先日、家族が乗車した高速バスが遅延したため乗り継ぎに失敗、タクシーを呼んで大金を取られたらしいのだが、このようなケースでは運賃の払い戻しの対象となるのだろうか?
今回は、高速バスの遅延と運賃の返金について投稿する。
高速バスの遅延
道路を移動する以上遅延は日常茶飯事と思われがちな高速バスだが、その頻度は意外に低く、10台中9台は遅れることなく定時に目的地に到着している。
それどころか、ある程度の渋滞を想定して時刻表が組まれていることもあり、予定よりも早く到着するケースも珍しくないとか。
もちろん、通勤ラッシュや突然の事故に起因する渋滞に巻き込まれた場合には如何とも対処し難く、相当の遅延が発生してしまう可能性が常に存在するのだが、高速バスが我々がイメージするよりもかなり時間に忠実に運行されていることを覚えておこう。
遅延と返金
いよいよここから本題に入るが、初めに結論を言えば、遅延を理由に高速バスの運賃の返金が行われることはない。
と言うのも、乗合自動車は旅客を一定区間輸送することに対して対価を得るものであり、輸送にかかる時間は問題にしないと言う考えを前提に運行されているからだ。
つまり“A地点からB地点まで旅客を輸送すれば所定の運賃を得ることができ、それに何時間かかろうが予定よりも到着時刻が遅れようが関係ありません”と言うことだが、高速バスの運行を根拠付ける“道路運送法”を見ても遅延と返金に言及する記述は皆無である。
鉄道と特急券
鉄道もバスと同じ原則のもとで運行されており、遅延を根拠に運賃の払い戻しが行われることはないものの、“特急券”に関しては事情が異なる。
そもそも特急券は料金の支払いの対価として目的地に早く到着する権利を得るものであるから当然と言えば当然だが、大きな遅延が発生した場合には特急券の購入金の払い戻しが行われる確率が高い。
例によってその場合にも運賃は返金されず、乗客は一定区間の輸送に対する対価を支払う。
運休した場合
高速バスが運休した場合、授受した運賃に対するサービス(目的地までの旅客の輸送)を履行できなかったとの理由で運賃払い戻しの対象となる。
バスに乗り込む前に運行が決定している状況はもちろんのこと、途中で引き返した場合や乗客がバスを降りることを強いられた場合なども目的地まで旅客を輸送できなかった事実を持って返金の対象とされるが、原則としてバス会社が代替交通手段を用意することはない。
遅延の要因
①台風、②降雪、③強風、④交通渋滞、⑤交通事故など、様々な事象が高速バス遅延の要因となり得るが、交通渋滞と交通事故を除く①~③についてはある程度の予測が可能なので、状況に応じて初めから“高速バスに乗らない”選択をした方が良いケースもある。
一方、④交通渋滞と⑤交通事故を予想することは難しく、その確率はともかくとして、それに起因する遅延が発生する可能性が常に存在することを否定できない。
よって、高速バスを利用する際には余裕を持ったスケジュール管理が大切であり、大事な用事がある場合には1~2本早い便に乗ることも1つの選択肢と言える。
遅延が発生し、代替手段としてタクシーを呼び大金を支払うことになっては本末転倒なので、大事なイベントの直前に目的地に到着する便への乗車は避けるようにしよう。
終わりに
今回は、高速バスの遅延が運賃の払い戻し対象とならないことを確認した。
何とも理不尽な話にも思えるが、法律的にもどうすることもできない問題なので、高速バスを利用する場合には余裕を持ったスケジューリングを心掛けたいところである。
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