交差点内での車線変更は交通違反? 法律を調べたら意外な事実が!

交差点内での車線変更

皆さんの中にも、交差点内とその手前での車線変更が交通違反であるとお考えの方が多いのではないだろうか。

本投稿では、道路交通法を精査しながらその真偽を考察する。

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はじめに

はじめに重要事項を確認しておきたいが、実は“車線変更”は法律用語ではなく、道路交通法においては進路変更と言う表現が用いられている。

厳密には完全に同じでないものの、今回のテーマを考察する上では両者を同じ概念として扱うことに問題がないことと、本投稿においては以後、“車線変更”に統一することを確認しておく。

車線変更と進路変更の違いとは!? 道路交通法には意外な答えが?
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車線変更に違法性はない

(進路の変更の禁止)

1 車両は、みだりにその進路を変更してはならない。

2  車両は、進路を変更した場合にその進路を変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。

3  車両は、車両通行帯を通行している場合において、その車両通行帯が進路の変更の禁止を表示する道路標示によつて区画されているときは、次に掲げる場合を除き、その道路標示をこえて進路を変更してはならない。

一  第40条の規定により道路の左側若しくは右側に寄るとき、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためその通行している車両通行帯を通行することができないとき。

二  第40条の規定に従うため、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のため、通行することができなかつた車両通行帯を通行の区分に関する規定に従つて通行しようとするとき。

道路交通法第26条の2より

交差点内とその手前での車線変更を交通違反と考える人が少なくないようだが、法律を調べてみると意外な事実が明らかになる。

と言うのも、車線変更について規定する道路交通法第26条の2を隈なく精査しても、交差点及びその手前での車線変更を禁止する規定などどこにも見当たらないのだ。

つまり、交差点とその手前での車線変更に違法性はないのである(黄色線で区切られた車両通行帯がある場合は例外、詳細を後述)。

ただし車線変更により後続車両の進行を妨害してはならないとされている以上事故になった場合には進路変更禁止違反に問われる可能性を否定できないので、合法とは言え決して積極的に奨励できる行為でないことは事実であると思う。

ちなみに、道路交通法第26条の2に登場する“第40条の規定”とは緊急自動車の優先を指す。

Point

交差点での車線変更に違法性はない

黄色いラインがある場合は例外

交差点での車線変更に違法性がないことを確認したが、交差点の手前に進行方向別通行区分の道路標識等が設けられ、車両通行帯に車線変更を禁止する道路標示(黄色い線)が設けられる場合には車線変更を行うことができない

車線境界線の種類を解説! 黄色、白、実線、破線の意味の違いは!?
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道路交通法第26条の2においてその車両通行帯が進路の変更を禁止するもの(黄色いライン)である場合には車線変更をしてはならないと規定されることが根拠であり、このタイプの車線境界線が設けられる以上は交差点であろうがその他の場所であろうがラインを跨いで進路を変更することは許されないのである。

もちろん、交差点の手前に進行方向別通行区分の道路標識が設けられる場合でも車両通行帯に車線変更を禁止する道路標示がない場合(=白い車線境界線が引かれている場合)は車線変更を行うことができるが、わざわざ交差点で車線を変える理由もないわけだから、とりあえず交差点付近での車線変更を控えることが望ましいだろう。

なお、車線変更を禁止する道路標示(=黄色の車線境界線)が設けられている場所で車線を変更する行為は、“進路変更禁止違反”に該当する。

進路変更禁止違反の罰則
反則行為行政処分刑事処分
点数反則金罰則
大型普通2輪原付
進路変更禁止違反1点7,000円6,000円6,000円5,000円5万円以下の罰金

追い越しは違法

交差点内とその手前30メートルの場所での追い越しは、原則として禁止されている(道路交通法第30条)。

(追越しを禁止する場所)

車両は、道路標識等により追越しが禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、他の車両(軽車両を除く)を追い越すため、進路を変更し、又前車の側方を通過してはならない。

1 道路のまがりかど附近、上り坂の頂上附近又は勾配の急な下り坂

2 トンネル(車両通行帯の設けられた道路以外の道路の部分に限る)

3 交差点(当該車両が第36条第2項に規定する優先道路を通行している場合における当該優先道路にある交差点を除く。)踏切、横断歩道又は自転車横断帯及びこれらの手前の側端から前に30メートル以内の部分

道路交通法第30条より

よって、単に車線を変更するだけならよいが、さらに追い越しを行えば立派な交通違反になるので注意が必要である(交通整理が行われていない交差点において優先道路を走行する場合を除く)。

その他、踏切や横断歩道、自転車横断帯とその手前30メートル以内の場所が追い越し禁止場所であることも合わせて覚えておこう。

今さら聞けない追い越し禁止場所と違反した場合の罰則とは!?
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注意点

交差点での車線変更が合法であることを確認したが、特別の事情がない限りこれを行うべきではないと言える。

と言うのも、何度も述べている通りわざわざ交差点内で車線変更をしなければならない特別な理由があるとも思えないし、場所が交通量が多い交差点だけに事故が起きるリスクも高まるからだ。

また、道路交通法第26条の2第1項において“車両はみだりに進路を変更してはならない”と規定されていることを考慮しても、やはり交差点とその手前では車線変更を極力行わないよう心掛けるのが望ましいだろう。

