先日、アクセラ15Sについての記事を投稿したが、今回はディーゼルモデルであるXDへの試乗の様子をレポートする。
評判を裏切らない優れた車であることを確認できたが、詳細は続きを読んで欲しい。
試乗車
今回試乗したのは“XD”、アクセラ唯一のディーゼルモデルだ(2016年2月時点)。
アクセラには全部で10種類のグレードが用意されるが、その中でも最上位に位置するフラグシップモデルである。
ガソリン車では最上位グレードにしか搭載されないような機能が全て搭載されていることからも、このXDへの力の入れ様を知ることができると思う。
ちなみにこのXDは、発売当初はハッチバックタイプのみが用意されていたが、後に特別仕様と言う形で“Sedan XD”が登場した。
原動機 | グレード | ||
エンジンタイプ | 型式 | 排気量(L) | |
ガソリン | SKYACTIVE-G 1.5 | 1.5 | 15c |
15s | |||
15s touring | |||
SKYACTIVE-G 2.0 | 2.0 | 20s | |
20s touring | |||
20s touring L package | |||
ディーゼル | SKYACTIVE-D 2.2 | 2.2 | XD |
ハイブリッド | SKYACTIVE-G 2.0+モーター | 2.0 | HYBRID-C |
HYBRID-S | |||
HYBRID L Package |
走り
エンジン
まずはエンジン性能であるが、スペックは以下の通り。
エンジンタイプ | 総排気量(L) | 最高出力(kW<PS>/rpm) | 最大トルク(N・m<kgf・m>/rpm) |
SKYACTIVE-D 2.2 | 2.188 | 129<175>/4,500 | 420<42.8>/2,000 |
新開発の2.2Lディーゼルエンジン(SKYACTIVE-D 2.2)の性能には驚かされるが、420N・mと言う最大トルクに目を疑ってしまう。
これは、ガソリンエンジンで言えば4リッター超えに相当する衝撃的な数値だ。
馬力はそれなりだが、最高速度が100km/hである日本の道路事情を考えれば、十分な数値であることは言うまでもないと思う。
加速
そのトルクの太さが、圧倒的な加速を実現している。
アクセルペダルをわずかに踏み込んだだけでストレスなく車が前に進むのだが、その動力性能には非常に大きな余裕があるように思えた。
少々強めにペダルを踏み込むとスイッチが入ったように急加速するが、その力はとても強く、背中が強くシートに押し付けられしまう。
まさに、怒涛の加速とも言える衝撃的なものであった。
加速時に少々ガラガラとしたディーゼルサウンドが聞こえ、その力強さを演出してくれることも好印象に感じられる。
一方、普段使いではその動力性能を持て余すかもしれない。
高速道路を150km/hで走行する場合や、急なアップダウンが連続するワインディングを通行する場合でもなければ、全動力性能の1/3も使えないはずだ。
もちろん、前者については法律違反であり、許されることではないが・・・。
ガソリンモデルの15Sの完成度が非常に高いことを考えても、普段使いであればそちらで十分であることも事実だと思う。
安定感
車体の安定感ももちろん高く、直進安定性、コーナーでの安定感共に申し分ない。
高速道路を走行することはなかったが、速度が上がれば上がるほど、さらにそのボディ剛性が際立つように思われる。
その一方で、“重厚感”に欠ける印象があった。
車体重量が1,430kgとデミオ・ガソリンモデルよりも400kg、アクセラ15sよりも170kgも重いのだが、なぜか軽く感じる。
これについては、トルクがあまりにも強すぎるため、その重量を感じさせないものと考えるのが妥当だと思う。
この車の動力性能の高さの裏返しであることも事実だが、重厚感のある上質な乗り味を好まれる方は、若干不満に感じるかもしれない。
静粛性
静粛性については課題が残るが、ディーゼルエンジン特有のガラガラ音が室内に入ってくる。
サウンドの質についても、15Sに搭載の1.5Lガソリンエンジン(SKYACTIVE-G 1.5)の洗練されたサウンドには程遠いものに感じられた。
これについては、アクセラ15Sのエンジンサウンドがあまりにも素晴らしいので、余計に気になってしまうのかもしれない。
いずれにせよ、圧倒的な力強さを演出するには格好の材料である一方、上質さからはかけ離れて行く印象を受けた。
