スプーン社が製造販売する自動車用のパーツ“リジカラ”は、“車の走りが激変する”、“取り付けると1ランク上の車の乗り心地になる”等の好評を多く得ており、私も以前から気になっていたのだが、先日ついに意を決して我がデミオに装着してみた。
今回は、リジカラ装着前と装着後の走りの違いに注目しながら、その効果をレビューする。
リジカラとは
スプーン社が製造販売するリジカラは、自動車のボディとサブフレームを固定するボルトとの間に装着するアルミパーツであり、ボルトとボルト穴の隙間を埋めることで車全体の剛性化を図るアイテムである。
リジカラを取り付けることでボディとサブフレーム間のクリアランスがなくなり両者は強固に締結されるが、同時にボルトがボルト穴の中心を通るため製造過程で生まれた“ズレ”が解消され、より精密にボディとサブフレームを一体化させることができる優れものなのだ。
さらなる詳細については私がここで説明するまでもなくスプーン社の公式商品ページで解りやすく解説されているので、そちらを参照いただきたい。
装着モデル
今回リジカラを取り付けた我がデミオは、製造が2015年の7月で型式は“DBA-DJ3FS”。
2018年8月末の1.5Lモデルの登場と同時に廃止された1.3Lガソリンエンジンを搭載するモデルで、駆動方式はFFである。
ご存知の通りデミオはじめ最近のマツダ車は短いスパンで商品改良が行われており、その都度ステアリングの重さや足回りのセッティング等が微妙に変化しているのだが、リジカラ装着前と装着後の変化を検証するに当たりこれらの要素が非常に重要になるので、ここで是非ご確認願いたい。
取り付け場所
リジカラの取り付けを行っているカーショップは数多く存在するが、今回はオートバックスに作業を依頼した。
と言うのも、ちょうど近隣のオートバックスで“リジカラフェア”が開催されており、商品価格も通常よりもお得だったため迷わず購入。
また、普段はオートバックスのスタッフが作業するところリジカラ商品開発部門の方が来店していたためその方に取り付けてもらうことができたのだが、通常1時間~1時間半かかる作業が何と30分足らずで終了したことも非常にラッキーだったと思う。
価格・工賃
商品価格と工賃の合計は37,841円。
オートバックスでのDJデミオ用リジカラの商品価格はフロントが21,600円、リアが6,048円らしいのだが、リジカラフェアのためそれぞれ10パーセントの値引きが適用され、それに工賃の12,960円を合わせて計37,841円の支払いだった。
商品代 | 工賃 | 計 | |
フロント | 19,440円 | 12,960円 | 37,841円 |
リア | 5,443円 |
リジカラはYahooショッピング等のネット通販で購入することも可能とは言え、持ち込み製品の取り付けに通常の2倍の工賃を取るショップ(オートバックスやイエローハット)も少なくないので、トータルで考えれば今回のように“リジカラフェア”で購入するのがベストと言えるはずだ。
ただし、還元されるポイントや各キャンペーンによる特典等を考慮すると、商品価格そのものはやはりネットショップで購入する方が安い傾向にあるので、自分で取り付けできる、行きつけのショップで格安で取り付けてもらえる、ショッピングサイトのポイントを使いたい等々の事情がある方にはそちらの利用をお奨めしたい。
効果
我がデミオについて言えばリジカラの効果はとても大きく、装着後にオートバックスを出てすぐに取り付け前との違いを感じることができた。
装着前との違いを大きく感じられたのは①直進安定性の向上、②横Gの減少、③車の重厚感の増大、④ステアリング反応の向上の4点だが、以下で詳細を解説する。
- 直進安定性の向上
- 横Gの減少
- 重厚感の増大
- ステアリング反応の向上
直進安定性の向上
まず走り出して直ぐにステアリングの手応えの違いを感じられ、リジカラ取り付け前と比較して明らかに重く、それに伴い直進安定性がより高まった印象を強く受けた。
DJデミオは短いスパンで商品改良を重ねており、ステアリングの重さもその都度軽くなったり重くなったりと味付けが変更されているのだが、その中でも最も重厚な手応えがある初期型の我がデミオのステアリングがさらにどっしりと重くなったと言える。
その恩恵を最も顕著に実感できるのが高速走行時で、高速道路を100km/hで巡航中にもステアリングが全くブレず、後述する車体の重厚感の増大も相まって抜群の安心感を得ることができるのだ。
ステアリングの重さがドライバーに与える影響は非常に大きく、車の重厚感や直進性、安心感の増加に貢献してくれるだけに好意的に捉えることができる変化であり、重めのステアリングを好む私としては、この点1つを採ってもリジカラを装着した甲斐があったと思う。
横Gの減少
ステアリングの重さの変化と同様に驚いたのが“横G”の減少であり、コーナーでの車体の振られ具合が減少し、カーブを通過する際の車体の安定感が大きく増した印象を受ける。
“GVC(Gベクタリングコントロール)”搭載車とはまた違う感覚ではあるものの、遠心力による外への膨らみが明らかに小さくなっており、いつも通行しているU字型のコーナーで車体が普段よりも内側を通過した時には大きな衝撃を受けた。
