あまり馴染みのない言葉ではあるが、皆さんは、“環状交差点”と言う交差点の存在をご存知だろうか。
今回はその概要や通行方法、さらには“ロータリー”との違いについて投稿するので、ぜひ最後までお読みいただければと思う。
環状交差点とは
環状交差点とは、“円形スペースを仲介する形で道路の交差が行われる交差点”のことを言う。
英語では“roundabout(ラウンドアバウト)”と表記されるが、“round”が“円形”を意味することはご周知の通りである。
記事タイトル下の画像にあるように、中央スペースの周りに設けられた環状道路を車両が通行し、任意の接続道路へと進行する仕組みだ。
ちなみに、日本における環状交差点の歴史は浅く、2013年6月改正の道路交通法にて初めてこれが定義されている。
法律上の定義
次に、環状交差点の法律上の定義を確認しておきたいが、“道路交通法第4条第3項”には以下のようにある。
(公安委員会の交通規制)
3 公安委員会は、環状交差点(車両の通行の用に供する部分が環状の交差点であつて、道路標識等により車両が当該部分を右回りに通行すべきことが指定されているものをいう。以下同じ。)以外の交通の頻繁な交差点その他交通の危険を防止するために必要と認められる場所には、信号機を設置するように努め開ければならない。
道路交通法第4条第3項より
これによれば、“車両の通行の用に供する部分が環状の交差点であり、道路標識等により車両が当該部分を右回りに通行すべきことが指定されているもの”がその定義のようだが、通行ルールについては続きをお読みいただきたい。
通行方法
続いて環状交差点の通行方法を解説するが、主に①一時停止の必要性、②合図、③進行方向、④車両の優先順位、⑤走行速度に注目する。
- 一時停止:必要なし
- 合図 :進入時は必要なし、交差点を出る場合には左折の合図が必要
- 進行方向:右回り
- 優先車両:交差点内を通行する車両
- 走行速度:徐行
一時停止
環状交差点への進入時に一時停止義務はなく、徐行して、横断歩道を横断する歩行者の有無を確認しながら交差点の中へ入ればよい。
もちろん、歩行者がいる場合や流れが滞っている場合など、状況に応じて一時停止の必要性が生じる可能性があることは言うまでもない話である。
合図
一時停止同様、環状交差点への進入時にウィンカーの点滅は不要。
左折する形で交差点へ入るだけにその合図が必要と考える人も多いと思うが、合図なしで進行して問題ない。
ただし、環状交差点を出て接続道路へ進入する際には左折の合図をする義務があるので注意が必要である。
少々複雑ではあるが、“入る時はそのまま、出る時は左折の合図”と覚えておこう。
進行方向
交差点内の進行方向は“右回り”と決められている。
交差点の存在を示す道路標識もそれがわかるようなデザインになっているが、間違っても逆行は厳禁だ。
優先順位
環状交差点内を通行する車両と交差点へ進入しようとする車両では、前者が優先される。
よって、交差点へ進入しようとする車両は交差点内部を通行する車両の通行を妨げることがないよう努めなければならない。
交差点進入時の一時停止義務こそないものの、以上の点を踏まえた上で適切な状況判断が求められるのだ。
徐行義務
環状交差点への進入時のみならず、交差点内を進行する場合にも徐行が原則である。
“徐行しながら右回りに進行する”と覚えておけば問題ないと思うが、交差点内への進入を図る車両や歩行者の動きに注意し、安全を確保しよう。
ロータリーとの違い
環状交差点とよく似た存在として“ロータリー”があるが、円形の環状部分を用いる交差点という点では環状交差点と全く変わらない。
その一方、交差点進入時に一時停止義務がある、内部に信号機が設けられる場合があるなどの点において環状交差点との違いも見られる
さらには内部に車線が引かれているケースもあるが、以上の事情を考慮する限り、一般に言う環状交差点よりも規模が大きくなる傾向があると言って間違いないと思う。
終わりに
環状交差点について、ご理解いただけただろうか。
現状ではその数はかなり少ないものの、仮に環状交差点を通行する必要がある場合には今回ご紹介した通行ルールを厳守し、安全運転に努めていただきたいと思うところである。
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