自動車を運転する際に免許証の携帯が必要なことは言うまでもないが、他にも必ず携帯しなければならないものがあることをご存知だろうか。
今回は、車検証と自賠責証明書の不携帯違反について投稿する。
車検証の不携帯
車検証の不携帯は法律違反であるが、信号無視等の一般的な交通違反が“道路交通法”を根拠とするのに対し、こちらは“道路運送車両法”を根拠とすることが最大の特徴と言える。
(自動車検査証の備付け等)
自動車は、自動車検査証を備え付け、かつ、国土交通省令で定めるところにより検査標章を表示しなければ、運行の用に供してはならない。
道路運送車両法第66条第1項より
具体的には、“道路運送車両法第66条第1項”において運転時の車検証携帯と検査標章の表示が義務付けられており、これに違反した場合は“50万円以下の罰金刑”に処せられるのだ。
50万円と言うのはかなりの額だが、道路交通法違反と違って“反則金”が適用されず、理論上は検挙されれば即刑事事件に発展して違反者は刑事罰を受けることになる。
なお、“検査標章”とは車検を経て保安基準に適合すると認められた車両に交付され、フロントガラス等に掲示されるステッカー状の標章のことを言う。
自賠責証明書の不携帯
車検証同様に、運転時には“自動車損害賠償責任保険証明書”いわゆる“自賠責証明書”を携帯しなければならない。
(自動車損害賠償責任保険証名書の備付)
自動車は、自動車損害賠償責任保険証名書(前条第2項の規定により変更についての記入を受けなければならないものにあつては、その記入を受けた自動車損害賠償責任保険証明書。次条において同じ。)を備え付けなければ、運行の用に供してはならない。
自動車損害賠償保障法第8条より
その根拠となるのは“自動車損害賠償保障法第8条”だが、車検証の携帯義務と同じく道路交通法以外の法律を根拠とすることが特徴だ。
これに違反した場合の罰則は“30万円以下の罰金”であり、やはり反則金が適用されないため、理論上は検挙されれば確実に刑事責任を追求されることになる。
罰則
ここで、改めて車検証違反と自賠責証明書不携帯違反の罰則を確認しておく。
罰則 | |
車検証不携帯 | 50万円以下の罰金 |
自賠責証明書不携帯 | 30万円以下の罰金 |
※ いずれも反則金は適用されない。
“30万円”、“50万円”と言う罰金額の高さはもちろんだが、既述の通り道路交通法違反と異なりこれらの違反には反則金が適用されず、少なくとも法理論上は検挙されれば即刑事事件に発展することは絶対に覚えておくべき重要事項である。
また、反則金と違って罰金は刑事罰の1つであり、これを支払うと言うことは犯罪を犯したに他ならず、当事者には前科が付いてしまうわけだから、“たかが車検証”などと軽く考えることなく、運転を始める前に必ず携帯を確認しよう。
なお、車検証の不携帯、自賠責証明書の不携帯はいずれも道路交通法違反ではないため、仮に検挙されたとしても反則点数が加点されることはない。
取り締まり状況
理論上は発覚すれば即検挙となり、確実に刑事事件に発展するはずの車検証及び自賠責証明書の不携帯だが、実際には車検に合格していることが確認できれば注意のみで済まされるケースがほとんどらしい。
自転車の交通違反同様、明らかになった車検証の不携帯、自賠責証明書の不携帯を全て立件していては警察及び裁判所の処理能力を超えてしまうと言う理由があるのかどうかは定かではないが、こんなにいい加減でよいのだろうか。
もちろん、法理論上は検挙・立件されても何ら不思議はないわけだし、何よりも法律違反なのだから、両書類の不携帯が厳禁であることは言うまでもないことであるが…
注意点
既述の通り車検証の携帯は義務であるが、盗難には十分に注意しなければならない。
と言うのも、車検証の名義変更は簡単に手続きが可能で、これを盗難されると勝手に名義変更され、大切な愛車を不当に他人のものにされてしまう恐れがあるのだ。
名義変更手続きに必要な書類等は①車検証、②変更後の所有者の住民票、③変更前の所有者の捺印だが、③は認印でもよく、悪意のある人間が車検証さえ入手してしまえば簡単に名義変更を行うことができてしまうので、最深の注意を払い盗難を防止したいところである。
終わりに
今回は車検証と自賠責保険証明書の不携帯について投稿してきたが、いずれも法律違反である以上、絶対に行わないように努力しよう。
また、改めて言うまでもなく、車検に合格しない車両を運転する行為や自賠責保険に加入しない行為はさらに悪質な法律違反であり、厳禁である。
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