高速道路、高規格幹線道路、高速自動車国道、自動車専用道路の4つは同じような意味で用いいられる用語だが、それぞれの意味を正確に理解されているだろうか。
今回はこれらの用語を細かく解説し、各々の意味の違いにも迫りたいと思うので、是非最後までお読みいただきたい。
高規格幹線道路
高速道路とは、その名の通り自動車が高速で通行可能な道路を意味する言葉であり、具体的には①高速自動車国道と②自動車専用道路のことを言う。
その法的根拠は“高速道路株式会社法第2条”にあるが、以下にその条文を載せた。
(定義)
この法律において、「高速道路」とは次に掲げる道路をいう。
1 高速自動車国道法第4条第1項に規定する高速自動車国道
2 道路法第48条の4に規定する自動車専用道路(同法第48条の2第2項の規定により道路の部分に指定を受けたものにあっては、当該指定を受けた道路の部分以外の部分のうち国土交通省令で定めるものを含む。)並びにこれと同等の規格及び機能を有する道路(一般国道、都道府県道又は同法第7条第3項に規定する指定市の市道であるものに限る。以下、「自動車専用道路等」と総称する。)
高速道路株式会社法第2条第2項より
この高速道路の他、道路の規格を表す用語として“高規格幹線道路”があるが、その定義は“自動車が高速かつ安全に走行可能な構造を持つ道路”とされている。
すなわち高速道路(高速自動車国道と自動車専用道路)を指すと解釈できるが、国土交通省が同様の回答をしていることからも、その理解で問題ないはずだ。
少々ややこしい話ではあるが、自動車が高速で走行可能な道路の総称が高速道路並びに高規格幹線道路であり、高速自動車国道と自動車専用道路がこれに該当すると考えれば理解しやすいと思う。
高速道路(高規格幹線道路) | |
高速自動車国道 | 自動車専用道路 |
高速自動車国道
自動車専用道路とともに高速道路並びに高規格幹線道路に該当する道路が“高速自動車国道”であるが、その根拠は“高速自動車国道法第4条第1項”にある。
(高速自動車国道の意義及び路線の指定)
高速自動車国道とは、自動車の高速交通の用に供する道路で、全国的な自動車交通網の枢要部分を構成し、かつ、政治・経済・文化上特に重要な地域を連絡するものその他国の利害に特に重大な関係を有するもので、次の各号に掲げるものをいう。
1 国土開発幹線自動車道の予定路線のうちから政令でその路線を指定したもの
2 前条第3項の規定により告示された予定路線のうちから政令でその路線を指定したもの
高速自動車国道法第4条第1項より
後述する自動車専用道路との違いを理解するためにも、“この地域、区間に高速自動車国道をつくろう”という国の方針のもと開発の段階からその区間が指定され、建設が行われることを覚えておこう。
自動車専用道路
自動車専用道路も高規格道路並びに高速道路に該当するが、その定義は“自動車のみの一般交通の用に供する道路又は道路の部分”であり(道路法第84条の2)、高速自動車国道と違い一般道に分類される。
よって“一般国道自動車専用道路”と呼ばれる場合もあることと、当該地域の交通状況を踏まえ、その交通をより円滑にすることを目的に建設されることが特徴だ。
“地域のごとの交通状況を踏まえ必要に応じてつくっていきましょう”と言うコンセプトと考えてよいだろうが、“ここに高規格幹線道路を建設しよう”と言う国の方針のもと建設が行われる高速自動車国道とは対照的であるように思える。
通行可能車両
同じ高規格幹線道路であるとは言え、高速自動車国道と自動車専用道路では走行可能な車両の種類に違いがある。
高速自動車国道ではミニカー、普通自動2輪車(125cc以下)、原付、小型特殊自動車、牽引車両の通行が禁止されるが、自動車専用道路では小型特殊自動車と牽引車両が通行が可能。
個人的には、牽引車両はともかくとして、トラクター等の小型特殊自動車が走行できることには安全上の疑問を感じずにはいられないが…。
高速自動車国道 | 一般道自動車専用道路 | |
通行不可能な車両 |
|
|
走行速度
高速自動車国道と自動車専用道路では走行速度についても異なる部分があるが、前者の法定最高速度が100km/hであるのに対し、一般道である後者は60km/h。
よって、自動車専用道路を通行する車両は、速度指定が行われている区間を除いて60km/hを超えない速度で走行しなければならない。
実際には道路標識により100km/hの速度指定が行われている場合がほとんどであるが、仮にも速度指定がない状況において60km/h以上で走行しようものなら“速度超過”で検挙の対照となるので、十分に注意が必要である。
また、高速自動車国道には50km/hの“法定最低速度”が設けられているが、自動車専用道路ではそれがないことも覚えておきたいところだ。
高速自動車国道 | 自動車専用道路 | |
法定最高速度 | 100km/h | 60km/h |
法定最低速度 | 50km/h | なし |
料金
高速自動車国道の利用料金は走行距離に比例するため、原則として全国で同じ料金体系が採用されている。
走行距離1km毎に加算される可変額とターミナルチャージの合計が1回の利用料金になるが、下の表も是非参考にしていただきたい。
可変額(走行距離1kmあたり) | ターミナルチャージ(固定額/利用1回ごと) | |
普通車 | 24.6円 | 150円 |
大型車 | 40.6円 | |
特大車 | 67.7円 | |
中型車 | 29.5円 | |
軽自動車 | 19.7円 |
一方の自動車専用道路には無料区間も存在する他、有料区間の料金も各道路により異なるなど、高速自動車国道の料金体系とは少々事情が異なるようだ。
終わりに
“高速道路”、“高規格幹線道路”、“高速自動車国道”、“自動車専用道路”の意味とそれぞれの関係をご理解いただけただろうか。
何とも複雑な話であるが、高速道路並びに高規格幹線道路が高速自動車国道と自動車専用道路に分類されると覚えておこう。
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