“4WD車は燃費が悪い”と言われるが、2WD車と比べてどれくらい数値が悪化するのかが気になるところだ。
そこで今回は、同じ車種で2WDと4WDモデルが用意されている車の燃費を調査してみた。
はじめに
はじめに、4WD車の燃費が悪化する理由を確認したいが、話はとても単純だ。
4WD車はエンジンの出力を後輪へ伝えるために、プロペラシャフトはじめより多くの部品が使われるため、車体が重くなってしまう。
これにより燃費が悪化することはもちろんだが、駆動輪が4つになることによる駆動抵抗の増加も燃費の悪化に影響すると言われている。
燃費悪化の程度
ここで、各車種の2WDモデルと4WDモデルの燃費を調査した結果を載せる。
メーカー | 車種 | 燃費(km/L) | 2WD車との比較 | |||
2WD | 4WD | 数値の差(km/L) | 悪化率(%) | |||
スズキ | アルト | 37.0 | 33.2 | 3.8 | 10.3 | |
ワゴンR | 33.0 | 30.8 | 2.2 | 6.7 | ||
イグニス | 28.0 | 25.4 | 2.6 | 9.3 | ||
ダイハツ | ムーヴ | 31.0 | 27.6 | 3.4 | 11 | |
タント | 28.0 | 25.8 | 2.2 | 7.9 | ||
ホンダ | n-one | 28.4 | 25.8 | 2.6 | 9.2 | |
フィットバイブリッド | 36.4 | 29.0 | 7.4 | 20.4 | ||
ステップワゴン | 16.2 | 15.4 | 0.8 | 5 | ||
トヨタ | プリウス | 37.2 | 34.0 | 3.2 | 8.6 | |
オーリス | 18.2 | 16.4 | 1.8 | 9.9 | ||
クラウン(ハイブリッド) | 23.2 | 21.0 | 2.2 | 9.5 | ||
マーク X | 11.8 | 10.6 | 1.2 | 10.2 | ||
ノア | 16.0 | 14.8 | 1.2 | 7.5 | ||
アルファード | 12.8 | 12.0 | 0.8 | 6.2 | ||
マツダ | デミオ | ガソリン | 24.6 | 20.6 | 4.0 | 16.3 |
ディーゼル | 26.4 | 22.8 | 3.6 | 13.6 | ||
cx-3 | 23.0 | 21.0 | 2.0 | 8.7 | ||
アテンザ(ディーゼル) | 20.0 | 18.2 | 1.8 | 9 |
やはり、2WD車と比較して4WD車の燃費が悪化することは間違いないのだが、こうしてまとめてみるとなかなか興味深い。
最も悪化の程度が大きいのはホンダのフィットハイブリッドで、その差は“7.4km/L”。
一方で、最も差が少ないのは同じくホンダのステップワゴンの“0.8km/L”でほとんど差がないと言えるくらいだ。
私のように、“4WD車は2WD車よりも燃費がかなり悪化する”と考えている方も少なくないと思うが、意外にも、両者の燃費にほとんど差がないケースも少なくないことがわかる。
その他には、クラウンやマークX、アルファードあたりも4WD車の燃費の悪化の程度が少ないが、3ナンバーサイズのセダンやミニバンなどの大きな車ほどその傾向が強いようだ。
燃料代の比較
それでは、今回調査した燃費データをもとに、2WD車と4WD車の燃料代の違いを算出してみようと思う。
対象となるは、フィットハイブリッド、デミオ(ガソリン車)、アルファードの3台。
計算に用いる燃費は、より実燃費に近付けるためメーカー公表値の7割とし、ガソリン価格は120円/Lと仮定する。
車名 | 駆動方式 | 燃費(km/L) | 燃料代(円) | ||
メーカー公表値 | 公表値×70% | 走行距離1km | 走行距離1万km | ||
フィットハイブリッド | 2WD | 36.4 | 25.5 | 4.8 | 48,000 |
4WD | 29.0 | 20.3 | 6 | 60,000 | |
デミオ(ガソリン) | 2WD | 24.6 | 17.2 | 7.1 | 71,000 |
4WD | 20.6 | 14.4 | 8.6 | 86,000 | |
アルファード | 2WD | 12.8 | 9.0 | 13.3 | 133,000 |
4WD | 12.0 | 8.4 | 15 | 150,000 |
年間走行距離を1万kmとすると、2WD車と4WD車の燃料代の違いはフィットが“12,000円”、デミオが“15,000円”、アルファードが“17,000円”である。
駆動方式ごとの燃費の差が“0.6km/L”と3台の中で最も小さいアルファードが、燃料代の違いにおいては“17,000円”で最も大きなものになっていることは興味深い。
このことからも、燃費の数字が小さくなるほどその差が燃料代に大きく影響すると考えて間違い無いだろう。
いずれにせよ、ほとんどの人は年間1万kmほどしか走行しないわけで、車種の違いを考慮しても、4WD車を選択することによる燃料代の負担増は20,000円以下なのだ。
駆動方式が4WDになることでの走行安定性や雪道での安全性の向上を考えれば、この差額が大きいとは決して言えないだろう。
最近の車は特に燃費がよく、“少しでも良い数字を出したい”と言う気持ちから、迷わずに2WD車を選択してしまう傾向があるが、これを見直す必要があるようにも思える。
終わりに
こうして実際に計算してみると、駆動方式が4WDになることでの燃料代の高騰はそれほど大きなものではないことがわかる。
雪が多く降る地域へお住いの方や走行安全性を重視するのであれば、迷わず4WD車を選択するべきなのかもしれない。
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