2016年7月14日、マイナーチェンジを果たしたアクセラが販売開始となったが、その変更点について投稿しようと思う。
注目が集まる新登場の15XDにも試乗することができたので、その内容もレポートする。
なお、トップの画像はマツダさんのホームページより引用させてただいたものであることをご了承願いたい。
変更点
今回の主な変更点は、下の表にある通り。
やはりGVC(Gベクタリングコントロール)の搭載に注目が集まるが、新グレード15XDの登場など、他にも見逃す事ができない点が多い。
詳細は以下で見て行くので、続きを読んで欲しいと思う。
走行性能 | 全車共通 |
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ディーゼル車 |
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安全装備 |
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デザイン | 内装 |
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外観 |
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価格・グレード |
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その他 |
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新グレード(1.5Lディーゼル)の登場
今回のマイナーチェンジで、待望の1.5Lディーゼルエンジンを搭載する新モデルが登場したことが大きな関心を集めている。
これにより、2.2Lと1.5Lの2つパワートレーンを選択することが可能になったのだ。
1.5Lモデルには3つ、2.2Lモデルには2つのグレードが用意されるが、これまでのディーゼル車はXDのみだっただけに、ユーザーの選択肢が増えたことは嬉しい限りである。
一方、ガソリン車は、2.0エンジンを搭載したモデルが廃止され、1.5Lエンジン搭載モデルのみの販売となった。
あまり売れ行きが好調ではなかった2.0Lモデルから、1.5Lディーゼルモデルにシフトしたものと考えてよいと思う。
ハイブリッド車については、これまでと同様である。
マイナーチェンジ前 | マイナーチェンジ後 | ||||
エンジンタイプ | 排気量(L) | グレード | エンジンタイプ | 排気量(L) | グレード |
ガソリン | 1.5 | 15C | ガソリン | 1.5 | 15C |
15S | 15S | ||||
15S Touring | 15S PROACTIVE | ||||
2.0 | 20S | ディーゼル | 1.5 | 15XD | |
20S Touring | 15XD PROACTIVE | ||||
20S L Package | 15XD L Package | ||||
ディーゼル | 2.2 | XD | 2.2 | 22XD PROACTIVE | |
ハイブリッド | 2.0 | HYBRID-C | 22XD L Package | ||
HYBRID-S | ハイブリッド | 2.0 | HYBRID-C | ||
HYBRID L Package | HYBRID-S PROACTIVE | ||||
HYBRID-S L Package |
走行性能
①GVCの搭載、②DE精密過給制御、③ナチュラル・サウンド・スムーザーと④ナチュラル・サウンド・周波数コントロールの標準装備など、走行性能の改良が大きい。
GVCは、コーナーでの遠心力を制御して車体の安定性を向上させる仕組みだが、全グレードに標準装備される。
②〜④はいずれもディーゼル車に搭載される機能だが、DE精密過給制御によりターボの過給圧をより適切に制御することが可能になった。
これにより、アクセルペダルの踏み加減に対して忠実にトルクが発生するので、さらに運転がしやすくなるはずだ。
ナチュラル・サウンド・スムーザーとナチュラル・サウンド・周波数コントロールは、いずれもディーゼルエンジンのノイズを軽減する機能のこと。
既にデミオやCX-3に搭載されて一定の評価を得ているので、静粛性の向上を期待できることに間違いないと思う。
安全装備
安全性能の向上も大きいが、①ALHの搭載と②衝突被害軽減ブレーキの性能アップに注目して欲しい。
両者ともに、非常に魅力的なシステムである。
アダプティブ・LED・ヘッドライト
こちらは、対向車や前を走る車両を車が認知し、ヘッドライトの照射を最適なものに制御してくれる仕組みである。
前を走行する車のドライバーが幻惑される事がないよう、照射範囲が自動でコントロールされたり、交差点の右左折時に従来より広角な範囲を照らす事が可能なようだ。
この機能により、夜間運転時の安全性が向上することは確実だと思うが、詳細は動画を確認して欲しい。
アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキサポート
スマート・シティ・ブレーキ・サポートが、アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキサポートに進化したが、性能が大きく向上している。
これまでは障害物検知の対象が車両のみだったが、今回から人も認知可能になった。
また、システム動作条件が4~30km/h走行中から4~80km/h走行中に引き上げられ、安全性が大幅にアップしたことに疑いの余地はない。
さらに、これが15Cを除く全グレードに標準装備されることは嬉しい限りで、ALHとともに、間違いなく安全性の向上に貢献してくれるはずだ。
障害物検知の対象 | システムが動作可能な走行速度(km/h) | ||
歩行者を検知する場合 | 車両を検知する場合 | ||
マイナーチェンジ前 | 車両 | 検知不可 | 4~30 |
マイナーチェンジ後 | 車両と歩行者 | 10~80 | 4~80 |
外観
マイナーチェンジであるから、ボディの形状や大きさは以前と変わらない。
しかしながら、フロントデザインがより洗練された印象が強く、グリルとフォグランプの形状が若干変化しているようだ。
個人的には、CX-3に近いデザインになったような気もする。
また、①マシーングレープレミアムメタリック、②エターナルブルーマイカ、③ソニックシルバーメタリックの3つのボディカラーが新設された。
ちなみに、上の画像のアクセラはマシーングレープレミアムメタリックである。
内装
内装の質感が素晴らしく、前期型よりもさらに洗練された印象を受けた。
画像は全て15XD L Packageの写真であるが、1.5Lディーゼルモデルの中で最上位グレードだけあり、素晴らしい質感を実現している。
ホワイトのレザーシートの質感が特に高いが、黒のレザーも選択可能だ。
もちろん、ファブリックシートの質感も向上しているが、安っぽい印象を受けることなど全くない。
インパネ周りは基本的には前期型と同じであるが、細かな改良が加えられており、ナビ画面の形状が長方形から台形に変わっている。
なお、最上位グレードの2.2XDになるとカップホルダーにカバーが付き、アテンザと同じ形状になるようだ。
最も印象的なのがスピードメーターのデザイン変更だが、前期型よりもシンプルで、美しいさが増しているように思える。
また、アクティブドライビングディスプレイに表示される文字の大きさと色が変更され、より視認性がアップしていることにも注目して欲しい。
価格
マイナーチェンジ後の価格については、以下の表を参考にして欲しい。
エンジンタイプ | グレード名 | ボディタイプ | 駆動方式 | 変速機 | 価格(円) |
SKYACTIVE-G 1.5 (ガソリン 1.5L) | 15C | セダン/スポーツ | 2WD | MT | 1,760,400 |
AT | |||||
4WD | AT | 1,981,800 | |||
15S | セダン/スポーツ | 2WD | MT | 1,922,400 | |
AT | |||||
4WD | AT | 2,143,800 | |||
15S PROACTIVE | セダン/スポーツ | 2WD | MT | 2,138,400 | |
AT | |||||
4WD | AT | 2,359,800 | |||
SKYACTIVE-D 1.5 (ディーゼル 1.5L) | 15XD | スポーツのみ | 2WD | AT | 2,303,640 |
15XD PROACTIVE | 2WD | AT | 2,430,000 | ||
15XD L Package | 2WD | AT | 2,689,200 | ||
SKYACTIVE-D 2.2 (ディーゼル 2.2L) | 22XE PROACTIVE | セダン/スポーツ | 2WD | AT | 2,781,000 |
4WD | AT | 3,002,400 | |||
22XD L Package | セダン/スポーツ | 2WD | MT | 3,088,800 | |
AT | |||||
4WD | MT | 3,310,200 | |||
AT | |||||
ハイブリッド (ガソリン 2.0L+モーター) | HYBRID-C | セダンのみ | 2WD | AT | 2,473,200 |
HYBRID-S PROACTIVE | 2WD | AT | 2,651,400 | ||
HYBRID-S L Package | 2WD | AT | 2,879,000 |
こうしてみると、各グレードともに、最上級のL Packageがベースグレードよりも30~40万円高額であることがわかる。
レザーシートの質感は素晴らしいが、しっかり価格に反映されると言うことだろう。
また、新登場1.5Lディーゼルモデルの最上位グレードであるL packageと、2.2Lモデルの下位グレード22XD PROACTIVEとの価格差が10万円しかないことも興味深い。
