2016年11月23日、国土交通省が積雪時に路上で立ち往生の原因を作り出した車両に対し罰金を科す方針であることが報じられた。
これまでにない試みであるが、早速その是非を検討してみたい。
はじめに
はじめに、現行制度における雪道走行上の規定を確認しておきたい。
意外に思われるかもしれないが、今回の国土交通省発表の方針に左右されることなく、雪道をノーマルタイヤで走行することは既に交通違反として取り締まりの対象とされている。
このことからも、今回発表された方針には、スタッドレスタイヤを装着するだけでは不十分であり、さらにチェーンの着用を促す目的があると考えてよいと思う。
国土交通省の方針
今回発表された国土交通省の方針は、“雪道での立ち往生の原因をつくった車に罰金を課す”と言うもの。
つまり、雪道で動けなくなり、他の車両の通行を妨げた時点で違反となるわけだ。
直接チェーンの装着を義務付けるものではないが、しっかりとスタッドレスタイヤを装着していたとしても、立ち往生してしまえば違反に問われることに・・・。
よって、違反にならないよう万全を期そうと思えばさらにチェーンを付けるより他ないことから、結果として雪路走行でのタイヤチェーン装着率の上昇が目論まれているのだと思う。
2015年度に国が管理する国道で立ち往生があったのは547件だが、9割以上がチェーンを装着していない車によるものであるとのこと。
その中で、ノーマルタイヤで走行していたケースが25パーセントらしいので、スタッドレスタイヤを履いているだけでは不十分なことも事実である。
このような事情を考慮した上で、今回の方針が練り上げられたと考えてよいだろう。
賛否
この報道を受け、早速多くの意見が投稿されるなど、反響は大きいようだ。
事故防止の観点から大いに賛成する意見もあれば、反対の意見もあり、やはり賛否両論と言ったところか。
以下に、代表的な意見を載せるので参考にして欲しい。
賛成
- 立ち往生が緊急車両の通行の妨げになる場合もあるので賛成
- 高速道路ガス欠と同じような状況なので、言いたいことは理解出来る
- 大雪でもチェーンを付けない運転手が多いので大賛成
- 滑り止め対策をしない運転手は根拠のない自信を持っているので罰金で分からせるしかない
- 罰金はやりすぎのような気もするが、これくらいしないとダメなのかもしれない
反対
- ノーマルタイヤならわかるが、スタッドレスタイヤでも違反というのはやり過ぎな気がする
- 運転技術がなければ結局同じことである
- チェーンの装着が出来る場所を多くしなければならない
- 道路交通法には他に改正すべき点が多くある
- その前に除雪をしっかりしろ
私見
今回の方針について個人的な意見を述べれば、“結局のところドライバー次第”と言うことではないだろうか。
数多くある意見を見ても賛否が分かれており、雪道走行に対する考え方も皆それぞれ異なる。
降雪量は地域により大きく異なり、考え方も違うのだから当然ではあるが、チエーンなしでも大丈夫と思う人はそのまま走るだろうし、不安な人は装着するはずだ。
“必ずチェーンを装着しろ”と言う法律であればある意味わかりやすいが、今回の方針のままではチェーン着用率にそれほど大きな変化は見られないような気がする。
もちろん、各地で大雪が降る機会が増え、それに伴う立ち往生の発生件数が極端に増加すれば話は別だが・・・。
これまでも、運送会社のドライバーなどスタッドレスタイヤの装着だけでは不十分と考える人はチェーンを装着してきたわけだし、不要と思う人は装着しなかっただけのこと。
運転の仕方や路面状況など様々な要素を総合的に判断した上で、最終的にはドライバー自身がチェーンの装着の是非を決定するより他ないのだと思う。
終わりに
突然の報道で驚いたが、来冬以降にもこの方針が法律に盛り込まれることになりそうだ。
いずれにせよ、雪路を走行する場合には適切な装備はもちろんのこと、決して無理な走行をせずに安全運転に努めなければならないのだ。
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