販売台数ナンバーワンのトヨタ・アクアに試乗することができた。
1日借り切ることができたのだが、その燃費や加速性能、デミオとの違いについて詳しくレポートするので、是非とも最後まで読んで欲しい。
走り
動力性能
まずは動力性能だが、原動機のスペックは以下の通り。
原動機 | 総排気量 | 最高出力[kW(PS)/r.p.m] | 最大トルク[N・m(kgf・m)/r.p.m] | システム最高出力 |
エンジン | 1.496L | 54(74)/4,800 | 111(11.3)/3,600〜4,400 | 73kW [100PS] |
モーター | 45(61) | 169(17.2) |
搭載されるエンジンは、燃費重視の“アトキンソンサイクルエンジン”。
排気量が1.5リッターということもありその出力は控えめだが、それをモーターが補完する仕組みだ。
システム最高出力(エンジン+モーター)は100馬力で、デミオ・ガソリンモデルを上回っているが、実際に運転してみると確かに力強さを感じる。
しかし、デミオ・ディーゼルと比較してしまうと、物足りない感があることは否定できない。
モーターアシストの恩恵を受けることができるハイブリッド車といえども、ディーゼルエンジンの圧倒的なトルクには及ばないと言うことだろう。
発進加速
ハイブリッドシステムはトヨタの定番である“THS-2”なので、SAIやプリウスと同じく、アクセルペダルを軽く踏み込めばモーターのみで発進する。
車重が軽いこともあり、モーターのみでもそれなりの加速力を得ることできるが、エンジンが始動するまでの時間も長い。
より強力な加速力が欲しい場合には、強めにアクセルを踏み込むことでエンジンを始動させることができるが、エンジンとモーターによる出力はなかなかのものである。
一般道はもちろんのこと、高速道路本線への合流の際にも不満を感じることはなかった。
空気抵抗対策がなされているというボディ形状による恩恵もあり、その加速性能は、コンパクトカーの中では最も速い部類に入ると思われる。
安定感
車体の安定感も、十分に合格点を出すことができるレベルだと思う。
高速道路を走行した時も、風に煽られたり、コーナーで大きく車体が振られると言うこともなかった。
モーターとバッテリーを積んでいることもあり、車重が1,100kgとそれなりに重いこともプラスに作用しているものと思われる。
一方、デミオ・ガソリンモデルと比べ、若干ノーズが重いような印象を受けたが、この辺りは完全に好みの問題だろう。
足回り
足回りは、硬すぎず柔らかすぎず、よい意味でバランスが取れている。
硬めの足回りのデミオとは明らかに異なる印象だが、いかにも”トヨタ車らしい”と言うか”日本車らしい味付け”と言えるかもしれない。
路面からの大きな入力が伝わって来ることはなかったが、コーナーリングでの安心感はデミオに及ばないように思える。
静粛性
静粛性だが、正直に言えば、かなり課題が残る出来であると言わざるを得ない。
モーター走行時はもちろん静かだが、エンジンがかかるとかなりうるさく、耳障りなエンジンノイズが車内に入ってくる。
新型のプリウスやSAIはこの辺りのノイズを軽減することに成功しているだけに、この点は要改善と言わざるを得ないだろう。
また、そのエンジンサウンドの質がよくないこともマイナスポイントと言わざるを得ない。
デミオの場合も、ガソリン、ディーゼル両モデルともにエンジン音は車内に入ってくるのだが、そのサウンドの質は好意的に受け止めることができものである。
燃費
燃費については、文句の付けようがない出来だと思う。
今回の試乗では、特にエコ運転を意識することもなく普通に運転していて、“25~26km/L”を記録した。
しかも、走行条件が街乗りだったのだから驚きである。
この車の特性を十分に把握しているドライバーがエコ運転を心掛ければ、“30km/L”を達成することはそう難しくないと思う。
“アクアの燃費はメーカー公表値よりもかなり悪い”と言う声もあるが、今回試乗した限りでは全くそのような印象を受けることはない。
燃費のよさでは、デミオ・ガソリンモデルよりも優れていることは明らかで、まさにハイブリッド車の本領が発揮されていると言えるのではないだろうか。
デミオ・ディーゼルモデルと比較しても、軽油価格自体が安いことを差し引いても、アクアに分があるだろう。
デザイン
外観
外観デザインに関しては、“無難な感じ”と言う印象を受けた。
デミオのデザインの出来がよすぎるので、少々物足りなさを感じてしまうと言うのが正直なところである。
内装
内装についても、特筆すべきことは見当たらず、全体的に地味な印象を受ける。
デミオの内装の質感が素晴らしすぎることもあり、物足りなさを感じてしまうことは否定できない。
日本で最も売れているという現状を考ればこのままでも良いのかもしれないが、次期モデルでの質感のアップに期待したいところだ。
居住性
前席、後席ともに特別広いと感じることはなく、デミオと同じくらいの室内空間だと思う。
女性や小柄な男性であれば問題ないが、大柄な男性が乗り込んだ場合は、少々窮屈に感じてしまうかもしれない。
実用性
実用性は高い。
デミオと違って収納スペースが多いし、後席ドリンクホルダーも装備されているので、長距離ドライブで後席に乗り込んでも快適な移動時間を過ごすことができると思う。
ラゲッジも広く、容量は約300Lを確保しているが、こちらもデミオよりも大きい。
後席を前に倒すことでさらに広大なスペースが生まれるので、たくさんの荷物を積み込む場合も安心だ。
終わりに
今回アクアに試乗してみて、最も印象に残ったのは、やはり燃費のよさである。
この点については、ライバルよりも頭1つ2つ抜き出ているといってよいと思うが、静粛性やデザインのよさに関しては改善の余地があるように思えた。
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