現在スパイクタイヤの使用が禁止されていることはご周知の通りだが、この規制が絶対的なものではなく、一部スパイクタイヤを使用できる地域があることをご存知だろうか。
今回は、このスパイクタイヤ規制について投稿する。
スパイクタイヤの禁止
スパイクタイヤ規制の根拠となるのは“スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律”であるが、以下に同法第7条を載せた。
(スパイクタイヤの使用の禁止)
何人も、指定地域内の道路にセメント・コンクリート舗装又はアスファルト舗装が施されている道路の積雪又は凍結の状態にない部分(トンネル内の道路、その他政令で定める道路の部分を除く)において、スパイクタイヤの使用をしてはならない。ただし、消防用自動車、救急用自動車その他政令で定める自動車係るスパイクタイヤの使用については、この限りではない。
スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律第7条より
積雪・凍結状態にない場所での使用の禁止
条文にある通り、同法により禁止されているのは、“積雪又は凍結の状態にない道路の部分”におけるスパイクタイヤの使用である。
よって、意外に思われるかもしれないが、雪上や氷上を走行する場合であればスパイクタイヤを着用しても構わないのだ。
そもそも、スパイクタイヤ規制の目的はタイヤに打ち込まれたスタッド(釘・金属)で路面が削られることによる粉塵被害を防ぐことにあるわけだから、その心配がない雪上及び氷上での使用が許されることは、よく考えてみれば納得できる話でもある。
ただし、通行車両が多い場所では路上の雪や氷が溶けてしまい、不覚にも舗装の上を直に通行してしまう可能性も否定できないし、融雪剤等による除雪が行われる可能性もあるので、やはりスパイクタイヤの使用が現実的なものとは言い難いはず。
北海道や新潟等の豪雪地帯を除いては、やはりスタッドレスタイヤを着用するのが望ましいのではないだろうか。
指定地域
スパイクタイヤ規制にはその対象となる地域(指定地域)が指定されており、当該地域でスパイクタイヤを装着し、雪や氷がない舗装路を通行することは許されない。
その対象とされているのは北海道、東北、中部地方の一部などの比較的雪が多い地域であり、当該地域において雪や氷がない場所をスパイクタイヤで走行すれば法律違反に問われるわけだが、逆を言えばこれら指定地域以外の地域ではスパイクタイヤの使用が認められる場合があることも重要なポイントである。(詳細は“北海道での規制状況”にて解説)。
※ スパイクタイヤ粉じんの発生防止に関する法律の対象地域/1
※ スパイクタイヤ粉じんの発生防止に関する法律の対象地域/2
※ スパイクタイヤ粉じんの発生防止に関する法律の対象地域/3
※ スパイクタイヤ粉じんの発生防止に関する法律の対象地域/4
※ スパイクタイヤ粉じんの発生防止に関する法律の対象地域/5
※ スパイクタイヤ粉じんの発生防止に関する法律の対象地域/6
※ スパイクタイヤ粉じんの発生防止に関する法律の対象地域/7
※ スパイクタイヤ粉じんの発生防止に関する法律の対象地域/8
※ スパイクタイヤ粉じんの発生防止に関する法律の対象地域/9
※ スパイクタイヤ粉じんの発生防止に関する法律の対象地域/10
※ スパイクタイヤ粉じんの発生防止に関する法律の対象地域/11
※ スパイクタイヤ粉じんの発生防止に関する法律の対象地域/12
※ スパイクタイヤ粉じんの発生防止に関する法律の対象地域/13
※ スパイクタイヤ粉じんの発生防止に関する法律の対象地域/14
※ スパイクタイヤ粉じんの発生防止に関する法律の対象地域/15
なお、スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律ではなく、地方自治体の条例を根拠にスパイクタイヤの使用が禁止される地域もあるようだ。
北海道での規制状況
ここで気になるのが北海道におけるスパイクタイヤの使用規制であるが、実際にはほとんどの地域がスパイクタイヤの粉じんの発生防止に関する法律の指定地域に該当し、他県同様の規制を受けるため、スパイクタイヤを装着して乾燥路面を通行することは厳禁。
ただし、一部の地域は同法の指定外地域とされており、“北海道スパイクタイヤ対策条例”により一定期間スパイクタイヤの使用が認められる。
同条例ではスパイクタイヤの“規制期間”と“抑制期間”が設けられ、後者の抑制期間においてはスパイクタイヤの使用が全面禁止されるのではなく、できる限り使わないようにしなければならないと言う努力目標が課せられるに過ぎないのだ。
抑制期間にスパイクタイヤの使用が認められるのは上のリンク先ページの表に記載される地域からスパイクタイヤの粉じんの発生の防止に関する法律の指定地域とされている地域を除いた地域であるが、実際の対象地域は下のリンクを辿りご確認いただきたい。
※ 抑制期間中にスパイクタイヤを使用しても違反にならない地域
罰則
(罰則)
前条の規定に違反した者は、10万円以下の罰金に処する。
スパイクタイヤの粉じんの発生防止に関する法律第8条より
スパイクタイヤの使用に対する罰則は“10万円以下の罰金”だが、その根拠が“道路交通法”ではないため一般的な交通違反のように反則金が適用されることはない。
よって、検挙されれば即罰金を納付することになるはずだ。
終わりに
完全に使用が禁止されているイメージが強いスパイクタイヤであるが、北海道の一部の地域では今も合法的に使用が可能なことをご理解いただけただろうか。
地球環境を思えばスタッドレスタイヤの性能がさらに向上し、スパイクタイヤの必要性が完全になくなる日が来ることを期待したいところであるが。
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