略式裁判とは!? 交通違反との関係や正式裁判との違いを解説!

略式裁判

交通違反や交通事故に起因する刑事事件の多くは略式裁判によって審理が行われると聞くが、皆さんはこの略式裁判とはどのようなものを言うのかご存知だろうか。

今回はその概要や正式裁判との違いについて投稿するので、ぜひ最後までお読いただければと思う。

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概要

一般に略式裁判とは、正式な手続きを簡略して簡易な方法で行われる裁判のことを言う。

公判を開くことなく、検察官が提出する書類をもとに審理が行われることが最大の特徴であるが、式手続と呼ばれることもある。

適用は比較的軽微な量刑が課せられる事件に限られるが、交通違反や交通事故に起因する刑事手続きのほとんどでこの略式裁判が採用されていることも覚えておきたいところだ。

なお、刑事訴訟法により検察官は被疑者に対し略式手続きについての説明と正式裁判を受ける権利があることを申告する義務を負うが、被疑者はその説明を受けた段階で略式裁判での審理を受けるかこれを拒否して正式な公判に臨かを選択することになる。

条件

略式裁判にて刑事手続きを進めるには以下に挙げる条件を満たしている必要がある。

略式裁判の条件
  1. 当該事件が簡易裁判所の管轄であること
  2. 100万円以下の罰金又は科料を課すことが前提とされる事件であること
  3. 被疑者の同意を得ていること 

自動車の運転に関わるものについて言えば、飲酒運転等の交通違反で検挙されたあるいは事故を起こし失運転致死傷罪に問われたケースなどがその対象だが、それらの量刑は下の表にある通り。

一方、罰金の支払いでは済まされない危険運転致傷罪等の極めて重い量刑が適用される場合は略式裁判ではなく通常の公判により審理が行われるため、当事者は被告人として出廷することになる。

罪名   罰則
30km/h以上の速度超過(一般道) 6ヶ月以下の懲役又は10万円以下の罰金
酒気帯び運転3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
過失運転致死傷 7年以下の懲役又は100万円以下の罰金
危険運転致傷15年以下の懲役
致死1年以上の有期懲役

なお、信号無視や指定場所一不停止などの軽微な交通違反については、仮に検挙されたとしても反則金が適用され刑事事件に発展することがないため、今回のテーマの略式裁判との直接の関係性はない。

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出頭義務

正式な裁判(公判)とは異なり、略式裁判は検察官が作成する書類の内容を根拠に審理が行われる

公判が開かれないのだから当然のことではあるが、被疑者が被告人として法廷へ出席する必要はなく、傍聴者にその様子を見られることもない。

ただし、検察官による手続きの説明を受ける、場合によっては略式裁判で審理を行うことへの同意を承認する述書への署名を行うため検察庁へ出頭することになる。

具体的な流れについては被疑者が身体の拘束(勾留)を受けている否かによっても異なるが、詳細は続きをお読みいただきたいと思う。

前科

手続きの方法こそ異なるものの、裁判による審理を経て有罪判決が言い渡されると言うことは犯罪を起こしたことが確定するに他ならなず、当事者には前科が付く

課せられる刑事罰がいかに軽微であろうと罪を犯したことに変わりはないわけだから、そのような状況を経験することがないように安全運転に努めよう。

略式裁判の流れ

略式裁判の流れは以下にまとめた通り。

身体の拘束(勾留)を受けている場合と書類送検されている場合で事情が異なるが、いずれのケースも略式手続きに同意するか否かを必ず尋ねられるので、略式裁判による審理を望む場合は申述にサインしなければならない。

なお、略式裁判を選択した場合は必ず罰金刑が言い渡されるが、所定の方法でそれを納付することで事件の一切が終了する。

勾留なし(書類送検)

  1. 書類送検
  2. 検察へ出頭、略式手続きの説明、申述書へのサイン
  3. 略式裁判の請求(検察官が行う)
  4. 簡易裁判所から”略式命令”が届く
  5. 罰金の納付書が郵送される
  6. 所定の方法で罰金を納付

勾留あり

  1. 逮捕
  2. 身柄送検
  3. 勾留開始
  4. 略式手続きについての説明を受ける(同意した場合は5へ、同意しない場合は正式裁判に)
  5. 略式命令の請求
  6. 略式命令が出される
  7. 罰金の支払い、釈放

※ 4~7は同日に行われる。

注意点

略式手続きが採用される場合は公判が開かれないが、裁判に時間を割く必要がないことに加え罪に問われていることを誰かに知られる確率も低いことから、被告人にとってメリットと呼べる点が多いことも事実である。

余計な手間を省略できること以外にも、例えば酒酔い運転等の悪質な交通違反を犯した場合など正式裁判となれば罰金刑以上の厳しい判決が下される可能性がある状況等においては、略式裁判を経ての罰金刑で話を済ませることができればこれ以上に有難いことはないはずだ。

同時に、検察官が作成する書類のみを根拠に審理が行われるため被告人の主張が一切できず、罰金刑とは言え必ず有罪判決が下されることも覚えておきたいが、起訴内容を否認するのであれば正式裁判を選択し公判にて自身の無罪を主張する必要がある。

交通に起因する事件について言えば不当な検挙を受けた場合がこれに該当するが、知識がないため略式手続きに同意してしまい自動的に有罪判決が下されると言う最悪の事態を招くことがないよう、十分に注意しよう。

終わりに

略式裁判の概要と正式裁判との違いをご理解いただけただろうか。

いずれにせよ、被告人としてこれらに臨むことがないように普段から安全運転を心がけ、違反や事故を起こさない努力をしたいところである。

コメント

  1. 小林幹夫 より:

    あなたに教えて頂きましたお陰で助かりました!本当に有難うございました!小林幹夫より!