先日、違反者講習について投稿したばかりだが、今回は“停止処分者講習”を採り上げてみたいと思う。
その概要や違反者講習との違いなどできるだけ詳細に解説するので、最後までお読みいただければ幸いである。
概要
停止処分者講習とは免許の停止処分を受けた運転者を対象とする講習を言うが、これを受講することで当該運転者が本来受けるべき免許の停止期間が短縮される点が最大の特徴である。
一般に“免停講習”や“短縮講習”と呼ばれることも少なくないが、その性質を考えれば納得できる話だと思う。
以下で、その内容や重要事項を解説する。
受講期限
停止処分者講習には受講期限が設けられている。
当該停止期間の半分が経過する前に申し込みを行うことが受講の条件であるが、例えば30日間の免許の停止に該当する場合は、その開始日から15日が経過してしまうと受講が不可能に…。
せっかくのチャンスでありこれを逃すほど愚かなことはないので、万が一対象者になった場合は迅速に申し込みをするのが得策と言える。
なお、“違反者講習”を受ける資格があったにも関わらずこれを受講しなかったため免許が停止された者も停止処分者講習を受講することができないので、ご注意いただきたい。
講習区分
停止処分者講習は、免許が停止される期間によって受講する内容も異なる。
運転免許の停止期間は反則点数の累積により決定される(最短30日間、最長180日間)が、この期間の長短により①短期講習、②中期講習、③長期講習のいずれを受講するかが決められるのだ。
例えば、30日間の停止処分に該当する運転者は短期講習を受講することになり、日数も1日で終了する。
一方で、停止期間が90日以上の場合は長期講習を受講しなければならず、2日間の日程で受講時間は短期講習の2倍の12時間にも及ぶことに…。
気の毒な話にも思えるが、長期間の免許停止の対象となるほどの違反を行なったことが全ての原因である以上、致し方なしと言ったところか。
点数の累積 | 免許の停止期間(日) | 講習区分 | 講習日程 | 受講料(円) | |
日数 | 時間 | ||||
6~8点 | 30 | 短期講習 | 1 | 6時間 | 13,200 |
9~11点 | 60 | 中期講習 | 2 | 10時間(2日間合計) | 22,000 |
12~14点 | 90 | 長期講習 | 2 | 12時間(2日間合計) | 26,400 |
注) | 120 | ||||
150 | |||||
180 |
注)…120日以上の停止期間は前歴がある場合のみ適用される。
内容
最も気になるのが講習の内容だが、更新時講習と同様に教本を用いての講義や視力検査、筆記による適性検査、実車での運転指導などが行われる。
ここで言う筆記試験とは一種の性格診断のようなもので、この点数の如何で受講成績が決定されるわけではない。
また、実車を使用しての講習は複数の受講者が1台の車に乗り込み順に運転する形式であり、教習所での高速教習をイメージすればよいはずだ。
これらが終了した後にテストが行われその結果により短縮日数が決定されるが、点数のみならず受講態度も最終結果に影響するため居眠りなどは厳禁である。
- 教本を用いての講義
- 適性検査(視力、反応速度など)
- 筆記試験(心理テスト)
- 実車での教習
- テスト(点数が短縮日数に影響する)
短縮日数
短縮される免許の停止期間は最後に受けるテストの結果により決定されるが、問題数は40問で満点が42点、制限時間は20分とのこと。
下の表に点数と短縮日数の関係をまとめたが、36点以上を獲得した場合に短縮日数が最も多くなる一方、正解率が50%を下回ると短縮がゼロと言う最悪の結果に…。
それにしても、停止期間が30日の運転者が36点以上を獲得すると29日の短縮がなされ、事実上の停止期間がたった1日になると言うのは何とも興味深い話である。
免許の停止日数 | 短縮される日数 | |||
優(36点以上) | 良(35~30点) | 可(29~21点) | 不可(20点以下) | |
30 | 29 | 25 | 20 | なし |
60 | 30 | 27 | 24 | |
90 | 45 | 40 | 35 | |
120 | 60 | 50 | 40 | |
150 | 70 | 60 | 50 | |
180 | 80 | 70 | 60 |
違反者講習との違い
運転免許の停止処分の対象となるのは反則点数の累積が6点以上の運転者であり、さらにその点数により停止期間が決定される。
例えば、累積点数が6~8点の運転者には最も軽い30日間の運転免許停止期間が適用されるが、点数の累積がちょうど6点の場合のみ、“違反者講習”を受講することで免許の停止処分を免れることができるのだ。
免許の停止処分を受けることが確定した運転者を対象とする停止処分者講習とはまた別物であることをご理解いただけると思うが、この違反者講習を受講するには点数の累積が6点であること以外にもいくつかの条件があるので、詳細はリンク先のページを参照いただきたい。
なお、違反者講習の対象であるにも関わらずこれを受講しなかった運転者は停止処分者講習を受けることもできなくなるので注意しよう。
終わりに
停止処分者講習についてご理解いただけただろうか。
免許の停止処分の対象者にとっては有難い存在であると思うが、そもそも交通違反をしなければこれを受講する必要もないわけで、交通法規を厳守することの大切さを再確認するところである。
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