“交通違反で捕まって罰金を取られた”と言う声を耳にするが、ほとんどの場合、それが罰金ではなく反則金であることをご存知だろうか。
今回はこの罰金と反則金の違いについて投稿するので、ぜひ最後までお読みいただきたい。
はじめに
交通違反を犯した当事者は①刑事責任と②行政上の責任を負うが、具体的には、前者は懲役や禁錮等の刑事処分に服すること、後者は反則点数の加点により運転免許の停止や取り消し処分を受けることを言う。
さらに交通事故を起こし相手を死傷させるなどした場合には③民事上の責任も発生するが、こちらは相手方への賠償のことである。
罰金と反則金の違いを理解するためにも、罰金が刑事処分に、一方の反則金は行政処分に該当することを覚えておく必要があるが、詳しくは続きをお読みいただきたい。
罰金
罰金とは、懲役や禁錮刑と並ぶ我が国の刑事罰の1つであり、犯罪を犯した者が服するものに他ならない。
道路交通法には様々な規定が設けられており、それに違反した場合の罰則もしっかりと規定されているのだが、刑事罰として罰金を採用する項目も少なくなく、例えば一時停止違反に対する罰則は3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金、過労運転に対する罰則は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金である。
最も重要なのは罰金も刑事罰の1つであり、これを支払う者が罪を犯したことを意味することであるが、当然ながら当事者には“前科”が付くことに…。
我々運転者は、交通違反や交通事故が原因で自身が犯罪者になってしまう可能性があることを理解し、安全運転に徹しなければならないのである。
反則金
道路交通法の規定に罰則が設けられている以上、交通違反を犯せば刑事事件として立件され、裁判を経て有罪が確定すれば当事者が相応の刑事処分を受けるのが原則である。
ところが、我が国には反則金を納付することで立件が見送られる仕組みがあり、実際には交通違反で検挙されても刑事処分を受けずに済むことがほとんどなのだ。
簡単に言えば、交通違反を犯しても反則金を支払えば刑事処分を免れることができるわけだが、この仕組みを“交通反則通告制度”と言う。
立件されないと言うことはそもそも刑事事件に発展していないわけで、当事者が刑罰を受けることもなければ前科が付くこともないが、反則金とは“それを支払うことで本来受けるべき刑事処分を免れることができるもの”なのである。
罰金 | 反則金 | |
処分の種類 | 刑事処分 | 行政処分 |
前科 | 付く | 付かない |
交通違反に問われた人が実際に支払うお金のほとんどが罰金ではなく反則金なのだが、過度のスピード超過などの悪質な交通違反や交通事故を起こした場合は交通反則通告制度が適用されず、反則金の支払いで事を済ませることは不可能。
確実に刑事事件へと移行されるので、裁判で無実が立証されない限り当事者には罰金や懲役などの刑罰が課せられることになる。
・主な交通違反と反則金
違反の種類 | 反則金(円) | ||||
大型車 | 普通車 | 二輪車 | 小型特殊車 | 原付 | |
速度超過 35〜40km/h未満(高速道路) | 40,000 | 35,000 | 30,000 | 20,000 | 20,000 |
速度超過 30〜35km/h未満(高速道路) | 30,000 | 25,000 | 20,000 | 15,000 | 15,000 |
速度超過 25〜30km/h未満(一般道) | 25,000 | 18,000 | 15,000 | 12,000 | 12,000 |
速度超過 20〜25km/h未満(一般道) | 20,000 | 15,000 | 12,000 | 10,000 | 10,000 |
速度超過 15〜20km/h未満(一般道) | 15,000 | 12,000 | 9,000 | 7,000 | 7,000 |
15km/h未満 | 12,000 | 9,000 | 7,000 | 6,000 | 6,000 |
信号無視(赤色など) | 12,000 | 9,000 | 7,000 | 6,000 | 6,000 |
信号無視(点滅) | 9,000 | 7,000 | 6,000 | 5,000 | 5,000 |
遮断踏切立ち入り違反 | 15,000 | 12,000 | 9,000 | 7,000 | 7,000 |
通行区分違反 | 12,000 | 9,000 | 7,000 | 6,000 | 6,000 |
追越し違反 | 12,000 | 9,000 | 7,000 | 6,000 | 6,000 |
踏切不停止等違反 | 12,000 | 9,000 | 7,000 | 6,000 | 6,000 |
安全運転義務違反 | 12,000 | 9,000 | 7,000 | 6,000 | 6,000 |
携帯電話使用等の違反(交通の危険) | 12,000 | 9,000 | 7,000 | 6,000 | 6,000 |
通行禁止違反 | 9,000 | 7,000 | 6,000 | 5,000 | 5,000 |
指定場所一時不停止等違反 | 9,000 | 7,000 | 6,000 | 5,000 | 5,000 |
通行帯違反 | 7,000 | 6,000 | 6,000 | 5,000 | 5,000 |
路面バス等優先通行帯違反 | 7,000 | 6,000 | 6,000 | 5,000 | |
車間距離不保持違反 | 7,000 | 6,,000 | 6,000 | 5,000 | 5,000 |
割込み等違反 | 7,000 | 6,000 | 6,000 | 5,000 | 5,000 |
無灯火違反 | 7,000 | 6,000 | 6,000 | 5,000 | 5,000 |
合図不履行違反 | 7,000 | 6,000 | 6,000 | 5,000 | 5,000 |
携帯電話使用等の違反(保持) | 7,000 | 6,000 | 6,000 | 5,000 | 5,000 |
消音器不備違反 | 7,000 | 6,000 | 6,000 | 5,000 | 5,000 |
最低速度違反 | 7,000 | 6,000 | 6,000 | 5,000 | |
警音器使用制限違反 | 3,000 | 3,000 | 3,000 | 3,000 | 3,000 |
免許証不携帯 | 3,000 | 3,000 | 3,000 | 3,000 | 3,000 |
※ 上記の表は主要な反則行為のみを抜粋したものであり、全ての反則行為とその反則金についてはリンク先のページを参照されたい。
終わりに
罰金と反則金の違いをご理解いただけただろうか。
いずれにせよ、交通違反をしなければ支払う必要がないお金であるし、交通の安全のためにもルールをしっかり守るようにしよう。
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