今年7月にマイナーチンジを果たしたアクセラの最上位モデル、22XDに1日試乗することができたので、その内容を投稿する。
そのトルクの太さと燃費の良さは想像以上だったが、詳しくは内容を読んで欲しいと思う。
はじめに
はじめに、今回試乗したモデルと走行コースを確認しておきたい。
試乗したのは22XD LPackageだが、2.2Lディーゼルモデルの中でも、アクセラ全グレードの中でも最上位に位置するモデルである。
試乗コースは、郊外を中心に約150kmを走行。
市街地や山道も走ってみたが、後者については、難所として有名で、以前デミオやSAIで走行しているコースである。
いずれもこれまで何度も走行しているコースであり、私のデミオはじめこれまで試乗した車との比較もしやすい。
走り
動力性能
搭載されるエンジンは、2.2Lディーゼル(SKYAVTIVE-D 2.2)だが、マイナーチェンジ前と全く同じものである。
最高出力や最大トルクに変化はないが、スペックは下の表を参照して欲しい。
型式 | 総排気量(L) | 最高出力(kW<PS>/rpm) | 最大トルク(N・m<kgf・m>/rpm) |
SKYACTIVE-D 2.2 | 2.188 | 129<175> | 420<42.8> |
例によってその圧倒的なトルクは凄まじく、急な上り勾配でも軽々と登るが、エンジン回転数は1,500回転ほど(笑)。
しかも、前をゆっくり走るダンプカーに追従しながらの事なので、その衝撃的な低速トルクの太さを改めて知ることができた。
高速道路を走行する場合にも余裕が有り余る印象で、少しアクセルペダルを踏み込むと簡単に100km/hを超えてしまう。
こうして考えても、よほどの急勾配や高速道路での急加速が必要な場合を除いては、その動力性能の大部分を持て余すことは間違いない。
詳しくは後述するが、日常領域での使用においては15XDで十分過ぎると思われる。
加速
エンジンのスペックからしてその加速力が凄まじいことは言うまでもないが、アクセルの踏み加減に対する反応は、改良前とだいぶ異なる印象を受けた。
私は普段からかなりのエコ運転をするのだが、いつものようにゆっくりアクセルペダルを踏めば、以外にも静かに加速する。
この感覚は、排気量がより小さい15XDや私のデミオ(ガソリン車)ともさほど変わらず、思わず驚いてしまった。
よって、最大420N・mと言う衝撃的なトルクを誇るものの、ペダルを少し踏んだだけで急加速してしまうようなことは一切ない。
もちろん、素早く、強く踏み込めば、背中が強くシートに押し付けられるほどの加速をする。
例えば、高速道路を70km/hで巡航中にペダルを強めに踏み込むと、一瞬で100km/hまで到達してしまうのだ。
そのまま160km/hくらいまで一気に到達しそうな手応えだったが、日本の道路事情では危険だし、法律違反でもあるからくれぐれも自重して欲しい。
このように、アクセルペダルの踏み込み込み加減に対して車が忠実に反応することは見事であり、扱い難さを感じることは全くなかった。
本当に見事な完成度だと思う。
安定性・乗り心地
今回のMCを受け、GVC(Gベクタリングコントロール)が搭載され、コーナーでの車体及び乗員の体勢の安定性の向上が話題になっているが、期待を裏切らない素晴らしい出来だった。
交差点での右左折やコーナーを通過する際に、全くと言ってよいほど体が振られることがなかったのだ。
これは、もちろん、GVCの恩恵を受けてのことと思われるが、ボディ剛性がしっかりしていて初めて実現できることでもある。
SKYACTIVE-TECHNOLOGYのコンセプトのもと、シャーシから足回りまで、徹底的につくり込んできた結果と言えるだろう。
横揺れが少ないために非常に快適で、安心感も抜群に高いが、高速道路を100km/hで走行していても全く不安を感じることはなかった。
この辺りは、私のデミオと比べても明らかに優れている印象を受ける。
ただし、路面からの入力からタイヤが薄いことが伝わってきたので、この点は改善の余地があるとはずだ。
もちろん、乗り心地に不満があるわけではなくこのままでも十分に快適だが、18インチのみならず、16インチホイールも選択できるようになればさらに良いと思う。
静粛性
静粛性も明らかに向上しているが、特に、エンジンノイズが軽減されていると感じられた。
以前マイナーチェンジ前のモデルに試乗した時はディーゼルエンジン特有のガラガラ音が少々目立つ印象を受けたが、MC後はかなりマイルドなサウンドになっている。
ボリューム自体もより小さく抑えられているが、”ナチュラルサウンドスムーザー”や”ナチュラル・サウンド・周波数コントロール”の効果が大きいのだと思う。
