違反を追及されることはなく、過度の心配は無用であるが、あまりにも車間距離を詰め過ぎると“煽り運転”と判断され、検挙の対象になることもあり得るので十分に注意しよう。
なお、“煽り運転”については以下で解説する。
煽り運転
運転中、前を走る車両の後ろにぴったりと付き、蛇行やパッシングを繰り返し威嚇をしながら走行する悪質な車両を見かけることがあるが、これらの行為を“煽り運転”と呼ぶ。
一般にこれを行う車両ほど不法な改造が行われていることが多く、爆音を轟かせながら走行することも珍しくないため、先行車両はじめ周囲の車両の運転者が受ける精神的圧力は相当なものである。
この煽り運転をきっかけとして交通事故が起こる可能性も否定できないだけに悪質度は高く、絶対に許されない卑劣極まる行為であるが、その現場を警察官に目撃されたとなれば当然ながら当事者が即検挙される蓋然性が高いはずだ。
事故を起こした場合
煽り運転を行い交通事故を起こした場合、当事者の責任はとてつもなく大きい。
仮に死傷者が出たとなれば“危険運転致死傷罪”に問われる可能性もあり、その場合は“1年以上の有期懲役”と言う非常に重い量刑に処せられることになる。
(危険運転致死傷罪)
第2条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処す
(第1号~第3号省略)
4 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条より
有期懲役の刑期は最長20年間であるから長期間の懲役になる確率が高く、このことからも罪の重さを知ることができるが、何よりも死者や負傷者が出てしまえば被害者の人生にとって大きな損失となるわけだから、絶対にこのような行為を行ってはならないのだ。
- 危険運転致死罪(相手が死亡):1年以上(20年以下)の有期懲役
- 危険運転致傷罪(相手が負傷):15年以下の懲役
終わりに
本投稿では“車間距離不保持違反”について考察してきたが、事故を防ぐためには先行車両との適切な車間距離を保つことが重要である。
もちろん、煽り運転などは言語道断であり、絶対にこれを行ってはならないことを最後に繰り返しておきたい。
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