私はマツダ・デミオの他もう1台トヨタのSAIという車を所有しているが、今回はそちらについて投稿する。
オーナー目線で可能な限り詳細にレポートするので、是非最後まで読んで欲しいと思う。
はじめに
はじめに、私が所有するモデルに付いて確認しておきたいが、SAIには4つのグレードが設定されている。
いずれもハイブリッド車で駆動方式はFF、ボディ形状の違いなども存在しない。
私のSAIが所有するモデルは“G”であり上から2番目のグレードであるが、下位モデルとの最大の違いは、純正ナビゲーションシステムが搭載されていることと言えるだろう。
グレード | 駆動方式 | 価格(税込) |
G”Aパッケージ” | 2WD | 4,339,637円 |
G | 2WD | 3,938,073円 |
S”Cパッケージ” | 2WD | 3,406,909円 |
S | 2WD | 3,303,818円 |
走行性能
動力性能
SAIに搭載されるエンジンは、“アトキンソンサイクルエンジン”と呼ばれるもので、排気量は2.4リッター。
これにモーターの出力が加わるのだが、スペックの詳細は以下の通り。
型番 | 総排気量 | 最高出力 | 最大トルク | |
エンジン | 2AZ-FXE | 2.362L | 110kW [150PS/6,000r.p.m] | 187N・m [19.1kgf・m/4,400r.p.m] |
モーター | 2JM | 105kW [143PS] | 270N・m [27.5kgf・m] |
※ システム最高出力(エンジン+モーター): 140kW [190PS]
アトキンソンサイクルエンジンは何よりも燃費を重視したエンジンであり、動力性能が犠牲になることは避けられない。
例によって、このエンジンも数値的にはやはり控えめ。
しかしながら、それをモーターで補う仕組みになっており、システム最高出力は“190馬力”を確保している。
実際に運転してみると十分な余裕を感じられ、エンジン排気量が1.8リッターのプリウスと比較すれば、その差は大きいと言えるだろう。
トランスミッションが”CVT”の一種であるため、ガソリン車であれば発進時のもたつきが懸念されるところだが、それをモーターで上手く補完しているようだ。
発進加速
出足については軽快であるとは言えず、“重たい”と感じることすらあるが、1,600kgに迫る車体重量が1つの要因と思われる。
この辺りは、同じトヨタのハイブリッドセダンでありながらも見事な加速力を誇るカムリに劣るような印象もあるが、エンジンの新旧と排気量の違いによる影響もあるのだろう。
とはいえ、実際に運転していて“パワー不足”を感じることはない。
むしろ、“重厚で紳士的な加速”が非常に質の高い運転を実現していると考えることも可能だし、好意的に受け止めたいところだ。
先述の通り、燃費を重視するため、本来の動力性能をかなり抑えてチューンングされていることも事実だ。
“スポーツモード”にした途端、別の車ではないかと思うほど力強い加速をすることが何よりの証拠である。
中間加速
発進加速が比較的おとなしい一方、時速50〜60km/hあたりまでスピードが乗ってからの中間加速は非常によい。
静粛性が高いこともあり、いつの間にか結構な速度が出ていることも少なくないほどだ。
特に、高速道路を時速80~100km/hあたりで走行している時の動力性能には目を見張るものがあり、非常に気持ちよく速度が上がっていく。
スポーツモード
新型SAIにはスポーツモードが搭載されているが、このモードにすると、アクセル開度に対する出力が大きく変化する。
その動力性能は見事なもので、全く別の車に乗っていると感じるほどだ。
スポーツモードに切り替えてもエンジン回転数のみが上昇し、実際の加速が伴わない車もあるが、このSAIは全くそのようなことはない。
これについては”スポーツモードとエコモード”について投稿したページがあるので、詳細はそちらを参照して欲しいと思う。
ハイブリットシステム
SAIに搭載のエンジンは旧型である一方、最も熟練されているとも言える。
そのエンジンとモーターの組み合わせであるハイブリットシステムには非常に定評があり、完成度はやはり高い。
基本的には、モーターの力で発進後すぐにエンジンがかかり、エンジンとモーターが共に出力を発生し加速する。
