反則点数の累積が一定に達した運転者に対し運転免許の停止処分や取消処分が行われることはご周知の通りだが、さらに“免許の拒否処分”と“留保処分”までもが存在するらしい。
その内容が気になり詳細を調べてみたので、早速結果を投稿する。
免許の拒否
公安委員会は、欠格期間(免許の取得ができない期間)や病気を理由に、免許試験に合格した者に対して免許を与えないことができるが、これを“免許の拒否処分”と言う。
①免許の取消処分を受け欠格期間が存在する状況で免許試験に合格した者や、②正常な運転に支障をきたす病気、薬物中毒、認知症が認められる者がその対象となる他、法律を読む限りでは③危険運転致死傷罪に問われた者や飲酒運転を行なった者に対しても適用が可能なようだ。
(欠格期間中は免許試験の受験そのものができないため、①は極めて稀と思われるが…)
また、無免許運転により重大な違反や事故を起こし、免許取消しに該当する点数の加算を受けた場合には取消処分や欠格期間が適用されないが(そもそも免許を持っていないため)、本来適用されるべき欠格期間と同等の期間が拒否処分の対象期間とされる場合もある。
これは仮免許を受けている者についても同様で、例えば仮免許運転中に免許の取消処分に該当する酒気帯び運転(25点)で検挙された場合、その後免許試験に合格したとしても欠格期間に相当する2年間は免許の交付が拒否されるため、この期間が終了するまでは免許の取得ができない。
- 欠格期間中に免許試験に合格した者
- 薬物中毒やアルコール中毒、認知症が認められる者
- 過去に危険運転致死傷罪や飲酒運転を行なったことがある者
- 無免許で免許の取消に相当する違反や事故を起こした者
- 仮免許運転中に免許の取消に相当する違反や事故を起こした者
取消処分者講習の受講
免許の拒否処分を受けた者が再度運転免許を取得するには、“取消処分者講習”を受講する必要がある。
講習は2日間連続して行われ、合計13時間の講習に参加することになるが、受講終了時に交付される証書の効力を持って免許試験の受験が可能になる仕組みだ。
この取消処分者講習は免許の取消を受けた者を対象に行われるものであるが、免許の拒否処分を受けた場合にもそれと同等の扱いを受けると考えてよいだろう。
免許の留保
免許の拒否処分同様、公安委員会は運転免許試験に合格した者への運転免許の交付を留保することができるが、これを“運転免許の留保処分”と言う。
やはり、薬物やアルコール、認知症等が原因で正常な運転ができない恐れがある者が対象となるが、過去に無免許運転等の重大な違反を起こした者、仮免許運転中に免許の停止処分に該当する違反を行なった者に対しても適用される場合があるようだ。
具体的には、精神障害を理由に免許の取消処分を受けた後に再度免許試験を受けこれに合格した者や、仮免許運転中に悪質な速度超過(点数6~8点/免許の停止処分に該当)等の反則行為を行なった後に免許試験に合格した者に対する適用事例が確認できる。
免許の留保が6ヶ月を超えない範囲で行われなければならないことからも、免許の拒否よりも軽い処分であることに間違いないが、留保期間が終了するまで免許の取得ができない点については拒否処分と何ら変わり無い。
- 薬物中毒やアルコール中毒、認知症が認められる者
- 過去に無免許運転等の重大な違反を起こした者
- 仮免許運転中に免許の停止処分に相当する違反や事故を起こした者
終わりに
運転免許の拒否処分と留保処分についてご理解いただけただろうか。
薬物や認知症を理由とするとなれば致し方ないが、違反や事故が原因でこれらの処分を受けることだけは絶対に避けたいと思うところである。
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