また、同じエンジンを搭載する“CX-5”や“アテンザXD”の防音、遮音対策がかなりよくできていることを考えても、少々不満が残る。
特に、CX-5の室内は非常に静かで、このアクセラXDとは明らかに違うように感じられたのだが、これについてはコンセプトの違いがあるのかもしれない。
乗り心地
装着タイヤが18インチと言うこともあり、乗り心地にはあまり期待はしていなかったが、全く問題なかった。
足回りのチューニングは硬い部類に入ると思うが、その分安定感が高く、車体が振られることがないので、むしろ乗り心地はかなり良いと感じられたほど。
多少の段差等であれば問題なく対処できており、路面からの大きな衝撃を感じることもない。
ボディがしっかりしており、コーナーでの安心感、直進安定性ともに高いことが、快適な乗り心地を実現していると思う。
燃費
このXDへの試乗では、燃費についての詳細なデータを取ることができなかった。
これについては、2016年7月のマイナーチェン後のモデル、”22XD”への試乗レポートで詳細なデータを記載しているので、そちらを参考にして欲しい。
デザイン
外観
外観デザインは15Sと同じなのだが、ホイールがXD専用の18インチになり、デザイン性は非常に高い。
確かにかっこいいと思う。
内装
内装についても基本は同じだが、15Sと比較して、シートの質感はかなり高い。
こちらは、専用のスウェードレザーを使用しているようで、やはり最上位グレードらしい高級感がある。
実用性
こちらも15Sと変わらないのだが、レザーシートの座り心地の良さが好印象だ。
詳しくは15Sについての投稿を読んで欲しいが、頭上スペース、膝前スペースともに十分なゆとりがあり、窮屈に感じることもない。
運転席にはシートヒーターが付いているのだが、寒い日でもすぐに背中が暖かかくなることには驚かされた。
価格
アクセラXDの価格は、税込3,067,200円。
ガソリンモデルの15Sよりも100万円以上高額になるが、正直なところ、この点はどう評価してよいものか難しい。
①これほどの車を300万円で買うことができることをお買い得とも思えるし、②約100万円安い15Sで十分であり、このXDに300万円も出す必要はないと考えることもできてしまうのだ。
難しい判断ではあるが、やはり、仕様の用途をよく考えた上で判断するより他ないと思う。
街乗りメインの方やエコ運転を心がける人であれば15Sで十分であり、両者の価格差を考えても、明らかにベターな選択と言える。
一方、長距離移動やワインディング、高速道路を走行する機会が多い人にとっては、このXDを選択するのがよいだろう。
ただし、300万円を超える価格をどのように捉えるかは、なかなか難しいところではないだろうか。
エンジンタイプ | 型番 | 駆動方式 | 変速機 | 価格(税込) |
ガソリン | 15c | 2WD | AT | 1,760,400円 |
MT | 1,760,400円 | |||
4WD | AT | 1,976,400円 | ||
15s | 2WD | AT | 1,922,400円 | |
MT | 1,922,400円 | |||
4WD | AT | 2,1384,00円 | ||
15s touring | 2WD | AT | 2,138,400円 | |
MT | 2,138,400円 | |||
4WD | AT | 2,354,400円 | ||
20s | 2WD | AT | 2,278,800円 | |
MT | 2,278,800円 | |||
20s touring | 2WD | AT | 2,430,000円 | |
MT | 2,430,000円 | |||
20s touring L package | 2WD | AT | 2,559,600円 | |
MT | 2,559,600円 | |||
ディーゼル | XD | 2WD | AT | 3,067,200円 |
MT | 3,067,200円 |
終わりに
圧倒的なトルクによる凄まじい走りが話題となっているアクセラXDだが、走ることが好きな人にとっては本当に魅力的車である。
一方で、ガソリン1.5Lモデルの完成度も抜群に高いだけに、購入を検討される方にとっては、悩ましいところだと思う。
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