まとめ

交差点とその手前での車線変更について、次のようにまとめることができる。

まとめ

  • 交差点での車線変更は原則として合法である
  • 交差点手前の車両通行帯が黄色のラインで区切られている場合は車線変更が不可能である
  • 交差点内とその手前での追い越しは原則として違法である

終わりに

今回は、交差点における車線変更の違法性の有無を考察した。

原則として交差点とその手前での車線変更に違法性はないが、安全を考慮すれば交差点を避け、より安全な場所で車線変更を行うように努めたいところである。

コメント

  1. まあと より:

    「交差点内で進路変更するだけならよいが、そこから追い越しを行えば、交通違反になるのだ。」と言い切っていますが、道路交通法第30条の三「(当該車両が第36条第2項に規定する優先道路を通行している場合における当該優先道路にある交差点を除く。)」とあることから、優先道路であれば交差点内でも車線変更および追い越しも違反にならないのではないでしょうか?

    • Demisuke より:

      まあと様、コメントありがとうございます。仰せの通りでございます。優先道路通行の場合は違反にはなりません。時間の都合でその点は省略致しておりましたが、近いうちに追記しようと思いながらもなかなか作業できずにいたところでございます。まあと様のように細かく道交法を理解されている方がいる以上、なるべく早いうちにその旨追記致します。

      • まあと より:

        話は変わりますが、demisuke様の意見をお聞きしたいです。

        優先道路を走行中に交差点手前に「左折直進レーン」と「右折レーン」があり、この交差点を右折するために右折レーンに進入したとします。ところが本来はこの交差点より200メートル先にある一つ先の交差点で右折しなければいけないことに気がつきました。

        以下の3パターンのご意見をお願いします。

        ①通行区分帯の色:白実線
         a:交差点内に進入前に右折レーンから左折直進レーンに車線変更し直進。
         b:交差点内に進入後に右折レーンから直進し交差点を通過。

        ②通行区分帯の色:黄実線
         a:交差点内に進入前に右折レーンから左折直進レーンに車線変更し直進。
         b:交差点内に進入後に右折レーンから直進し交差点を通過。

        補足:交通量が少なく自車周囲に他車が接近しておらず危険が及んでいないことを前提。

        (進路の変更の禁止)
        第二十六条の二  車両は、みだりにその進路を変更してはならない。
        2  車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。
        3  車両は、車両通行帯を通行している場合において、その車両通行帯が当該車両通行帯を通行している車両の進路の変更の禁止を表示する道路標示によつて区画されているときは、次に掲げる場合を除き、その道路標示をこえて進路を変更してはならない。
        一  第四十条の規定により道路の左側若しくは右側に寄るとき、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためその通行している車両通行帯を通行することができないとき。
        二  第四十条の規定に従うため、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のため、通行することができなかつた車両通行帯を通行の区分に関する規定に従つて通行しようとするとき。
           (罰則 第二項については第百二十条第一項第二号 第三項については第百二十条第一項第三号、同条第二項)

        (追越しを禁止する場所)
        第三十条  車両は、道路標識等により追越しが禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、他の車両(軽車両を除く。)を追い越すため、進路を変更し、又は前車の側方を通過してはならない。
        一  道路のまがりかど附近、上り坂の頂上附近又は勾配の急な下り坂
        二  トンネル(車両通行帯の設けられた道路以外の道路の部分に限る。)
        三  交差点(当該車両が第三十六条第二項に規定する優先道路を通行している場合における当該優先道路にある交差点を除く。)、踏切、横断歩道又は自転車横断帯及びこれらの手前の側端から前に三十メートル以内の部分

        私見
        ・優先道路を走行しているので、第三十条三はクリア。
        ・交通量が少なく自車周囲に他車が接近しておらず危険が及んでいないので、第二十六条の
         二-2もクリア。
        ・よって上記の①a/b②a/b、いずれも違反ではないのでは???

        • Demisuke より:

          まあと様、ご連絡ありがとうございます。長文、恐れ入ります。時間がなく、一通り目を通させていただいたところなのですが、①のbにつきましては、車両通行帯が設けられている以上、右折レーンからの直進は指定通行区分違反に問われるのではないでしようか。時間が取れましたら、再度検討してみます。

  2. まあと より:

    訂正

    以下の3パターンではなく、①a/b②a/bの4パターンです。

  3. 名無し より:

    古い書き込みなので意味があるかはわかりませんが

    ①通行区分帯の色:白実線

     a:交差点内に進入前に右折レーンから左折直進レーンに車線変更し直進。
    十分に安全確認ができない、十分に方向指示器を認知させることができない場合は合図不履行や安全確認不履行などの安全運転義務違反などになります。

     b:交差点内に進入後に右折レーンから直進し交差点を通過。
    右折車線からの直進はおそらく通行区分違反になります。

    ②通行区分帯の色:黄実線
     a:交差点内に進入前に右折レーンから左折直進レーンに車線変更し直進。
    進路変更禁止違反になります。

     b:交差点内に進入後に右折レーンから直進し交差点を通過。
    右折車線からの直進はおそらく通行区分違反になります。