2016年12月1日、国土交通省公表の自動ブレーキによる衝突防止性能の評価結果で、マツダのアクセラが最高点を獲得したと報じられた。
早速、この内容を採り上げたいと思う。
実験内容
今回は、従来の先行車両への追突回避実験の他、自動ブレーキによる歩行者への衝突回避実験も行われた。
対歩行者実験の内容は、車を時速10~60km/hの範囲(5km/h刻み)で走らせて、その度ごとに人形を飛び出させ、自動ブレーキで車が停止できるかを試すもと言うもの。
車が人形に衝突した場合に減点される仕組みだ。
車両への追突回避能力、車線逸脱警報システム、歩行者衝突防止機能が点数化され、総合的な安全性能が評価されたが、満点は71点とのことである。
実験対象車
今回の実験は、トヨタ、ホンダ、マツダ、富士重工業、スズキの5社11車種が対象とされた。
トヨタからは、プリウス、レクサスNX、レクサスGS、クラウンの4車種が参加したが、マツダはアクセラのみ。
これまで自動ブレーキシステムの最先端を走ってきたスバルからはフォレスター、レガシィ、レヴォーグ、インプレッサの4車種、スズキからはイグニスが参加している。
ちなみに、参加車は応募により決定されたらしい。
- トヨタ:プリウス、レクサスRX、レクサスGS、クラウン
- マツダ:アクセラ
- スバル:フォレスター、インプレッサ、レヴォーグ、レガシィ
- スズキ:イグニス
結果
※ 上の動画は、“対歩行者実験”の様子。
実験の結果は下の表にある通りだが、何とマツダのアクセラが第1位、最高点を獲得した。
第2位はスバルのフォレスターだが、3位にインプレッサ、4位にレヴォーグ、6位にレガシィといずれもスバル車が上位に入り、プリウス、レクサスRX等を擁するトヨタがこれに続く。
順位 | 車種 | メーカー | 点数 |
1 | アクセラ | マツダ | 70.5 |
2 | フォレスター | スバル | 69.5 |
3 | インプレッサ | スバル | 68.9 |
4 | レヴォーグ | スバル | 68.5 |
5 | プリウス | トヨタ | 68.1 |
6 | レガシィ | スバル | 68.0 |
6 | レクサスRX | トヨタ | 68.0 |
8 | レクサスGS | トヨタ | 67.9 |
9 | クラウン | トヨタ | 67.3 |
10 | イグニス | スズキ | 66.3 |
11 | フリード | ホンダ | 58.4 |
2014年に自動車事故対策機構が行った衝突被害軽減ブレーキの実験で、ズバル以外のメーカーが散々な結果に終わったことを考えれば、マツダとトヨタの技術の向上が著しいと言える。
当時の実験の様子は上のリンク先のページで確認することができるが、トヨタとマツダはそれ以降に新たな自動ブレーキシステムを導入しており、その性能が今回証明された形だ。
トヨタについて言えば、今回の実験に参加した車種に搭載される”Toyota Safety Sense P”による自動ブレーキ性能が、スバルの”i sight”に迫る実力を持つと言ってよいと思う。
一方で残念なのがホンダだが、2014年の実験では散々な結果に終り、今回もフリードが参加した11車種の中で最下位に沈むなど、苦戦している印象を拭えない。
自動車の安全技術に対する消費者の関心が高まりつつあるだけに、早急に手を打たなければ、致命的なイメージダウンを招く危険性すらあるのではないだろうか。
マツダの自動ブレーキ
マツダの自動ブレーキシステムには、①スマート・ブレーキ・サポート(以下SBS)と②スマート・シティ・ブレーキ・サポート(以下SCBS)の2つがある。
前者は高速道路を走行中に真価を発揮する機能であるから、今回の実験では後者の性能の高さが証明されたと考えてよいと思う。
今回1位の評価を得たアクセラとアテンザ、CX-3には、SCBSが進化したアドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート(ASCBS)が搭載される。
よって、仮に今回アテンザやCX-3が実験に参加していれば、マツダ車が上位を独占した可能性も大いにあるはずだ。
クリーンディーゼルエンジンに注目が集まるマツダだが、安全性能の分野でも確かな存在感を示しており、会社の勢いを感じることができる。
終わりに
今回、自動ブレーキの性能評価でアクセラが1位を獲得したことには驚かされたが、マツダの安全技術が確かなものであることを知ることができた。
スバルも相変わらずの安全性能の高さを誇り、トヨタも確かな技術の進歩を証明しただけに、今後の展開が非常に楽しみである。
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