ハンズフリー通話のため、運転中にイヤホンを使用される方も多いと思うが、これが交通違反になるという噂を耳にした。
その真偽を調べてみたので、早速結果を投稿したい。
法律上は
道路交通法を見る限り、運転中のイヤホンの使用に適用される可能性が最も高い反則行為はやはり“安全運転義務違反”である。
(安全運転の義務)
車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキ、その他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
道路交通法第70条より
“他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない”、とあるように、仮に人身事故を起こせば確実にこの違反に問われることはご周知の通り。
さらに、その表現上非常に広義の解釈が可能であり、警察官の裁量次第であらゆる行為に適用される可能性があることもこの反則行為の特徴である。
よって、運転中のイヤホンの使用によって安全運転義務違反に問われる可能性がゼロとは言い切れないはずだ。
もちろん、そのイヤホンから出力される音量の大きさが安全上危険であることを立証するのは容易ではなく、事故を起こさない段階で検挙される確率は限りなく低いと思うが…。
条例違反になる可能性
安全運転義務違反とは別に、運転中のイヤホンの使用が“公安委員会遵守事項違反”に該当する可能性もある。
この公安委員会遵守事項義務違反は“道路交通法第71条”を根拠とするものだが、車両の運転者が各都道府県公安委員会が定めた規定を遵守しなかった場合に適用される反則行為を言う。
(運転者の遵守事項)
車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
(第1~第5号まで省略)
6 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が道 路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定め た事項
道路交通法第71条より
例えばノーマルタイヤでの積雪路又は凍結路走行の禁止やサンダルを着用しての運転の禁止などは、これを根拠に各都道府県の条例により禁止されている事項の代表である。
さらに調べて見ると、これと同じように、35の都道府県が条例にてイヤホンを装着しての運転を禁止しているようだ。
よって、これらの自治体で運転中にイヤホンを使用すれば公安委員会遵守事項違反で検挙されることになるが、罰金等の処分は下の表にある通り。
反則行為 | 行政処分 | 刑事処分 | ||||
点数 | 反則金(円) | 罰則 | ||||
大型 | 普通 | 2輪 | 原付 | |||
公安委員会遵守事項違反 | なし | 7,000 | 6,000 | 6,000 | 5,000 | 5万円以下の罰金 |
※ 反則金を納付することで刑事処分を免れることが可能だが、詳細はリンク先のページを参照されたい。
ハンズフリー通話
ここで気になるのが運転中のハンズフリー通話の是非だが、こちらが違反に問われることはないようだ。
実際に警察に問い合わせた結果違反ではないとの回答を得られたとの記事が紹介されているが、運転中のイヤホン使用を禁止している神奈川県での話だけに非常に有意義な情報である。
ハンズフリー通話は、携帯電話の使用が禁止されている現状において運転中に行うことが可能な唯一の通信手段であるだけに、こちらまで違反とするのはさすがに無理があるのだと思う。
終わりに
運転中のイヤホンの使用が交通違反になる可能性があることをご理解いただけただろうか。
音楽を聞く場合はカーステレオで十分なはずだし、スマホ等を使用した音楽再生となればそれら端末の操作によるリスクも生じるだけに、自重して欲しいところである。
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