エンジンが始動する時にわずかな振動と音がするが、運転し慣れているオーナーでもなければ気が付かないレベルであり、初めて運転する人や同乗者には全くわからないものだと思う。
それほどまでに静粛性も高く、モーターとエンジンの連携もスムーズなのである。
一定の速度まで達するとエンジンからの出力のみで走行するようになり、そこからアクセルを少し戻すとエンジンがストップし、再びEV走行することが可能。
この時点では十分に速度に乗っているので、それをモーターの力でキープすればよいのだ。
登り勾配に差し掛かかるとモーターの力のみでは速度を保つことが難しく、エンジンによる出力が必要となるが、平地や下り坂であれば十分にEV走行が可能である。
また、バッテリーの残量が少なくなると、やはりエンジンが再始動する仕組みだ。
安定性・安心感
ボディ剛性も非常に高く、運転中の車体の安定感やドライバーの安心感も高い。
特に、直進安定性が高く、車が真っ直ぐに進もうとしていることがステアリングを通じて伝わってくる。
デミオのボディ剛性もコンパクトカーとは思えないほどの素晴らしいものだが、やはりこのSAIには及ばず、3ナンバーサイズのボディが車体安定性によい影響を与えているのだと思う。
高速道路を走行中は、さらにその安定性が際立ち、時速100km/hで走行していても不安を感じることは一切ない。
一方、“ダッシュボードが下から上へせり上がるような形状をしている”ことは少々マイナスポイントと言わざるを得ないだろう。
これにより視界が狭められる印象を受けることがあり、初めて運転する人や運転が苦手な人にとって、不安に感じられる可能性を否定できないのだ。
詳細は、以下のページを参照して欲しい。
足回り
足回りは、“硬すぎず柔らかすぎず”と言う印象を受けるが、よい意味で”中庸”というのが適切な表現かもしれない。
コーナーでの安定感を損なうことなく、路面からの突き上げもマイルドに緩和することができる”絶妙なチューニング”になっているように思える。
この足回りのしなやかさとボディ剛性の高さが一体となり、ドライバーに対しては安心感、乗客には快適な移動空間を提供してくれるのだ。
ハンドリング
ステアリングは、どっしりと重い。
その上、エンジンとモーターを積んでいることによりフロントも重く、“スムーズに曲がる”という感覚は乏しいように思える。
重めのステアリングが好みである私にとっては満足出来るが、カーブが連続するワインディングを走行する場面など、女性をはじめ腕の力が弱い人は少々苦労するかもしれない。
一方、“直進安定性”にとってはこれがプラスに作用しており、ドライバーに安心感を与えてくれることも事実だ。
この重めのステアリングと高められたボディ剛性、足回りのしなやかさが一体となり、質の高い運転を実現していると言えるだろう。
静粛性
静粛性が非常に高い。
吸音材、遮音材、遮音ガラスなどが効果的に使われているようだが、本当に素晴らしい静粛性が確保されている。
エンジンノイズについては全くと言ってよいほど気にならないが、EV走行中はもちろん、エンジンが稼働していてもそのボリュームは小さく、室内はとても静かだ。
信号待ちなどで停車中には、外界から隔離されているような感覚すら覚える。
“クラウンよりも静か”と言う声も耳にするが決して嘘ではないだろうし、皆さんにも実際に試乗されてその静粛性の高さを体感して欲しいと思う。
燃費
燃費もかなり優秀だと思う。
メーカー公表値は“22.4km/L”で、このクラスのセダンとしては、これまでではでは考えられなかった数値である。
何よりも重要なのは実燃費であるが、私の調査、経験の範囲では以下の通り。
走行条件 | 街乗り | 渋滞時 | 遠出 | 高速道路 | ||
昼間 | 夜間 | 走行時速80km/h | 走行時速100km/h | |||
実燃費(km/L) | 15~17 | 17~19 | 12~13 | 21~24 | 21~22 | 16~19 |
私は、普段から意識してモーター走行を心がけており、加速したらアクセルを離すというハイブリット車特有の乗り方をしている。
よって、特に燃費を意識しない人が運転した場合は、1~2割ほど数字が落ちるのではないかと思う。
また、真夏の猛暑時、寒冷時にも2~3km/L数値が悪化するようだ。
デザイン
エクステリア
マイナーチェンジを受けて大幅に変更された外観デザインは、とても斬新的なものであると言えるだろう。
