夜間にヘッドライトすら点灯させずに走行しているパトカーを見かけることがあるが、これは合法なのだろうか。
疑問に思い法律を調べてみたので、早速その結果を投稿したい。
法律上は
ご周知の通り、パトカーはじめ緊急自動車には様々な特例が適用される。
今回の疑問を解決するには警察車両の夜間の無灯火走行がこれに該当するかどうかを確かめる必要があり、その根拠となる“道路交通法第41条”を載せたが、下の表と合わせてお読みいただきたい。
(緊急自動車の特例)
緊急自動車については、第8条第1項、第17条第6項、第18条、第20条第1項及び第2項、第20条の2、第25条第1項及び第2項、第25条の2第2項、、第26条の2第3項、第29条、第30条、第34条第1項、第2項及び第4項、第35条第1項並びに第38条第1項前段及び第3項の規定は、適用しない。
道路交通法第41条より
免除される事項 | 備考 | |
条文 | 規定内容 | |
第8条第1項 | 通行の禁止等 | 道路標識等による通行禁止場所を通行することができる |
第17条第6項 | 通行区分 | 安全地帯等に入ることができる |
第18条 | 左側寄り通行等 | 道路の左側に寄らずともよい |
第20条第1項 | 車両通行帯 | 追い越し車線を走行してもよい |
第20条第2項 | 通行帯の指定に従わずともよい | |
第20条の2 | 路線バス優先通行帯 | 路線バス優先通行帯を通行してもよい |
第25条第1項 | 道路外に出る場合の方法 | 道路外に出る場合、左に寄り徐行せずともよい |
第25条第2項 | 右折する場合、道路の中央により徐行せずともよい | |
第25条の2第1項 | 横断等の禁止 | 正常な交通を妨害する恐れがある場合でも右左折、横断等をすることが可能。 |
第25条の2第2項 | 指定横断等禁止 | 道路標識による、横断、転回、後退の禁止が適用されない |
第26条の2第3項 | 進路の変更の禁止 | 車線変更が禁止されている区間でも進路変更することが可能 |
第29条 | 追い越しをする場所 | 前の車が追い越しをしている場合でも追い越しが可能 |
第30条 | 追い越しを禁止する場所 | 追い越し禁止場所が適用されない |
第34条第1項 | 左折又は右折 | 右左折の際、右に寄り、左に寄り、徐行せずともよい |
第34条第2項 | ||
第34条第4項 | ||
第35条第1項 | 指定通行区分 | 右折レーン、左折レーンなどの指定の適用を受けない |
第38条第1項前段 | 横断歩道等における歩行者の優先 | 横断歩道を通過する際、徐行せずともよい |
第38条第3項 |
緊急車両が多くの禁止事項の適用を受けないことをご確認いただけると思うが、夜間における無灯火走行については全く触れられていないではないか…。
パトカーと言えども夜間に無灯火走行することは許されず、彼らが無灯火運転による交通違反を犯しているに他ならないのだ。
無灯火違反
罰則等、無灯火運転に適用される処分は下の表にある通りだが、一般車両であれば検挙の対象となるわけだから、パトカーにもモラルのある行動をとっていただきたいところである。
反則行為 | 行政処分 | 刑事処分 | ||||
点数 | 反則金(円) | 罰則 | ||||
大型 | 普通 | 2輪 | 原付 | |||
無灯火違反 | 1点 | 7,000 | 6,000 | 6,000 | 5,000 | 5万円以下の罰金 |
赤色灯の灯火
パトカーが夜間にヘッドライトを点けずに走行することは交通違反であるが、赤色灯については必ずしもそうではない。
緊急自動車として緊急走行する場合には原則として赤色灯の点灯の義務があるものの、ひっそりと巡回している場合は緊急走行ではないからだ。
よって、赤色灯の点灯なしに取り締まりを行うことも可能であると言えるが、詳細はリンク先ページをお読みいただきたいと思う。
終わりに
パトカーが夜間に無灯火で走行する行為が交通違反であることをご理解いただけただろうか。
夜陰に潜み違反車両に目を光らせているのだろうが、一般車両を取り締まる立場にあるのだから、自らも交通ルールを厳守していただきたいものである。
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