“危険運転を行った若者らを検挙した”などと言う表現をよく聞くが、この“検挙”と“逮捕”の違いは何だろう。
今回は、逮捕と検挙の違いについて投稿する。
逮捕
まずは、“逮捕”からだ。
“身柄を拘束する”と言う点が最大のポイントだ。
逮捕された者は、手錠をかけられ、身体の自由が効かない状態になることは誰しもが知るところだ。
逮捕には、通常逮捕、緊急逮捕、現行犯逮捕の3つの種類がある。
- 通常逮捕
- 緊急逮捕
- 現行犯逮捕
通常逮捕
通常逮捕とは、最も基本的な逮捕の形式であり、これを実行するためには、裁判所が発行する“令状(逮捕状)”が必要になる。
逮捕状を請求された裁判官は、警察が提示する根拠・証拠をもとに、令状を発行するかを判断する。
ここで、被疑者が犯罪を犯したことを疑うことができるとの判断がなされれば、逮捕状が発行されることになる。
また、警察等の捜査機関が通常逮捕を実行する際には、容疑者に逮捕状を提示しなければならない。
緊急逮捕
緊急逮捕とは、急を要する場合、被疑者を逮捕した後に逮捕状を請求すると言うものだ。
その根拠は、“ 刑事訴訟法第210条”に規定されている。
一方、日本国憲法第33条では、逮捕は令状がなければ不可能であることが定められている。
こうして考えると、この緊急逮捕が合憲かどうか自体が疑わしいことも事実であり、実際に違憲であるとする憲法学者も存在している。
ちなみに、逮捕後、裁判所が令状の請求を棄却した場合、捜査機関は被疑者を釈放しなければならない。
現行犯逮捕
こちらは、通常逮捕と並んで、最もポピュラーな逮捕の様式である。
実際に犯行を行っているものを現認した者は、被疑者を逮捕することができるのだ。
現行犯逮捕の場合は、令状は不要。
また、警察官や検察官などの捜査機関のみならず、一般人にも逮捕の権限があることにも注目しなければならない。
一般人が現行犯逮捕を行った場合は、速やかに警察に連絡し、被疑者身柄を引き渡さなければならない。
検挙
捜査機関が、ある人物を被疑者として特定し、刑事事件としての立件・捜査を行うことを検挙と言う。
逮捕においても同じ工程を踏むわけで、厳密には、逮捕も検挙に含まれることになる。
しかしながら、身柄の拘束までは含んでいないことが、逮捕との最大の違いである。
そのほか、任意同行や書類送検も検挙に含まれると考えてよいだろう。
- 逮捕
- 書類送検
- 任意同行、任意取り調べ
書類送検
書類送検も検挙のうちの1つだ。
逮捕の必要はないものの、刑事事件の被疑者を特定し、その担当を検察へ移行する手続きがこの書類送検であるから、これが検挙に含まれることは間違いないだろう。
任意取り調べ
検挙の意味を正確に理解すれば、”任意での取り調べ”も検挙に含まれると考えられる。
被疑者を特定しながらも逮捕はしないと言うことは、任意取り調べがこれに該当することは疑う余地もない。
終わりに
何かとその違いが気になる”逮捕”と”検挙”だが、いずれも起きないことに越したことはない。
特に、交通違反での検挙数は相変わらず多い傾向にあるようなので、くれぐれも交通ルールを厳守の上で、安全運転を心がけてもらいたい。
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