フロントビューについては、ワイドに設計されたヘッドライトが印象的だ。
同時に、リアランプの形状もこれまでのセダンにはなかった独特の形をしており、なかなか個性的である。
私が最も素晴らしいと思うのはサイドビューであるが、全体的にコンパクトなボディに、長すぎないノーズがとてもよいと思う。
また、フロントからルーフ、リアへと流れるような曲線美を描いている点も好印象だが、近付いてみると十分な高級感を感じることもできる。
逆に批判的な意見もあるようだが、こればかりは好みの問題と言うことになるだろう。
インテリア
内装の質感も高く、シートの質感については、“クラウンと比べても勝るとも劣らない”と言える。
特に、ファブリックシートの質感が特によく、十分な高級感を感じることができるが、カムリ以下の車種には大きな差を付けていると言って間違いないだろう。
メーター周りやドア周りにはステッチ入りのソフットパッドが使われており、これもまた高級感を演出している。
前席にはパワーシートやシートヒーター機能も付いており、高級車に乗っている気分にさせてくれることも嬉しいところだ。
また、ドアを閉めた時の重厚な音が、何とも言えない上質感、高級感を感じさせてくれる。
実用性
室内空間
セダンでありながらも頭上空間には余裕があり、身長165cmの私が座った場合、”拳1~2つ”が入るくらいだ。
デミオよりもかなりのゆとりを感じるし、天井に頭をぶつける心配もない。
後席の膝前空間も十分広く、私が乗り込んで膝前に”拳3~4つ分のスペース”が確保されるので、大柄な男性が座っても極端に窮屈に感じることはないと思う。
また、駆動方式がFFであるため、足元が完全なフラットであることも非常に高く評価できるポイントだ。
後席の居住性や乗り心地については、以下のページを参照して欲しい。
収納・ユーティリティー
特に多くの収納スペースがあるわけではないが、普段使いでは全く不満はない。
後席にはアームレストが搭載され、乗り心地の向上が期待できるだけでなく、カップホルダーにもなる。
長距離移動する場合でも快適に過ごすことができるだろう。
ナビゲーション・オーディオ
上位グレードには純正ナビゲーションシステムが搭載されるが、とても満足できるものだ。
これだけでも“約50万円相当”のコストがかかっているだけあって、画質、操作性ともに申し分ない。
ナビ画面は、道路案内以外にも、様々な情報をドライバーに伝えるためのディスプレイとして機能する。
また、オーティオの音質が抜群によいことも大変嬉しい。
トランク容量
ハイブリット車両は、後席の後ろにバッテリーを積んでいるためトランク容量が犠牲になる傾向にあるが、これくらいの広さが確保されていれば十分だろう。
価格
グレード | 価格(税込) |
G”Aパッケージ” | 4,339,637円 |
G | 3,938,073円 |
S”Cパッケージ” | 3,406,909円 |
S | 3,303,818円 |
最後に価格についてだが、決して安い車ではない。
私が所有する“G”を購入した場合は、乗り出し価格で440万円ほどになるが、うまく交渉し30~40万円の値引きを勝ち取ったとしても400万円は支払う必要がある。
最上級グレードのG “Aパッケージ”になると、値引き額を考慮しても450万円近くの買い物になることも興味深い。
こうなってくると、“もう少し頑張ってクラウンを購入する”という選択肢も出てくるわけで、この辺の判断が難しいところだ。
また、下位の2グレードには純正ナビが搭載されないが、Gとの価格差が約50万円ということを考えると、これをどう捉えてよいのかに悩んでしまう。
この価格差のほぼ全てが純正ナビゲーションシステムの有無によるものであり、私が所有するGの場合は、最終支払額400万円のうち50万円が純正ナビ代と言うことになるのだ。
考え方によっては、“車としての本質は大したことないのにナビだけが立派”と言われかねないわけだから、この辺りの価格設定はもう少し適切にすべきではないかと思う。
終わりに
実際にSAIを所有してみて、本当に上質な運転をすることができる車だと実感している。
その静粛性とゆとりある動力性能がこれを実現していると思われるが、興味がある方には、是非ともディーラーにて試乗して欲しいと思う。
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