最近ではハイブリッド車に乗っている人も多いと思うが、ハイブリッド車はエンジンブレーキが効かないと言う意見を耳にすることがある。
私もハイブリッド車を所有しているので、今回はこの点について投稿しようと思う。
はじめに
エンジンブレーキとは
エンジンの出力をなくすことで車軸の回転に抵抗を与え、減速する仕組みをエンジンブレーキと言う。
詳細は下のリンク先のページで確認して欲しいが、簡単に言えば、アクセルペダルから足を離すと速度が落ちていく現象がこれに該当する。
特に意識せずとも、多くのドライバーが普段の運転でこのエンジンブレーキを利用して減速しているはずだ。
前を走行する車や信号機等との距離を適切に判断することができれば、フットブレーキをほとんど使うことなく、エンジンブレーキの力のみで減速することも可能である。
また、フットブレーキを多用することで効きが鈍り、最悪全くブレーキが効かなくなる可能性もあるが、これを避けるためにもエンジンブレーキを適切に使うことが大切なのである。
回生ブレーキ
ハイブリッド車には“ブレーキ回生システム”が搭載されているが、これにより、減速エネルギーを回収してバッテリーに蓄えることができる。
その電力が、モーターを駆動するためのエネルギーとして利用されることはご周知の通り。
回生ブレーキと言っても、普通にブレーキペダルを踏むだけでそのシステムが動作するので、特別な操作は必要ない。
ちなみに、ハイブリッド車にはガソリン車と同じくディスクブレーキやドラムブレーキ機構も搭載されているが、これらはよほど強くブレーキペダルを踏んだ場合にのみ動作する。
普段は回生ブレーキが優先して使われ、強い制動力を必要とする場合にのみディスクブレーキやドラムブレーキが働く仕組みになっているのだ。
また、アクセルペダルから足を話した場合にも回生ブレーキが動作するが、ガソリン車で言えば、エンジンブレーキをかける場面がこれに該当する。
以上のことからも、ハイブリッド車では回生ブレーキが最優先で使われ、少しでも電力を回収するように設計されていることを、ご理解いただけると思う。
ハイブリッド車 | ガソリン車 | |
ブレーキペダルを踏んだ場合 | 回生ブレーキ(※) | ディスクブレーキ/ドラムブレーキ |
アクセルペダルから足を離した場合 | 回生ブレーキ | エンジンブレーキ |
※ ペダルを強く踏んだ場合は、ディスクブレーキ/ドラムブレーキが作動
ハイブリッド車とエンジンブレーキ
ハイブリッド車の場合、エンジンブレーキを効かせようとアクセルペダルから足を離した場合にも回生ブレーキが動作することは、既に述べた通り。
“ハイブリッド車はエンジンブレーキが効かない”と言う人も多いが、彼らが言うエンジンブレーキとは、実際には回生ブレーキなのである。
減速時にエネルギーを回収することを最優先するハイブリッド車は、アクセルペダルから足を離した場合の制御もガソリン車とは大きく異なるのだ。
“ハイブリッド特有のエンジンブレーキ”とでも言うべきかもしれないが、その制動力は通常のエンジンブレーキよりも弱く、下り坂での減速効果はほとんど期待できない。
と言うよりも、減速するどころか逆にどんどんスピードが上昇してしまうのだから困ったものである。
ただし、勾配のない平地であればガソリン車のエンジンブレーキとほとんど同じように減速することができるので、過度な心配は要らないと思う。
Bレンジ
ハイブリッド車に“B”と書かれたギアポジションがあるが、これを使うとエンジンブレーキを強く効かせることができる。
ここで言うエンジンブレーキとは、先ほど説明したハイブリッド車特有のエンジンブレーキではなく、ガソリン車と同じ通常のエンジンブレーキのこと。
“Dレンジ”で走行する場合にはアクセルペダルから足を離しても回生ブレーキが動作するだけだが、ギアを“B”にすることで、エンジンの抵抗を車軸に伝えることができるのだ。
ハイブリッド車にこんな機能もあったのかと驚かれる方も多いと思うが、実はそれほど実用性はない。
と言うのも、ハイブリッド車両はブレーキペダルを踏んでもディスクブレーキやドラムブレーキはほとんど仕事をしないため、それらが熱にやられる心配がないのである。
よって、このBレンジを使う必要があるとすれば、長い下り坂でバッテリーに蓄えられた電力が満タンになってしまった場合くらいか。
バッテリーがフル充電された状態では回生ブレーキが使えなくなるので、ディスクブレーキやドラムブレーキが仕事をすることになる。
この状態ではフェード現象やペーパーロック現象が発生する可能性があるため、これらを防ぐためにBレンジを使い、エンジンブレーキを積極的に利用することが大切なのだ。
逆を言えば、この状況以外にBレンジを使うべき機会はないと考えてよいだろう。
終わりに
ハイブリッド車の登場により、車のブレーキのメカニズムにも大きな変化が生じている。
いずれのタイプの車を運転する場合でも、その特徴をしっかりと把握し、適切なブレーキングを行うことが大切なのだと思う。
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