もちろん、ディーゼル車である以上エンジン音の質感はガソリン車とは異なり、ガソリンエンジンのサウンドを好まれる方にとっては、やはり納得できないかもしれない。
これについては、どこまでガソリンエンジンのサウンドに近付けることができるかが次の目標になると思われるが、マツダの頑張りに期待したいところだ。
とは言え、エンジン音が耳に入ってくるのはアイドリングストップからの再始動時くらいで、少し走り出してしまえば全く聞こえなくなる。
速度が上がれば上がるほど室内は静かになるが、車体の安定性の良さも相まって、高速道路を100km/hで走行中の車内は非常に快適。
風切り音やロードノイズも低く抑えられているが、遮音材や吸音材の使用など防音・遮音対策がしっかりと行われている結果と考えられる。
留意点
今回の試乗で最も意外だったのは、ATの制御である。
具体的には、走行速度に対するエンジン回転数と使用するギアが、アクセラの他のグレードやデミオとは少々異なるように感じられたのだ。
例えば、一般道を60km/hで巡航している場合に、5速、2,000回転を使用することが何度かあった。
排気量やトルクの太さではるかに劣る私のデミオ(ガソリン車)でさえ、60km/h走行時には6速、1,300回転を使用するだけに、アクセラならより少ない回転数で済むはずだが・・・。
路面状況を正確に捉え適切なギアを使用していることに間違いはないと思われるが、そこから少しアクセルを踏むと、加速後に6速に入るようだ。
もしかするとシフトアップのタイミングが少々ゆっくりなのかもしれないが、アクセルペダルの踏み込み加減でこれが変化する可能性も十分にある。
ちなみに、高速道路を100km/hで巡航中のエンジン回転数は、ちょうど2,000回転。
同条件で、デミオ13S(ガソリン1.3L)が6速、2,100回転、デミオXD(ディーゼル1.5L)が1,700回転ほどであるから、こちらも少々疑問が残るところではある。
今回の試乗では、これらの点については十分に特性を把握することができなかったので、このモデルを所有されている方などの意見など、是非お聞かせ願いたいと思う。
もちろん、5速、2,000回転でもエンジン音は一切聞こえず、快適性には全く影響しないので、否定的に捉える必要は全くない。
燃費
様々なチュチエーションで燃費を測定したが、結論を言えばかなり燃費が良いと言える。
市街地を普通に走行した場合(走行距離約15km、信号で2~3度ストップ)には、18~19km/Lを記録。
信号に捕まることなく郊外を約20km走行し終えた時の燃費計は、何と25.8km/Lを表示していた。
高速道路を約20km、時速100km/hで巡航した時にも20km/Lを記録したことからも、抜群に燃費が良いことがわかる。
メーカー公表値が21.4km/Lであるから、それを上回る数値を記録することも十分に可能なようだ。
しかも、終始エアコンをONにしていたのだから驚くばかりである。
さらに衝撃を受けたのは“満タン法”での計算結果だが、147km走行したにも関わらず、給油量はたったの5.38Lであった。
これで計算すると、27.3km/L。
燃費計の表示を上回る数字だけに信じ難いが、おそらく貸し出し前の給油時、オートストップが動作してからも給油を続けたのではないかと思う。
よって、実際にはもう少し燃料消費量が多かったはずだ。
それでも、オートストップ後に給油できるのはせいぜい2~3L程度であるし、今回の試乗の平均燃費が20km/Lを下回らない事は確実だと思う。
本当に素晴らしい燃費性能である。
市街地 | 郊外 | 渋滞 | 高速道路(時速100km/h) | |
燃費 | 18~19km/L | 25~26km/L | 測定なし | 20km/L |
デザイン
外観
7月のマイナーチェンジで、フォグランプの形状やグリルのデザインが少し変更されている。
また、新たなボディカラーとして、“マシーングレープレミアムメタリック”や“エターナルブルーマイカ”、“ソニックシルバーメタリック”が加わった。
トップにある画像は今回の試乗車だが、ボディカラーは”ディープクリスタルブルーマイカ”である。
詳細は、下のリンクを辿って欲しい。
内装
7月のマイナーチェンジを受け、L Packageではブラックのレザーにブラウンのアクセントが加えられた。
なお、この他、ホワイトレザーも選択可能だ。
ちなみに、同じL Packageでも15XD L Packageとは微妙に異なり、前席のカップホルダーに蓋が付いている。
終わりに
今回、アクセラ22XDに試乗して、マイナーチェンジ前よりもさらに素晴らしい車に進化したことを実感できた。
アクセラには15XD、15Sと他にも素晴らしいモデルがあるので、購入を検討されている方には、よく考えた上で適切に決断して欲しいと思う。
コメント