まことに残念なことではあるが、運転中、動物をひいてしまった経験を持つ人も少なくないと思う。
今回はその対処法について投稿したいが、警察への連絡が必要と言うのは本当なのだろうか。
対処法
万が一、動物をひいてしまった場合には、適切に対処する必要がある。
“たかが動物”といい加減な対応をすると、場合によっては“当て逃げ”に問われる可能性もあるし、飼い主がいる場合は彼らの感情も穏やかではないはず。
詳細は以下を参照されたい。
救護
動物が生きている場合には、その救護を最優先しなければならない。
と言っても、一般人にとっては容易なことではないので、動物病院へ搬送するのが最も確実と思われる。
動物病院へ事故が起きた旨を連絡しておくと迅速に診察・治療してもらえることがあるので、すぐに電話をするのがよいと思う。
また、周囲に迷惑をかけることがないよう、安全な場所に車を停車させることが大切だ。
飼い主・警察への連絡
動物がペットであり、首輪に付けた札などから飼い主の連絡先がわかる場合は、迅速に飼い主へ連絡しなければならない。
法律上、ペットは飼い主の所有物として扱われるが、それを傷付けた以上は所有者へ連絡することが義務でもあるし、道徳的にも当然のことである。
同時に、警察への連絡も必要。
交通事故の定義は、道路における車両等の交通に起因する人の死傷又は物の損壊であり、相手がペット(飼い主の所有物)の場合も、事故に該当するのだ。
交通事故を起こした場合、警察への連絡は運転者の義務であることは言うまでもなく、これを怠った場合には、“報告義務違反”に問われてしまう。
なお、報告義務違反とは、いわゆる“当て逃げ”のことである。
占有主がいない野生動物が相手の場合、ペット同様に物として扱われるかどうかは難しい問題であり、私には判断ができない。
しかしながら、車が傷付いた場合など、警察による事故証明がないと保険を適用することができないので、やはり警察への連絡が必要になると思われる。
法律上は、警察への連絡が最優先になるが、動物が生きている場合にはその救護を疎かにすることは許されない。
よって、まずは警察へ連絡しつつも、救護が必要である旨を伝えるのが望ましいと思う。
罰則・処分
刑事責任と行政責任
動物をひいてしまった場合、刑事処分と行政処分のいずれを受けることもない。
より具体的に言えば、懲役や罰金などの刑罰に処せられることもなければ、反則金の納付もないので、過度の心配は不要。
また、人身事故ではなく物損事故扱いになるので、反則点数が加算されることも有り得ない。
ただし、先に述べた通り、警察への報告を怠った場合には報告義務違反に問われるので、連絡を忘れないようにしよう。
なお、ペットをひいた場合、“器物損壊罪”に問われることがあると言う人がいるが、これは少々誤った表現である。
器物損壊罪は意図的に対象物を壊した場合に適用されるので、誤って動物をひいたのであれば、これに該当することは考え難いのだ。
もちろん、故意に行ったとなれば話は別であるが、そのようなドライバーはいないと思う。
余談になるが、反則金と罰金の違いや交通事故を起こした場合の処分についての詳細が気になる方は、以下を参照されたい。
賠償
刑事責任と行政責任を問われることがないとは言え、飼い主の所有物を傷付けた以上、民事上の責任を免れることはできない。
この民事上の責任とは飼い主への賠償であるが、より具体的にはペットの治療費を言う。
さらに、その動物が死亡してしまった場合には、その購入額に相当する額の賠償を請求される可能性もある。
しかしながら、ペットを外に出したことに対する飼い主の管理責任が問われることも事実。
車が傷付いたり、ペットが原因で大事故になった場合には、逆に飼い主が車の修理代や負傷者の治療費の賠償を請求されるケースさえあるのだ。
よって、実際には両者の過失が相殺されることになるが、これについてはお互いによく話し合い、合意を目指すことが大切である。
終わりに
万が一動物をひいてしまった場合の対処法をご理解いただけただろうか。
飼い主がいる場合には特に気の毒なことになってしまうので、少しでもリスクを減らすためにも、安全運転を心がけるようにしよう。
コメント
奈良県内の鹿は天然記念物なので、轢くと文化財保護法により刑事罰を受けます。もちろん故意に轢いた場合だけですが、警察や検察や裁判所に「故意があった」とされてしまうかもしれないので、一応。