交通違反で検挙された場合、自身の行為に心当たりがあるのであれば潔く処分を受け入れることが求められるが、警察官の裁定に納得できないケースも考えられる。
そこで今回は交通違反を否認した場合にどのように事が運ぶのかを解説するので、ぜひ最後までお読みいただきたいと思う。
反則金とは
“交通反則通告制度”を根拠に軽微な交通違反を犯した者に課せられる過料を“反則金”と呼ぶ。
交通反則通告制度とは軽微な交通違反を犯した者が反則金を納付することでその反則行為についての公訴が提起が見送られる仕組みであるが、つまるところ、反則金を支払えばその違反が刑事事件として処理されずに済むと言う話である。
反則金の納付は行政処分に当たるとされており、我が国の刑事罰の1つである罰金とは根本的に性質が異なるが、詳細はリンク先のページを参照いただきたい。
納付方法
交通違反で検挙された当事者は“交通反則告知書”と反則金の納付書が交付を受けるが、その日を含めて8日以内に銀行または郵便局で所定の反則金を納付することを仮納付と呼ぶ。
名称は“仮”でもその効力は正式な納付と何ら変わりなく、納付を持って処分の一切が終了し、当事者は刑事処分を受けずに済む。
期限内に納付ができない時は指定場所(日時とともに青切符に記載)に出頭して正式な納付書によって反則金を支払えばよいが、これも履行されない場合は自宅宛に通告書と納付書が送付される。
その納付書を受け取り次第銀行もしくは郵便局で納付を済ませれば処分が完了するが、書面の送付料金を加算した額を納付しなければならないので、これ以前の段階で納付を済ませてしまいたいところだ。
※ 最終的に納付がなされない場合は刑事手続きへ移行する
なお、交通反則通告書(青切符)の交付時に同書へのサインを求められるが、これを行うことは運転者が自身の違反を認めることに他ならない。
もちろん、自身の行為に心当たりがあるならば素直にサインに応じ、上記のいずれかの方法で反則金を納付するのが道理である一方、不当に検挙され場合は断固としてこれを拒否する必要がある。
違反の否認
青切符への署名拒否
青切符へのサインを拒否した場合には当該事案が刑事事件として処理されることになるため、書類送検が行われた後に当事者が検察庁へ呼び出される。
そこで担当の検察官より“略式手続”による事件の処理を持ちかけれれるが、略式裁判となれば必ず有罪判決が下されてしまうため、安易に同意するのは厳禁だ。
この状況を経験される方は自身の交通違反を否認しているのだろうから、略式手続きを拒否し、正式裁判による審理を受けたい旨を伝えよう。
あとは裁判で有罪無罪を争うのみだが、これはあくまでも厳密に法理論に従っての話であり、起訴されない場合やそもそも書類送検すら行われないケースも少なくないのが現状である。
意外に思われるかもしれないが、検察や裁判所の処理能力の都合上、軽微な交通違反をいちいち刑事事件として処理していられないと言うのがその理由だとか…。
もちろん、起訴され裁判になる可能性が全くないわけではないが、青切符へのサイン拒否から始まる全ての工程が無駄になってしまう略式裁判への同意だけは絶対に行うべきでないことを繰り返しておきたい。
反則金の支払い拒否
青切符にサインして切符と反則金の納付書(仮納付用)を受け取ったとしても、実際に支払いを行わなければサインを拒否した場合と同様に事が進む。
先述の①仮納付、②出頭による納付、③送付された本納付書による納付のいずれも行わずにいると督促状のようなものが何度か送付されるが、これを無視し続けるとやはり書類送検され、しばらくしてから検察庁への出頭命令が届く。
自身の違反と反則金納付の遅延を認めるのであれば出頭して略式手続きに同意、罰金を支払うのもよいだろうが、改めて容疑を否認する場合は例によってこれを拒否し、正式裁判を受けたい旨を担当の検事に伝える必要がある。
以上のように、検挙後に青切符にサインした場合でも反則金の支払いを拒否することで自身の無罪を主張することができることを覚えておこう。
注意点
警察官の圧力
交通反則通知書(青切符)へのサインを拒否することは法的に認められた権利であるものの、中には圧力をかけてこれを強要する警察官がいるらしく、複数で取り囲む、運転者パトカーに乗せ高圧的な態度で屈服させる、サインするまで免許証を返さないなどの悪質な行為が横行しているとも聞く。
彼らとしては何としても反則金の支払いで事を終わらせたいのだろうが、間違いなく無罪であると言う確信があるのであれば、断固これを拒否しよう。
不本意ながらサインしてしまった場合も、既に述べた通りその後反則金の納付を行わなければ再び自身の無実を訴え争うこともできるので、諦めないことが大切である。
検察庁への出頭
青切符へのサインを拒否した場合、あるいは反則金の納付を履行しない場合にはしばらくしてから検察庁からの出頭命令が下されるが、これを無視すると逮捕される可能性がある。
反則行為を繰り返しながらも計画的に反則金の納付不履行を続ける悪質な違反者が対象と言われているものの、逮捕されたとなれば身体的にも精神的にも大きなダメージを受けるだろうから、素直に出頭することが望ましい。
出頭と言うと怖く感じる方も多いと思うが、違反をした覚えがないのであれば裁判で争う意思があることを堂々と検察官に伝えればよいだけの話であるから、決して拒否せず検察庁に出向くようにしよう。
なお、調書作成や現場検証のため警察からお呼びがかかることがあるが、書類送検前の段階での出頭依頼は全て任意であり、これを拒否しても特に問題はないはずだ。
運転者のモラル
運転者が違反を否認した場合には当該事案が刑事事件へと移行するのが本来のルールであるものの実際には起訴はおろか書類送検さえ行われないケースが多いことを述べたが、これをよいことに“計画的な反則金逃れ”を行うドライバーがいることも報告されている。
絶対に起訴されないとの確信でもあるのか、交通違反を犯したことを認識しているにも関わらず徹底的にこれを否認し、見事に反則金の納付を逃れるのが彼らの戦略のようだが、これはこれで許し難い行為と言わざるを得ない。
違反をしてしまったのであれば正直にこれを認め、素直に反則金を納付するのは当然のことだと思うが、見苦しい行為を行い自らの品格を問われることがないよう、運転者のモラルが問われているのだと思う。
終わりに
交通違反の否認、青切符へのサインや反則金納付の拒否についてご理解いただけただろうか。
違反に問われることがないよう安全運転に努めることが何よりも大事ではあるが、万が一不当に検挙された場合には的確に対応したいところである。
コメント
地方都市ですと青切符でもゴールドカードでもサイン無しでも裁判所行きますよ。暇だから。私が証人。