サービス残業や休日なし問題などが横行し、労働者の労働環境が悪化している現在。
ブラック企業の横暴な振る舞いは衰えることを知らない。
多くの労働者にとって彼らの労働環境の改善が課題なのだが、今回は”労働組合”に参加することのメリットについて投稿する。
労働組合とは
まずは、労働組合とは何かについて確認しておく。
労働組合とはその名の通り労働者同士の連帯による組織である。
例えば、賃金や解雇の問題をはじめとする労働環境問題が生じた場合、労働組合がある職場では使用者と労働組合が交渉することができる。
使用者対労働者個人ではなく、使用者対労働組合と言う図式で交渉が行われるのだ。
昔は騒動組合に加入している労働者の割合(組織率)が高かったが、最近では著しく減少していることが問題とされている。
法律で保証されている
労働組合の活動自体が法律に基づくものであるということに注目しなければならない。
労働者が労働組合を結成し、それに参加することは法律で保障されているのだ。
これを規定しているのは労働組合法だ。
この法律は、労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより、労働者の地位を向上させること、労働者がその労働条件について交渉するために自ら代表者を選出することその他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し、団結することを擁護すること並びに使用者と労働者の関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること及びその手続を助成することを目的とする。
労働組合法第1条より
労働組合法第1条を見てもわかるように、労働組合の活動が労働者の保護ことが重要な点である。
労働基準法が定められているのと同じで、労働者の立場が使用者よりも弱いことを前提としていることを忘れてはならない。
労働者が団結することで初めて使用者と対等の立場で交渉ができるようになると言うことでもある。
労働者が労働組合に加入する権利を有することは、当然の権利なのである。
また、労働組合法第6条では、労働組合が労働者を代表する形で使用者と交渉する権限を持つことが記されている。
労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けたものは、労働組合又は組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結その他事項に関して交渉する権限を有する。
労働組合法第6条より
また、労働組合法第7条では、使用者が労働者が労働組合の活動を妨害することを禁じているとともに、労働組合からの交渉の申し出を正当な理由もなく拒否できないと定めてある。
使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
1、労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもって、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取り扱いをすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。ただし、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。
2、使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなく拒むこと。
労働組合法第7条より
使用者は、労働者が労働組合に参加するのを妨害することはできないのだ。
採用の条件として労働組合への参加をさせないなどの行為は立派な法律違反である。
さらに、労働組合から交渉の申し出があった場合、使用者はこれに応じなければならないのである。
労働組合に加入するメリット
労働組合に加入することによるメリットを考えてみよう。
2、リストラなど不当な解雇に抗議できる
3、労働者が団結することで、使用者の暴走を防ぐことができる
4、使用者も労働者の考えを把握できる
5、労使間の紛争を未然に防ぐことができる
少なくとも労働者個人で会社と向き合うよりも労働者の意見を会社側に伝えやすくなることは間違いない。
特に、4,5に関しては、労働者にとってのメリットと言うよりも会社側のメリットの方が大きいと言うことにも注目しなければならない。
ただし、この労使間の交渉が単なる形式的なものになってしまたのでは何の意味もない。
労使間交渉では、お互いが本音で意見を付け合い、使用者と労働者の双方にとって益となるところで落とし所を見つけるようにすることが望ましい。
労働組合に加入するデメリット
労働組合に加入することによるメリットは大きいのだが、デメリットが全くないと言うこともできない。
労働組合に加入するには組合費を納めなければならない。
組合費の額は、だいたいは賃金の2%前後と言うケースが多い。
従来はこれで問題なかったのだが、最近では非正規雇用が増えたこともあり、2000円、3000円の組合費さえも支払うことをためらってしまう労働者が増加しているのだ。
労働組合に加入することのメリットの方が、組合費を負担しなければならないデメリットよりも大きいはずなのだが、労働組合のメリットを知らない労働者も多い。
彼らにとっては、組合費の負担さえも余計な出費ということになってしまうのである。
また、労働組合に加入すると会社の中での労働者の立場が危うくなってしまうと言うことも考えられる。
もちろん、労働組合の存在意義からしてもそのようなことはあってはならないし、社員が労働組合いに加入したことを理由に、不当な扱いを受けることは労働組合法で禁止されている。
とはいえ、企業内での使用者と労働者の立場を考えればどうしても完全には否定しきれない問題なのである。
終わりに
労働組合と労働組合の加入することのメリットを考えてきたのがだ、加入しないよりは加入した方がよいと言うことに間違いはなさそうだ。
はじめに書いたように、労働に関する法律がなぜ存在するかと言えば立場が弱い労働者の保護のためなのであるから、その法律によって活動が保証されている労働組合に参加することは、言うまでもなく労働者の権利なのである。
労働組合への参加をしていない人で、労働環境が悪く、企業に対し改善を申し出たい人は是非とも労働組合に参加してみてはいかがだろうか。
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