この辺りの判断は、非常に難しいのではないだろうか。
走り
気になる走行性能だが、今回は①1.5Lガソリンモデル(15S PROACTIVE)と、②1.5Lディーゼルモデル(15XD L Package)に試乗する事ができた。
よって、両モデルを実際に運転した印象を、前期型との対比も踏まえて投稿したい。
なお、2.2Lディーゼルモデル(22XD L Package)への試乗の様子を別のベージに投稿しているので、そちらを参照して欲しいと思う。
ちなみに、ハイブリッド車は、未だ試乗の機会を得ていない。
15S
まずは1.5Lガソリンエンジン搭載モデルだが、今回試乗したのは”15S PROACTIVE”である。
改良前にも滑らかな加速とエンジンサウンドのよさが圧倒的な支持を得ていたが、今回試乗した印象もとてもよかった。
マイナーチェンジであるから基本的な走行性能に変わりはないが、車が新しいこともあるのか、より上質な走りをしているように思えた。
エンジンサウンドも相変わらず美しく、スムーズに加速して行くが、車体の安定感も抜群だ。
このあたりは、デミオと比べても明らかに1ランク上であり、デミオ乗りとしては少々悔しい気持ちすらある。
静粛性も向上しているようで、嫌なノイズなどは一切聞こえず、非常に質の高い運転をすることができた。
やはり、絶対的なパワーがあると言う感じはないが、少なくとも一般道を60km/hで走行する上では何の不満もない。
多少の急勾配である程度アクセルを踏み込んだとしても、エンジンがうるさく唸ることも全くなく、そのサウンドはやはり素晴らしいものだ。
その他大きな違いはないように思えたが、この1.5Lガソリンモデルについては、前期型の段階で既に完成の域に達していたようにも思える。
なお、前期型について投稿したページは、以下のリンクを辿って回覧して欲しい。
15XD
こちらは、新登場1.5Lディーゼルエンジンを搭載したモデルだが、試乗したのは最上位グレードである、“15XD L package”。
内装の質感も素晴らしく、走りも期待を裏切らないものだったが、詳細を以下で述べる。
エンジン
搭載されるエンジンは、デミオXDにも採用されるSKYACTIVE-D 1.5だが、最大トルクがより高められている。
スペックの詳細は以下の通り。
型式 | 総排気量(L) | 最高出力(kW<PS>/rpm) | 最大トルク(N・m<kgf・m>/rpm) |
SKYACTIVE-D 1.5 | 1.498 | 77<105>/4,000 | 270<27.5> |
270N・mの最大トルクは魅力的だが、力強さでは1.5Lガソリンモデルの比ではない。
実際に試乗してみると、やはり急な上り勾配でも問題なく上り切るが、高速道路や山道を通る機会が多い人には最適なエンジンだと思う。
420N・mの圧倒的な最大トルクを誇る2.2Lモデルもあるが、こちらもとても強力だし、普段使いでは十分過ぎるほどの性能と言える。
加速
ディーゼルエンジンのトルクの太さが注目を集めているが、エコ運転を心がければ、大人しく走ることも十分に可能だ。
ゆっくりアクセルベダルを踏み込めば以外にも静かに走り出すので、不意に急加速をしてしまうこともなく、扱い難さを感じることは全くない。
素早く、強くペダルを踏み込まないと大きなトルクが発生しないようにチューニングされていると表現することも可能だと思う。
その気になれば、体が後ろに持っていかれるほどの鋭い加速をすることも不可能ではないが、一般道では難しいはずだ。
このように、アクセルの踏み加減によって発生するトルクをコントロールできることは非常に素晴らしいが、やはりDE精密過給制御の効果が大きいものと思われる。
ただし、車体がより大きいこともあり、全力加速時の鋭さではデミオディーゼルに劣るような印象も受けた。
もちろん、日常領域で必要なことではなく、参考にしても仕方がないことでもある。
安定性
車体の安定感も素晴らしく、運転していて全く不安に感じることはない。
特に、コーナーで体が横に振られることがほとんどないのだが、やはり、GVCが確かな効力を発揮しているものと思われる。
静粛性
最も驚いたのは静粛性の高さであるが、ディーゼルエンジン特有のノイズが相当小さく抑えられている。
前期型のXDやデミオディーゼル、CX-3と比較しても、かなり静かに感じられた。
音質こそ異なるが、そのボリューム自体は私のデミオ13Sと同じくらいであり、車に詳しくない人であればガソリン車と勘違いするはずだ。
改良前のアクセラXDやデミオディーゼルでは走り出しにガラガラ音が気になることがあっただけに、この期間でここまで改善されたことに驚きすら感じる。
終わりに
マイナーチェンジを受けたアクセラが、さらに素晴らしい車になったことを確認することができた。
15S、15XDともに、走りの面でも期待を裏切らない出来になっているので、皆さんにも試乗していただきたいと思う。
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