交通違反や交通事故を起こした場合、反則金や罰金を支払うケースも少なくないが、その他にも放置違反金なるものがあるらしい。
今回はその金額と反則金や罰金との違いについて投稿するので、是非最後までお読みいただければと思う。
はじめに
放置違反金を理解するために、まずは“放置駐車違反”について確認しておきたいと思う。
ご存知の通り駐車禁止場所や駐停車禁止場所に車を停めれば駐車違反に問われるが、運転者が車両を離れ直ちに運転することができない状況では通常の駐車違反ではなくこの放置駐車違反が適用される。
運転者が車内に残っている場合よりも悪質と判断されるため罰則がより厳しいことが特徴だが、点数や反則金等の詳細を知りたい方はリンク先ページを参照願いたい。
なお、放置駐車違反をした車両には警察官及び駐車監視員によって“放置駐車違反確認標章”が取り付けられ、運転車者が後日出頭するのが一般的な流れである。
放置違反金
放置駐車違反を行った運転者の特定ができない場合に当該車両の使用者(所有者)に課せられる制裁金を放置違反金とを言う。
例えば、Aさんから車を借りたBさんが放置駐車違反を行ったとする。
当該車両には放置駐車違反確認標章が取り付けられ警察署への出頭が催促されるが、Bさんがそれを無視して出頭しない場合は車両の所有者であるAさんの責任が追求され、Aさんに対して放置違反金の支払いが課せられる仕組みだ。
この制度は自動車の使用者の義務の強化を目的に2006年6月より運用されているが、この例のように何の落ち度もないはずの車両の持ち主が気の毒な思いをする場合も…。
ちなみに、放置駐車違反確認標章が取り付けられた後に運転者が素直に出頭した場合、徴収されるのは放置違反金ではなく反則金である。
納付の流れ
放置駐車違反確認標章が取り付けられてから3日が経過しても運転者が出頭しない場合、車の所有者に対し“放置違反金借納付書”と“弁明書”が送付される。
弁明書とは、その名の通り自らの放置駐車に対する弁明を行うことができるものだが、これが認められれば放置違反金の支払いが免除されるらしい。
弁明書を提出するのが面倒と言う理由で一緒に送付される放置違反金借納付書に従い、所有者が違反金を納付するケースもあるそうだが、余計な出費を支払うことになるわけだから、弁明をして支払いの免除を図るのが望ましいと思う。
弁明書の提出と仮納付書による支払いのいずれも行われない、あるいは弁明書を提出したにも関わらず主張が認められなかった場合には正式に“放置違反金納付命令”が出され、車の所有者がこれを受け取った後に放置違反金を納付することで一切の手続きが完了する流れだ。
金額
放置違反金の額は、放置駐車違反の反則金の額と同じ。
ただし、違反行為を行った運転者ではなく、あくまでもその車両の所有者に支払い義務があることを繰り返しておきたい。
放置違反金(円) | ||||
大型 | 普通 | 2輪 | 原付 | |
駐車禁止場所 | 21,000 | 15,000 | 9,000 | 9,000 |
駐停車禁止場所 | 25,000 | 18,000 | 10,000 | 10,000 |
反則金との違い
反則金とは、軽微な交通違反を起こした者がこれを納付することで刑事処分を免れることができる制裁金を言う。
信号無視や指定場所一時停止不停止など多くの反則行為に適用されるが、納付主が運転者であることが放置違反金との最大の違いでもある。
また、放置違反金が放置駐車違反に限定して運用されているのに対し、反則金はその他の多くの交通違反に適用されていることも覚えておきたいところだ。
ちなみに“罰金”だが、こちらは交通違反や交通事故が刑事事件に発展し、裁判を経て当事者の有罪が確定した場合に支払う制裁金であり、懲役や禁固刑と並ぶ我が国における刑事罰の1つに該当する。
よって、言うまでもなく、反則金や放置違反金とは大きく性質を異にするものであることをご理解いただきたい。
差し押さえ
放置違反金支払い命令を無視し放置違反金を納付しない場合に支払いを促す“督促状”が送付されるが、さらにこれを無視し続ければ当事者の財産の差し押さえが行われることもある。
さすがに数万円の事案でここまで発展するケースはないだろうが、滞納の件数が多くその額が数千万にも及ぶ都道府県において毅然とした対応が選択されるる場合もあるらしく、滞納者への見せしめの意味もあるのか、差し押さえられた車両をオークションで競売にかけた自治体もあるとか…。
また、督促状に書かれた期限内に納付が行われない場合にはその車両の車検が拒否されることも覚えておきたいところである。
この状態を解決するには支払い完了を証明する書類を発行してもらう必要があるが、面倒なことになるので、万が一支払い放置違反金の義務が生じた場合には素直に応じるようにしよう。
問題点
交通違反を犯し反則金を納付する場合、原則として反則点数の加算も行われる。
この反則点数の累積が一定に達すると当事者の運転免許の効力が停止されたり取り消されたりするのだが、放置違反金を納付する場合に反則点数が加算されることはない。
反則金はあくまでも交通違反を犯した運転者に対して加算されるものであり、車の所有者がその責任を負う放置違反金には適用することが不可能だからである。
このことが興味深い状況をつくり出しているのだが、放置駐車違反を行った運転者と車の所有者が同一人物である場合、当事者は①運転者として出頭して反則金を納付する、②出頭せずに車の所有者として放置違反金を支払うのいずれかを選択することに。
つまり、違反者が“2つの選択肢”を持つことになるのだ。
言うまでもなく後者が選択されるケースが圧倒的に多いが、支払う金額は同じであれば点数が加算されない方法を選択した方が得と判断されることがその理由であり、現行制度には“放置駐車違反を行っても出頭しなければ点数の加算を免れることができる”と言う一種の抜け道が存在するのである。
終わりに
放置駐車金についてご理解いただけただろうか。
違反をしないと言う考え方ももちろん大事だが、何よりも交通の安全と円滑化を考え、周囲の交通にとって迷惑な行為を行わないよう心掛けたいところである。
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