GVC搭載車がエンジンの制御によりコーナー通過時の遠心力を緩和する仕組であるのに対し、リジカラ装着後の我がデミオは剛性が高まったボディが遠心力による車体の膨らみを抑制している印象を強く感じるのだが、いずれにせよこの横Gの減少が乗り心地の改善に貢献していることに間違いはなさそうだ。
重厚感の増大
リジカラを装着したことで車の重厚感が増したように感じられ、まるでDJデミオのディーゼル車に乗っているような感覚を覚えるほど。
DJデミオのガソリン車はディーゼル車よりも約100kg車重が軽く、その分車の重厚感や直進性で劣ってしまうのだが、リジカラ装着後は車体がより引き締まり、ステアリングがさらに重くなった影響もあるのかより重厚な乗り味へと変化している。
しばしば“リジカラをつけると1ランク上の車に乗っているように感じる”と言われるように、まさに車格が1つ上がったようで、運転の質がさらに高まった印象だ。
また、車がどっしりとタイヤを地面に押し付けてくれるようにも感じられ、道路の継ぎ目などの段差を通過する際のバタつきが減少したことに加え、片輪がマンホールを踏んだ時に起こりがちな車体のねじれによる嫌な横揺れも改善されている。
ステアリング反応の向上
リジカラの効果として“ハンドルの遊びがなくなった”と言う声を耳にすることも多いのだが、私のデミオにもその傾向があり、ステアリング操作に対する車体のレスポンスが向上した。
リジカラ取り付け前は確かにステアリングの遊びがあり、ステアリングを切り始めてから車体が反応するまでに少々時間差が生じたのに対し、リジカラ装着後は切り始めからダイレクトに車が反応するため、車線変更時や障害物を回避する際によりクイックに車体をコントロールすることができる。
前述の通りステアリングの重さも増しており、直進性が高まると同時に反応も向上すると言う理想的な結果となったわけだが、まさに“リジカラ侮るべからず”と言ったところだろうか。
デメリットは?
“乗り心地が悪くなった”、“音がするようになった”、“路面からの突き上げが鋭くなった”など、リジカラ装着によるデメリットを指摘する声も見られるが、私のデミオについては現状でネガを感じることは全くない。
確かにボディ剛性が増したため車(特に足回り)が引き締まり、路面の状況がより忠実に伝わってくる印象こそあるものの、以前よりもサスペンションがしっかり動いているようにも感じられるし、装着タイヤが15インチと言うこともあり衝撃を上手に緩和してくれる。
また、先述の通り車の重厚感が増したため、段差を通過した時などには車が車重を路面に押し付けて嫌なバタつきを抑制している印象が強く、個人的にはリジカラ装着前よりもショックを上手く吸収していると思えるくらいだ。
ただし、“タイヤが硬い”としばしば指摘される16インチホイールを装着するモデル(ディーゼル車及び1.5Lガソリン車の最上級グレード)やインチアップしている車両の場合は事情が異なる可能性があり、現にリジカラを付けた状態で我がデミオ13Sに純正16インチを装着したところ最悪な乗り心地になってしまったので、十分に注意が必要だと思う。
アライメント調整の必要性
最後にリジカラ装着後のアライメント調整の必要性に触れておくが、スプーン社の商品開発の担当者の方曰く基本的にはそのままで問題ないとのこと。
と言うのも、リジカラ装着後にアライメントの調整が必要になるケースは元来サブフレームとボディを結合するボルトが大きく中心をズレて留められていた場合に限られるらしく、DJ型のデミオは量産車にしてはかなり精巧にできているためその可能性は少ないらしいのだ。
実際に我がデミオもデフォルトの状態でボルトのズレはほとんどなかった様で、現状でステアリングのセンターがズレる、車が真っ直ぐ進まない、ステアリングを切った時の車体の曲がり方がおかしいなどの不具合は見当たらず、1ヶ月後に念のためサイドスリップを確認しても全くの正常値だった。
アライメントの調整には20,000~25,000円程度の費用がかかるのが一般的であり(オートバックスでリジカラを取り付けた場合は半額の約1万円)、これが商品代と工賃に上乗せされるとなると出費が増えるし、そもそもデミオは前輪トー角以外のアライメントを調整できないので、費用対効果を考えてもアライメント調整の実施が現実的とは言い難い。
どうしても心配な場合はリジカラ取り付けから1ヶ月後を目安にサイドスリップ調整くらいはやってもいいと思うが、運転していて特別な違和感を感じなければそのまま乗り続けても全く問題ないだろう。
終わりに
今回はDJデミオにリジカラを装着した体験を投稿してきたが、装着前と比較して幾つかの弱点が改善され、乗り心地が一段と良くなり非常に満足できる結果となった。
同じくDJデミオを所有されており、リジカラに興味をお持ちの方にも是非その効果を体感していただきたいと思うところである。
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