安全かつ快適な運転に欠かすことができないタイヤの空気圧チェックだが、その頻度はどれくらいが理想的なのだろうか。
今回は、我がデミオとレガシィB4での実験結果を元に、ベストな空気圧チェックのタイミングを考察する。
空気圧の計測
タイヤの空気圧が車の走行パフォーマンスに与える影響は殊の外大きく、その状態によっては交通の危険を招く可能性も否定できないだけに、軽視することは許されない問題である。
空気圧は高すぎても低すぎても弊害が生じるが、前者の場合は乗り心地の悪化やタイヤ損傷のリスクの増大、後者の場合は燃費の悪化やバーストの危険性が高まるなど良いことは何一つないため、メーカーが指定する“車両指定空気圧”をキープすることが望ましい。
しかしながら、いくら最適値に調整してもタイヤの空気は自然に抜けるものであり、空気圧も徐々に低下するため、定期的な測定が不可欠なのだ。
ベストな計測頻度は
ベストな空気圧測定の頻度を知るためには時間経過とともに空気圧がどれくらい低下するのかを明らかにする必要があるため、実際に我がデミオ13SとレガシィB4を実験台にデータを取得してみた。
結果は下の表にある通りで、デミオの場合は指定空気圧に調整した日から2週間が経過した時点で約10kPa近くの圧の減少が確認され、さらに1ヶ月後には15kPa以上も空気圧が減っているではないか。
調整時(kPa) | 2週間後(kPa) | 4週間後(kPa) | ||
デミオ | 前輪 | 260 | 252 | 243 |
260 | 253 | 244 | ||
後輪 | 230 | 222 | 214 | |
230 | 221 | 212 | ||
レガシィB4 | 前輪 | 230 | 226 | 223 |
230 | 225 | 223 | ||
後輪 | 220 | 217 | 213 | |
220 | 216 | 214 |
数値こそ違えども、同じくレガシィB4も2週間目で一定の空気圧の減少が見られ、1ヶ月後にはさらに圧が下がっていることからも、やはり“調整後2週間目”が次回計測のタイミングの目安になると考えてよいと思われる。
ただし、基準値から20kPa以内の減少であれば十分に許容範囲なので、“2週間に1度の測定”が難しい場合は1ヶ月に1度の頻度で空気圧をチェックすれば問題ないはずだ。
バルブの劣化に注意
タイヤのエアバルブ(空気を注入する部分)が劣化すると通常よりも空気が抜けやすくなるので注意が必要である。
自動車のタイヤには200~250kPaもの空気が入っており、その圧力を常に受け続けるエアバルブの負担は相当なものがあるのだが、知らぬ間にバルブが劣化しているケースも多いので、こちらも定期的に交換するのが望ましい(2年に1度が目安)。
定期点検後もチェックすべし
意外にも、ディーラーの定期点検から車が戻ってきた直後も空気圧を測定すべきタイミングと言える。
“点検後ならばしっかりと空気圧が調整されているのでは”と思われる方が圧倒的に多いと思うが、残念ながらディーラーが調整を誤り不適切な空気圧に設定されて車が帰ってくるケースがあるから困ったものなのだ…。
実際の話、先日1ヶ月点検を終えたばかりのレガシィB4の空気圧をチェックしたところ、何と計測値が指定空気圧を50kPaも上回っているではないか!?
複数の空気圧計でチェックしても同じ値を示したことから計測機の故障の蓋然性も低く、さすがにディーラーに苦情を申し入れたが、聞けば空気圧計測器の寿命は短く、その影響で誤った値に調整してしまった可能性があるとのこと。
単なる作業員の不注意の可能性を否定できないものの、いずれにせよ、ディーラーへの過信が厳禁であることを身を以て知った立場で言わせて貰えば、点検後には自身の手で再度空気圧をチェックすべきだと思う。
空気圧の測定方法
空気圧の測定と聞くとなかなか難しいことに思われる方が多いかもしれないが、実際には誰にでもできる簡単な作業である。
市販のハンドタイプの計測器があればエアバルブの先に機器を押し当てるだけで簡単に空気圧を知ることが可能なので、ぜひ1台購入して手元に置かれることをお奨めしたい。
もちろん、実際にタイヤに空気を補充するにはコンプレッサーが必要だが、ガソリンスタンドやカー用品店に行けば無料で借りることができるので、自分で用意するのは空気圧計測器だけで十分だ。
ちなみに上の画像にあるのは私が使用しているエアゲージで、値段も安く(Amazonで約1,000円)使い勝手も抜群なので、自信を持ってお薦めできる商品である。
終わりに
今回はベストなタイヤの空気圧チェックの頻度を考察してきたが、やはり一般に言われるように2週間に1度もしくは1ヶ月に1度の測定が理想的と言える。
特に、知らず知らずの間に空気圧が減少して結果燃費の悪化を招くケースは非常に多いので、定期的なチェックを怠らないようにしよう。
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