運転中にブレーキが効かなくなる夢を見たと言う話を耳にすることがあるが、現実問題としても全く起こり得ない話ではない。
今回はその原因と事故を回避するための対処方について投稿するので、是非とも最後まで読んで欲しい。
はじめに
一言でブレーキと言っても、自動車は数種類のブレーキ機能を有している。
①フットブレーキ、②エンジンブレーキ、③パーキングブレーキの他、ハイブリッド車両には④回生ブレーキも搭載されているのだ。
中でも一般的にブレーキと呼ばれるのは①であり、本投稿で”ブレーキが効かない”と表現する場合もこのフットブレーキを指すことを確認しておきたい。
- フットブレーキ
- エンジンブレーキ
- パーキングブレーキ(サイドブレーキ)
- 回生ブレーキ
原因
運転中にブレーキが効かなくなる原因としては、下に列挙する3つが考えられる。
- フェード現象
- ペーパーロック現象
- メカニカル・システム上の不具合や故障
フェード現象とは、下り坂を走行するにフットブレーキを多用しすぎることでブレーキパッドの限界を超える熱が発生し、ブレーキの効きが悪くなる現象のこと。
これだけでも十分に危険なのだが、このフェード現象が発生した状態でさらにフットブレーキを使うと、今度は制動力を伝達するための油圧系統にも熱が伝わってしまう。
これにより、ブレーキペダルを踏んでも全くブレーキが効かない状況に陥ってしまうが、これがペーパーロック現象である。
勾配がある道路を下る場合にブレーキによる制動力を得られないとなれば、これが如何に危険であるかは言うまでもない。
よって、長い下り坂を走行する場合には、可能な限りフットブレーキの使用を少なくすることが求められるのだ。
他にも、メカニカルな部分に不具合が生じたためブレーキが効かなくなる可能性もある。
自動車が精密機械の固まりである以上、不具合の発生を否定することはできないが、システムが複雑化すればするほど、わずかな狂いが命取りになることも考えられるはず。
決して多くあることではないが、可能性がゼロでないことを理解しておくべきだと思う。
対処法
万が一ブレーキが効かなくなった場合の対処法は、以下の通り。
- エンジンブレーキで減速
- パーキングブレーキ(サイドブレーキ)を引く
- 路肩にぶつけて停止させる
状況が状況だけに、冷静になれと言われても難しいとは思うが、可能な限り確実に操作したいところだ。
エンジンブレーキ
前を走行する車がいない場合は、エンジンブレーキを使い徐々に速度を落とすことが可能。
エンジンブレーキとは、エンジンの出力を落とすことで車輪の駆動に抵抗を生じさせ、制動力を発生させる方法である。
本投稿ではその詳細な説明はしないが、アクセルペダルから足を離すと自然に速度が落ちていく現象と考えればよいと思う。
エンジンブレーキは低いギアほど効きが強いのだが、MT車の場合は、一気に1速、2速ギアに入れるのではなく、5速、4速、3速と段階的にシフトダウンしていくことがポイント。
急に低いギアに入れてしまうと、エンジンの回転数が上がり過ぎ、エンジン自体が壊れてしまう可能性があるので注意して欲しい。
AT(オートマチック車)の場合は、普段のDレンジから3や2またはLにギアチェンジすることで、エンジンブレーキを強く効かせることができる。
この場合も急に2やLに入れるのではなく、はじめは3を使い、その次に2もしくはLへと移行するようにしよう。
正しくエンジンブレーキを発動できれば、かなりの速度まで減速することができるはずだ。
サイドブレーキ
エンジンブレーキを確実に効かせることができれば、その状態でサイドブレーキを引き完全に車を停止することもできる。
ついては、サイドブレーキがシフトレバーの横にある場合は問題ないが、最近では足踏み式やボタン式を採用する車も多いで注意が必要だ。
このような場面を想定すると、サイドブレーキは本来の位置、すなわちシフトレバーの横にあるタイプが最もよいと言えるかもしれない。
話を戻すが、この場合も、サイドブレーキを一気に引くのではなく少しずつ引くことが重要。
一気にパーキングブレーキをかけると、車輪がロックしてしまいかえって危険状況になりかねないので、段階的に強く引くようにしよう。
足踏み式の場合は特に操作が難しいと思うが、何とか上手く行って欲しい。
押しボタン式のパーキングブレーキの場合は、ボタンを長押しすることでゆっくりとブレーキをかけることができるようだ。
路肩にぶつける
エンジンブレーキやパーキングブレーキで車を停止できなければ、ガードレールや路肩に車をぶつけて、停止させる必要がある。
ボンネットの左端を路肩やガードレールに擦り付けるようにするのが理想だが、その時の状況を踏まえ、的確に判断・操作しなければならない。
決して簡単なことではなく、最終手段とも言える方法であるが、できればエンジンブレーキとサイドブレーキで停止させたいところだ。
対処不可能な場合
どうすることもできないケースもある。
例えば、自身の前を走行する車両がいるだけで、上記の方法を実行することは極めて困難になってしまう。
前方に障害物となるものが存在する状況では、速度を落とし、最終的には車を停止させるために必要な距離を確保できないからだ。
エアバッグや衝撃吸収材の品質の向上により、最近の自動車の衝突安全性が飛躍的に向上していることは事実だが、ぶつかってしまえばタダで済むことはない。
これを考慮すれば、やはり、フットブレーキが効かない状況を絶対に起こさないようにすることが大切と言える。
すでに述べたが、フェード現象とペーパーロック現象は、下り坂でのフットブレーキの多用を避けることで発生を防止することが可能。
その他の故障に関しても、日々の点検やメンテナンスを忘れずに行うことで、不具合を早めに発見することができる。
普段から、自身の車の状態をチェックすることを心がけよう。
終わりに
絶対に起こるべきことではないが、万が一ブレーキが効かなくなってしまった場合は、冷静に上記の方法を実践して欲しい。
そして何よりも、普段のメンテナンスや点検を確実にを行い、不具合の有無のチェックを怠らないようにしよう。
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