歩行者の信号無視が原因で交通事故に! 過失割合はどうなる!?

歩行者の信号無視で事故

“歩行者と車両が事故になれば必ず車両の責任が追及される”とお考えの方が非常に多いと思うが、法律や判例を調べると必ずしもそうとは言えないようだ。

今回は歩行者の信号無視に起因する交通事故における車両と歩行者の過失割合について投稿するので、ぜひ最後までお読みいただければと思う。

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歩行者の過失

赤信号を無視して横断する歩行者と車両がぶつかった場合、両者間の過失割合は7:3と言われている。

一般に言われる“事故が起これば全て自動車の責任”と言う考えが必ずしも正しくないことをご理解いただけると思うが、法律上は車両のみならず歩行者にも信号に従う義務があるのだから当然のことなのだ(道路交通法第7条)。

(信号機の信号等に従う義務)

道路を通行する歩行者又は、車両等は、信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等(前条第1項後段の場合においては、当該手信号等)に従わなければならない。

                          道路交通法第7条より

その事故が歩行者の信号無視に起因することを考えれば、車両側に3割の過失が認められることすらおかしいと思えるくらいだが、こればかりは致し方ないところか…。

仮に自分が車両側の立場であればとても納得できないが、現行制度や過去の判例を見てもどうすることもできないようだし、事故を起こさないように安全運転を徹底するより他ないのだと思う。

もちろん、歩行者のモラルが問われていることも事実であり、例えば事故が起こった際に“事故があれば車両の責任”と根拠のない理屈を並べ自身の過失を認めない悪質な輩もいると聞くが、断じて許し難い行為である。

車両側の信号が黄色の場合

車両側の信号が黄色の場合、歩行者と車両の過失割合は6:4になるとのこと。

この状況においても歩行者側の信号が赤であることに変わりはなく、主たる責任が歩行者にあることも事実であるが、信号が黄色と言うことで車両の過失が1割多くなるらしい。

例によって、信号無視をした歩行者の過失が6割にとどまることには違和感を感じずにはいられないが…。

なお、下の表に信号の状況ごとの歩行者と車両の過失割合の目安をまとめたので、参考にしていただきたいと思う。

信号の状況過失割合
歩行者自動車
歩行者 0:9 車両
点滅歩行者 1:9 車両
黄色歩行者 6:4 車両
歩行者 7:3 車両

交差点外での事故

続いて信号機がない場所すなわち交差点以外の場所での交通事故における歩行者と車両の過失割合について述べたいが、原則として歩行者が横断していた場所及び歩行者が歩いていた場所に大きく左右される

横断歩道を横断中の歩行者と車両が接触した場合、あるいは歩道を通行している歩行者に車両が突っ込んだ場合には全面的に車両の責任が追及され、両者の過失割合は0:10に。

一方、歩行者が横断歩道以外の場所を横断していた、または車道にはみ出して歩いていたとなれば歩行者にも一定の過失が認められるが、これらの行為が道路交通法違反であり、その責任を問われることがその理由だ(道路交通法第10条第2項第12条第1項第13条第1項)。

ただし、歩行者の過失が認められるとは言え数字で言えば10~30パーセントにとどまり、車両の責任が大きく問われることに変わりはないので、やはり事故を起こさないように細心の注意を払い運転することが何よりも大事と言える。

なお、“道路交通法第10条第2項”、“第12条第1項”、“第13条第1項”の条文を以下に載せるので、目を通していただきたい。

(通行区分)

歩行者は、歩道等車道の区別がある道路においては、次の各号に掲げる場合を除き、歩道等を通行しなければならない。

1車道を横断するとき

2道路工事等のため歩道等を通行することができないとき、その他やむを得ないとき

                       道路交通法第10条第2項より

(横断の方法)

歩行者は、道路を横断しようとするときは、横断歩道がある場所の附近においてはその横断歩道によつて道路を横断しなければならない。

                       道路交通法第12条第1項より

(横断の禁止の場所)

歩行者は、車両等の直前又は直後で道路を横断してはならない。ただし、横断歩道によって道路を横断するとき、又は信号機の表示する信号若しくは警察官の手信号等に従つて道路を横断するときは、この限りではない。

                      道路交通法第13条第1項より

終わりに

信号無視をした歩行者と車両による交通事故における過失割合をご理解いただけただろうか。

道理的に歩行者が悪いと思われる状況でも必ず車両の責任が問われることに疑問を感じられる方も多いと思うが、兎にも角にも事故を起こさないように努力しよう。

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